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心療整形外科

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2010年 06月 25日

サーノ博士のTMS理論

サーノ博士のTMS理論(tension myositis syndrome;緊張性筋炎症候群)は、「サーノ博士のヒーリング・バックペイン」で紹介されました。

簡単にいうと、無意識下に抑圧された感情に気づくことによって痛みが治るというものです。

一方、もともと日本には心療内科という診療科がありました。たぶん日本にしかないかもしれません。

心療内科」九州大学名誉教授  池見酉次郎著(1963年初版)中公新書

日本には心身一如という思想があります。

上記「心療内科」には「鳴かぬホタルは身をこがす」とあります。これは感情を押さえこんでいると病気になりますよといっているのです。

「痛み」は個人的な体験(experience)と定義されています。

人の痛みを診るものは心身医学を勉強しなければなりません。

TMS理論は、怒りなどの感情→抑圧→交感神経緊張→酸欠→発痛物質→痛み

この事実を証明するのは圧痛点ブロックなのです。

一方、痛みの発生を生物学的にみると、急性痛は組織損傷に伴う警告です。それを具体的にしたのが「Travell & Simons 筋筋膜トリガーポイント療法」です。

これを証明するのも局所麻酔なのです。痛みを証明するには治療的な証明しかないのです。

一方、

一連のガイドライン医学は痛みのメカニズムや心身医学は関係なく統計学(感度・特異度)で痛みの診療アルゴリズムを示しているのです。

他人が体験したことを数値化すると一見説得力がありそうですが、痛みの本態を述べているものではありません。

TMS理論とEBMは両立しない。しかし、

p145 ただし、保存療法に反応しない神経根症状のある患者にかぎり、手術を避ける手段としてステロイド剤による硬膜外ブロックを一時的に用いてもかまわないとしています。

こんなものを信じるよりはTMSのほうがはるかにましです。

p73 「神経根症状」というのは、腰痛よりも下肢痛(片側)のほうが強く、膝から下あるいはつま先まで痛みが放散したり、しびれや知覚異常、筋力低下を伴う場合です。

p135 マニピュレーションに効果はあるか   急性腰痛には一時的な効果も

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腰痛よりも下肢痛(片側)のほうが強く、膝から下あるいはつま先まで痛みが放散したり、しびれや知覚異常、筋力低下を伴う場合、マニピュレーションをしても反応しない者にかぎり、手術を避ける手段としてステロイド剤による硬膜外ブロックを一時的に用いてもかまわないとしています。

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この文章の作成にアメリカのトップクラスの医師集団がかかわっているのだとすれば、なんというセンスの悪さかと思います。

こういうのは科学ではなくて、一種のロビー活動のようにさえ思われます。

アメリカにはメディカル・Drとカイロ・Drがいますからどちらの顔もとりあえずたてて・・・という感じがするのです。



by junk_2004jp | 2010-06-25 01:28 | うつ・不安・ストレス


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