心療整形外科

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2005年 03月 07日

腰部の損傷モデルはもう過去のものです

「60年間,我々は“腰部損傷”という概念とともに生きてきました。それはあまりにも欠陥が多く,もはや正当化することはできません。その上,医原性なのです。我々にこれ以上の研究は必要なく,この概念はもはや有用性を失っています。」

かなり強い口調ですね!もうあーのこーのいう余地はないということです。医原性とは不安を与えることにより悪化しているということです。

腰痛の伝統的な治療モデルが問題を一層こじらせた。医療関係者は、通常、腰痛患者に、推定上の“損傷”が治癒し、症状が緩和するまで安静にして活動を避けるよう推奨した。この治療モデルは、疼痛に対する恐怖心、活動に対する恐怖心、そして仕事による身体的ストレスに対する恐怖心を生み、長期就労障害の一つのパターンになった。このモデルは、先進諸国の就労障害および社会保障システムに速やかに浸透した。究極的に、腰部“損傷”は就労障害の一般的な容認される前提になり、先進工業社会に直接費用と間接費用の両面で莫大な損害を与えた。

やはり考え方が病気をこじらせたといっています。

しかし最近JAMAに掲載された論説でNortin M.Hadler博士は、画像検査は両刃の剣であり、患者を慰め満足させるために使用するのは危険だと主張した(Hadler,2003を参照)。Hadler博士は、「画像検査はこうした状況における診断方法として役目を果たしていない」と断言した。それは、病態生理に関する事実無根の概念を患者に押しつけ、治療に携わる医師の私的見解を患者に披露する複雑な治療行為の1要素である。患者はこれらの診断によって永遠に変えられるが、良いほうに変えられることはあまりにも少ないと博士は主張した。

事実無根の概念を押しつけていることが多いものです。何かを悪役にしてそれをやっつけるというストーリーが受け入れやすい。それがヘルニアであったり、骨盤の歪みであったりするのですが、矛盾が生じてきます。

調査団は、医療業界がより合理的な紹介パターンを採用し専門外科医への早期紹介を減らすことを推奨した。調査団は、速やかな回復が得られない患者、および外科治療を要する危険信号が認められない患者は、“しばしば亜急性・慢性の脊椎疾患の根底にある無数の身体的、心理的および社会的な問題を評価できる”外科以外の専門医へ紹介されるべきだと示唆した。


ヘルニアももちろん「腰椎の損傷モデル」です。ほとんどの医師は「痛み=損傷モデル」を勉強してきました。医師の考え方を変えるのが最も難しいことかもしれません。

専門外科医への早期紹介を減らすこととは皮肉なことです。専門外科医は特殊な病気や外傷で絶対に必要ですが、対人口比率はとても少ないものだろうと思います。専門外科医を養成しなくてはいけませんが、人口比率で仕事はそんなに多くはないということです。

「社会・心理学的疼痛症候群モデル」が登場したのですが、これは集学的、チーム医療、患者さんが受け身の医療から、主体的に参加する医療ということで、心療内科的な手法の医療です。代替医療や東洋医学も取り入れていこうというスタンスです。
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by junk_2004jp | 2005-03-07 01:46 | 慢性痛 | Comments(0)


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