2012年 10月 03日

慢性痛はどこまで解明されたか

痛み(特に慢性痛)を外来で患者さんに説明するのはとても難しいことなのです。

なぜかというと、それは目に見えない、計測できない電気現象だからです。

勉強していただけるのなら説明可能です。何も私が解明したわけでもありませんが、学者が言っていることをお伝えできます。

レントゲンやMRIでは分かりません。画像に現れることが原因で痛みが起きているわけではないからです。それは痛みの結果である可能性はあります。

ただし、大きな左右差、脚長差などは筋緊張を永続させる要因になることがあります。

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「慢性痛はどこまで解明されたか」細井昌子先生;痛覚系の神経経路ー痛覚伝導とその抑制様式の仮説ーより

多くの慢性痛はこの図で示されます。

侵害刺激がことのはじまりです。

よく患者さんに放っておいても治るかときかれます。

「放っておいても治ることがありますが、治らないこともあります。」

「どうなってるんですか?」

これも説明が難しい。

「どこにも検査では異常がない。」「変形がある。ヘルニアがある。軟骨が減っている。など」それは事実でしょうが、痛みの説明にはなっていません。

侵害刺激にはどういうものがあるか。

リウマチ及び類似の疾患は自分で炎症を起こしている(自己免疫疾患)ので慢性痛とはいいません。急性痛がコントロールできない状態ということです。

①長時間の固まった労働(パソコン、草むしり、車の運転など)

②伸張性収縮の運動、生活動作

③寒冷による筋の緊張

④強いストレスによる筋の緊張

⑤打撲、捻挫、骨折、むち打ち(不意の外力)

①~⑤のどの原因でも侵害刺激がおこります。

骨折や靭帯、半月板、腱板、椎間板などの損傷の治療と痛みの治療は別の問題です。

上の図に構造の要素が全くありませんね。ここが多くの医師が誤解しているところです。

損傷の治療と痛みの治療は別の問題なのです。

痛みが入力されると、反射的に筋緊張、交感神経緊張が生じます。それがまた次の痛みをつくるのです。(痛みの悪循環)

痛みが入力され続けると、末梢のポリモーダル侵害受容器は過敏になってきます(末梢性感作)

脊髄後角(末梢神経との接続部位)も痛覚過敏になってきます(中枢性感作)

末梢性・中枢性感作がどうしておきるのかは難しい理論なのでここでは省きますが、興味のある方は本をみてください。

このようにしてできあがるのが殆どの慢性痛です。

急性痛のうちに上図の侵害刺激の入り口のところをブロックしてやればいいのです。

レントゲンやMRIなどによって得られる所見は痛みの原因ではありませんが、医師によってノーシーボをかけられることによって慢性化の道をたどることになるでしょう。



次に神経障害性疼痛のモデル

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慢性痛はどこまで解明されたかー仙波恵美子先生より

神経障害により疼痛が発生するメカニズムとして、損傷神経と非損傷神経の混在が大きな役割を演じているものと思われる。


髄鞘の傷害によりアロディニア、痛覚過敏

脊髄後角でのグリアの活性化が生じ中枢性の痛覚過敏が生じる。

このモデルでも分かるように神経を切断したり結紮したりしている。これは圧迫とは大いにちがう。

このモデルでヘルニアや脊柱管狭窄を語れない。臨床症状、臨床経過から明らかだ。

切断した下肢が痛い(幻肢痛)。

手術創がいつまでも痛い。

大けがで神経を切った。

肘のところで神経を絞扼されて麻痺が生じたが痛みもある。(肘部管症候群)

などがこのモデルで説明される。


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by junk_2004jp | 2012-10-03 17:13 | 慢性痛 | Comments(0)


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