2013年 07月 20日

シンポジウムのスライド

14日ペインクリニック学会に続いて行われたシンポジウムで、MPSを紹介しました。
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②従来はいわゆる“損傷モデル”で痛みを説明していましたが、痛みの生理学の発展、検査機器の発展により、それでは矛盾が多く、最近では否定されるようになってきました。それに代わるのが“生物・心理・社会的医学モデル”です。

③ 腰痛の85%は原因がよくわからない非特異的腰痛で、10%が椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症による腰痛、5%が悪性腫瘍、感染症、リウマチ、骨折、内臓疾患による腰痛、と最近、雑誌やTVで、しばしば言われています。
これに反して 、私は95%は筋筋膜性腰痛だと考えています。つまり、10%の椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症も特別扱いをしないわけです。

④痛みのはじまりは侵害刺激Aです。ポリモーダル侵害受容器を介して脳に伝わります。
一方、Aは構造破綻Bを招くこともあります。
Cは痛みの悪循環を表します。痛みが入力されると、反射的に筋肉が緊張します。筋肉の短縮の結果、Bが生じることも考えられます。
ABCはこのような関係にあります。Bはいずれにしても痛みの原因ではありませんが、あたかも痛みの原因のように説明されてきました。
Bになにもなかったら、「異常ありません」「心因性」などといって、痛みの治療がされないことがあります。
痛みの治療と構造の治療は別問題なのです。

⑤痛みはexperienceと定義されています。他人のexperienceの診断は他の疾患と比べて特殊です。
除外診断は画像や血液検査で悪性腫瘍、感染症、骨折、リウマチおよび、その周辺の炎症性疾患の除外です。
除外後の病態は筋筋膜性疼痛症候群MPSです。
次に、積極的診断です。どのような環境、状態で痛みが強くなったり弱くなったりするかをみます。
治療的診断では、どのような治療に反応するかをみます。慢性痛か急性痛か判断されます。
骨折、脊髄症、リウマチ、骨粗鬆症に合併したMPSがあることは当然のことで、治療はそれぞれの疾患とMPSに対して行われるべきです。

⑥ところが、本邦では、痛みの発生源として筋筋膜がほとんど想定されてなく、またその教育もなされていません。
結果的に、不必要な、あるいは有害な手術、過剰な内服薬投与が数多く行われているものと思われます。

⑦TP注射は、1994 年に硬膜外ブロック保険点数を削減する目的で導入されたもので
MPS における TP の治療と無関係に認可されたものです。
そのため、施行した回数及び部位にかかわらず、1日に1回しか算定できません。
見直していただきたいところです。

⑧筋筋膜性疼痛症候群の歴史について少し述べます。
ケネディー大統領の主治医として有名なJanet Travell,MDと、David G. Simons, MDによって Myofascial Pain and Dysfunction The Trigger Point Manualという題の膨大な原著が1983年に完成しました。

⑨ その内容についてごく簡単に述べます。図は小殿筋のTPと関連痛です。
坐骨神経痛といわれますが神経が悪いわけではありません。

⑩これは、前脛骨筋、長指伸筋、長拇指伸筋のトリガーポイントと関連痛です。拇指背屈力低下やしびれが神経麻痺症状にまちがわれることがあります。

⑪これは腸腰筋のトリガーポイントと関連痛です。腰と股関節前面の痛み、ももを挙げて歩くことが困難になります。

⑫これは斜角筋のTPと関連痛です。 頚椎症性神経根症、胸郭出口症候群などと診断されます。

⑬これは棘下筋のTPと関連痛です。五十肩のときにみられます。

⑭ これは内側広筋のTPと関連痛です。 変形性膝関節症、半月板障害など膝痛の本態です。

⑮ 胸鎖乳突筋のTPと関連痛です。むち打ちのときにみられることがあります。耳鳴り、ふらつき、頭痛、顔面痛などがおこります。

⑯筋肉が拘縮して、タウトバンド、筋硬結が生じるイメージを動画で表現しました。釘は骨です。

⑰トリガーポイント形成に関するいくつかの仮説があります。
統合仮説を紹介します。
運動神経終末より、アセチルコリンの過剰分泌とエネルギー危機を統合したものです。アセチルコリン過剰分泌、筋小包体よりCaイオン放出、筋節の拘縮、エネルギー危機で発痛物質がつくられます。

⑱関連痛のメカニズムです。

⑲筋硬結の触診法です。

⑳トリガーポイント注射の方法です。

21間欠跛行といわれている病態の実態は、上肢にたとえると、こういうことになります。
毎日、重い鞄を長時間持っている
MPS(テニス肘、五十肩)が生じる
しびれ・痛み・筋力低下・知覚鈍麻があらわれる。
休むと治る、これを間欠鞄持ちという。
下肢もこれと同じことです。下肢は重いものを持ちませんが、長い人生、重い体を支えて、立ったり座ったりしていますので
臀筋や下肢の筋肉にMPSが発症します。このように考えるのが理にかなっています。私は脊柱管は関係ないと思っています。

22神経根症といわれているもののからくりです。
たとえば、L5の神経が悪いというのは、そのように見えるだけなのです。
Aで生じた痛みの電気信号は脊髄後角から入り、脳に行くのですが、前角にあるL5の近隣の運動神経核に影響を及ぼすからなのです。 現実には神経根が悪いわけではありません。

23筋性痛は広がることが多いですが、それは、さきほどの脊髄反射による広がりのほかに筋膜の引っ張りによる広がりが考えられます。

24筋性痛は慢性化しやすいといわれています。末梢性、中枢性感作がおき慢性痛になるととても治療が困難になるものです。
早期発見早期治療がだいじです。

2510年後のペインクリニック~私ならこう考える~
生物・心理・社会的医学モデルの定着
神経根性疼痛という概念は過去のものとなる
ほとんどが筋筋膜性疼痛だという概念が主流となる。筋肉に対する治療。
病名の統一(同じメカニズムのものは同じ病名)構造病名と痛み病名 は別にあつかったほうがいい。
早期発見早期治療、プライマリ。ケア医による早期治療が慢性痛を防ぐことになる。

慢性痛に対して認知行動療法など心療内科的な方法が必用

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by junk_2004jp | 2013-07-20 00:01 | MPS | Comments(0)


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