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心療整形外科

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2010年 05月 29日

あらたににできた「慢性痛症」という病気

「慢性痛症」という病い

痛みが長く続くと新たに「慢性痛症」という痛みそのものが病気になってしまいます。

これは痛み系が調子が悪くなってしまうものです。(可塑的変化)

たとえて言えば、火災報知機そのものが不具合を起こし、火事でもないのに鳴り響くようになってしまうようなものです。

だから、痛みはなるべく早く止めてしまうことが重要だと言われています。

構造の治療と痛みの治療は別問題と理解しなくてはいけません。

骨折や捻挫などの損傷の治療と痛みの治療は2本立てです。

同じように考えれば、ヘルニアの治療と痛みの治療は別問題なのです。

半月板の治療と痛みの治療は別問題なのです。

多くのものは痛みの治療だけでいい。

構造の治療の目安は、その構造異常を治さないと、支持や運動範囲にとても影響があるかどうかという点です。

ではどれぐらいで「慢性痛症」になるかということですが・・・

それは時間の問題ではありません。

強い痛みなら2週間ぐらいで「慢性痛症」となってしまうそうです。

リウマチの痛みは長く患っていても「急性痛」です。炎症が繰り返して起こっているのです。

急性痛なのか「慢性痛症」なのかは、急性痛の治療をして効くかどうかで判断します。

急性痛の治療法で効果がないのが「慢性痛症」です。つまり、治療的診断しかありません。

慢性痛症でも急性痛が混在していることもあれば、慢性痛症の人が急性痛を起こすことだってあるわけです。


しかし

保険診療では「慢性痛症」という病名はありません。慢性痛症の代表格の「線維筋痛症」もいまだ、保険病名としては扱われていないのでしょうか・・。

概念もなければ、病名もない。もちろん薬もまだなかったのです。

ヘルニアだの脊柱管狭窄症だの変形性関節症だの構造病名をつける習慣が続いているのです。

だから構造に異常がなかったら、お手上げとなる。

ないないづくしで慢性痛症の患者さんを診察治療するということは大変な努力なのです。

慢性痛症の患者さんはたいてい複数個所に痛みがあります。腰痛、膝痛、すね痛、肩痛のように。

小回りよく治療していかないと外来がストップします。

最近、慢性痛症の薬が発売されました。

あらたににできた「慢性痛症」という病気_b0052170_16121920.jpg麻薬系のデュロテップパッチは、癌性疼痛の治療薬でしたが、慢性痛にも適応が広がりました。







あらたににできた「慢性痛症」という病気_b0052170_16125361.jpg海外では線維筋痛症の治療薬として有名なリリカが近日中に発売されます。しかし、適応症は帯状疱疹後神経痛だけとなっています。



このように慢性痛症の薬が新発売されますと、MRさん(製薬会社で医師に薬剤情報を伝える資格職)が医師に情報を伝えますから、慢性痛お概念も広がっていくものと思われます。

過去に、骨粗鬆症や脊柱管狭窄症、うつ、高脂血症なども新薬によってブームになったようなものです。第一人者の医師の解説をパンフレットなどにのせて、医師を教育するのです。

脊柱管狭窄症はあてになりませんがね。

リリカは早く線維筋痛症の適応をとらないといけません。

トラマールという注射薬は癌性疼痛に適応がありますが、慢性痛症には適応がありません。

トラマールの飲み薬は海外にはありますが、日本ではまだありません。近日中に発売されるそうです。

もう数年で「慢性痛症」という概念が定着することでしょう。

このような病名ができると、医師も痛みについて勉強するようになると思われます。


by junk_2004jp | 2010-05-29 15:35 | 慢性痛


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