2014年 09月 19日
1911 年にGoldthwaitが「腰椎椎間板の突出が坐骨神経痛を引き起こし得る」と考えたのが最初だと思われます。しかし、この概念は生理学的にも疫学的に もまた臨床経過からも納得いく説明ができません。 100年前ですよ。痛みの生理学はまだ夜明け前です。もちろんレントゲンやMRIはありません。 神経線維は圧迫を受けても何もおこりません。だから一日中立っておられるのです。 神経線維を強く締め付ける(絞扼)と麻痺が生じます。麻痺とは痛くない、無感覚、動かないということです。(知覚鈍麻、脱失)(運動麻痺、不全麻痺) ヘルニアで麻痺になることはきわめてまれです。馬尾症候群といって48時間以内に手術が必要です。 ヘルニアで力が入りにくかったり、知覚がにぶったりするのは筋痛症の症状です。綱引きのあとや重い鞄を長時間もっていると指がそうなった経験があるでしょう。 ヘルニアや脊柱管狭窄で痛みやしびれがでることはありません。 これらの変化は外力によって生じた結果なのです。 痛みやしびれも外力によって生じたものです。 だから混同してしまうのでしょう。 痛みの治療と構造の治療は別問題です。 構造はあえて治さなくてもいいものが多いです。自然に治癒、不全治癒します。 痛みは構造の治癒と共に治ることがありますが、一向に治らない、治らないどころか強くなる、広がっていくことがあります。これを慢性痛といいます。 およその目安で3ヶ月ぐらいでしょうか。 急性痛=損傷+痛み 慢性痛=痛みそのもの(痛みのシステムの中枢性感作、末梢性感作) 当初より痛みの治療を優先して行うことが慢性痛を防ぐ最もたしかな方法です。 慢性痛は痛みそのものが治療の対象です。 外力は①急激な大きな外力(いわゆる打撲、ねん挫など)②慢性的な小さな外力(仕事、スポーツの動作)③精神的緊張(食いしばり、首や肩の緊張、握りしめ) 損傷は電子顕微鏡レベルの損傷(筋小胞体)、椎間板、半月板、腱板、関節軟骨、靭帯、腱、筋、骨などのマクロレベルの損傷とさまざまです。 骨が癒合しなくても痛みがないこともあります。骨が癒合しても痛みが続くこともあります。 慢性痛がどうして起こるかは、痛みの悪循環、脳の認知と反応で説明されています。 痛みは我慢しないほうがいいです。 自らの身体が痛みを起こすものの代表としてリウマチがあります。これは自己免疫疾患で、自己の体を攻撃するものです。 痛風、仮性痛風は代謝異常と関係して発痛物質が体内にたまります。 リウマチ、痛風、悪性腫瘍、感染症に伴った痛み、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛これらを除外したあとは筋筋膜性疼痛症候群(MPS)です。 MPSの中で特殊なものは全身に広がった線維筋痛症(FM)とCRPS(外傷のあと激しい痛みと自律神経症状や浮腫などを伴っている)があります。 __________________________ 世界的有名な生理学者Patlick Wallは著書「疼痛学序説」でつぎのように言っています。 椎間円板の役割について外科医の混乱は、突出した椎間円板を取り除く手術の割合が、国によって大きく異なることに反映されている。10年前に10万人あたり英国では100人、スウェーデンで200人、フィンランドで350人、米国で900人であった。この割合は現在下がり続けていて、神話がばらまかれて、少数の人の利益になるが多くの人の不利益になるような不名誉な時代は終わった。不利益をうけたある人たちは、手術の結果、明らかにいっそう悪くなった。 http://junk2004.exblog.jp/20995589/ 臨床試験の結果を無視
by junk_2004jp
| 2014-09-19 19:22
| 痛みの生理学
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