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心療整形外科

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2012年 12月 18日

100人100様の痛み

痛みはexperience(体験、経験)と定義されています。

他人の体験なんです。脳の認知と反応です。

患者さんが「痛い」といったら、それが痛みなのです。

100人の患者さんがいたら100様の痛みがあります。

決して他人と共有することはできません。

患者さんにはそれぞれの歴史があり、家族があり、仕事があり、考え方があります。

痛みの医学は整形外科医や脊椎外科医と最も縁遠いものかもしれません。

痛みのエビデンスなんてあるはずがありません。どんな治療法もエビデンスを求めることはできません。

他人の体験にどのような影響があったのか証拠なんてあるはずがありません。

ブッシュマンは痛いところに木のトゲをさして治療しました。(学生時代に麻酔科の先生から聞きました)

ミツバチの針をツボに刺す治療は古代から行われています。

では医師は痛みに対してどのように対応すればいいのでしょうか。

まずは①除外診断です。

悪性腫瘍、感染症、リウマチ及びその周辺の炎症性疾患、修復すべき構造の損傷がないことをたしかめる。

これにはレントゲンやMRIや血液検査があります。

次に②積極的診断です。これはどのような動作や環境で痛みが再現するかを確かめるのです。

次に③治療的診断です。ある治療をしたら痛みがどのように変化したかをみるのです。

このような過程で「その人」の痛みを診断します。

患者さんにとって再現性のある治療、簡単な治療、危険でない治療、自分でもできる治療、安価な治療がいいです。

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など神経が圧迫されているから痛い、椎間板や半月板、関節軟骨がわるいから痛いのだという医師の診断は信じてはいけない。生理学的な根拠はなにもない。


by junk_2004jp | 2012-12-18 18:41


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