心療整形外科

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2011年 02月 06日

獣医師より

加茂先生

初めてお便りをさせて頂きます。**で臨床獣医師をしております*と申します。
 
加茂先生の著書『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』を拝読し、MPSの存在とその治療法を知り大変感銘を受けました。

動物の痛みにも筋肉の損傷、拘縮という問題が当然あてはまるのではないかと思い、整形外科疾患を見直すきっかけとなりました。

これからは加茂先生の著書を基にさらに筋肉と痛みについて知識を深め、獣医臨床に役立てていきたいと思います。ありがとうございました。

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加茂先生、早速お返事頂き誠に恐縮いたします。

犬の椎間板ヘルニアによる後脚の麻痺は、ほとんどの場合ダックスフンドという胴の長い犬種でおこり、手術で髄核を摘出し治療します。

軟骨異栄養犬種といい、もともと遺伝的に髄核の変性が起こりやすく、胴の長さが足に比べ長いため胸腰部の関節の動く角度が大きいという事が原因といわれています。

我々は、椎間板ヘルニアの症状は痛みから麻痺へと進行すると勉強しております。改めて勉強しなおします。お忙しい中、本当にありがとうございました。
 




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多くの医師も痛みが進んで麻痺になると思っているのではないでしょうか。

ここがこのヘルニア問題が理解できないポイントではないでしょうか。

痛みが進んで麻痺になることはありません。

痛みが慢性化したり、広範囲になっていくことはあります(「慢性痛」という新しい病態)。

痛みと麻痺(神経性麻痺)は全く異なった病態です。

このへんのことが、「ヘルニアガイドライン」や「脊柱管サポートツール」ではきちんと書かれていません。

つまり、味噌と@の区別ができていないのです。

人の腰のヘルニアで麻痺が生じるのは馬尾症候群といって48時間以内の緊急手術が必要です。きわめて稀です。

筋肉の急で強烈なスパズム(激痛)→ヘルニア発生→末梢神経の絞扼性障害→膀胱直腸の麻痺・下肢の麻痺

パンクしていない椎間板のほうがこのようになる可能性があるのではないかと思いますが・・・。

頚のヘルニアでは稀に脊髄麻痺(脊髄症)があります。

病的反射、痙性麻痺が生じますので診断は画像なしでできます。

脊髄症にMPSが合併していることはよくあることです。でも麻痺と痛みは別問題と理解すべきです。

つまり、ヘルニアによって、腰では馬尾症候群という末梢神経麻痺が生じることがある、頚では脊髄症という脊髄麻痺が生じることがありますが、きわめてまれです。

馬尾症候群では緊急手術が必要です。脊髄症は手術が必要かどうかはケース・バイ・ケースです。

ヘルニアが原因で痛みやしびれが生じることはありません。

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by junk_2004jp | 2011-02-06 11:25 | 痛みの生理学 | Comments(0)


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