心療整形外科

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2014年 09月 23日

MPSについて

筋骨格系の痛みの多くは筋筋膜性疼痛症候群(myofascial pain syndrome、MPS)です。1983年にTravellとSimons は「筋筋膜性疼痛と機能障害:トリガーポイントマニュアル」という表題の膨大な書物でMPSを体系化しました。

MPSは我が国において認知度が低く、医療でうまく対応できていないためか患者数は2010年で成人の22.5%が慢性痛を持っているとの報告があります。

悪性腫瘍、感染症、リウマチ・痛風、神経障害性疼痛(幻肢痛、帯状疱疹後神経痛など)を除外診断(レントゲンや血液診断)できれば、痛みやしびれはMPSということになります。もちろんこれらの疾患にMPSが合併していることはよくあることです。

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛、頸椎症、椎間板症、神経根症、すべり症、分離症、肩関節周囲炎、腱板損傷、頚肩腕症候群、胸郭出口症候群、テニス肘,手根管症候群、肋間神経痛、変形性関節症、半月板障害、アキレス腱周囲炎、腱鞘炎、足底腱膜炎、シンスプリント、などと言われている疾患の痛みやしびれはMPSだと思っています。

MPSの症状は痛み、しびれのほかに罹患筋によって、力が入らない、耳鳴り、ふらつき、知覚鈍麻など多彩です。

特殊なMPSとして、痛みが全身に広がった線維筋痛症(250万人)、浮腫や強い痛みが続くCRPS があります。

MPSの原因は重力(外力)です。①一過性の大きな外力(転倒、むち打ち、打撲、ねん挫など)②慢性的な外力(生活習慣、仕事、スポーツ)③心理的な緊張(くいしばり、握りしめ、頚背中のこわばり)

MPSは慢性化しやすいと言われています。また部位が広がっていくこともあります。早期にトリガーポイント注射などの治療が必要です。手技は比較的簡単ですので、プライマリ・ケアの医師、専門外の医師が行えます。私は30ゲージ、27ゲージ19mm、38mm の注射針を使っています。

MPSは急性痛と慢性痛に分けられます。急性痛は「組織損傷+痛み」、慢性痛は「痛みそのもの」が治療の対象です。組織損傷は電子顕微鏡レベルの微小損傷から完全骨折のような大きな損傷までさまざまです。

組織損傷の治療と痛みの治療は別の問題です。組織損傷の治療は必要に応じて行えばいいですが、痛みは損傷が治癒(不全治癒)したと思われる時期を過ぎても痛みが残ることがあります。それが慢性痛です。中枢性、末梢性の感作がその本体と言われています。

慢性痛は「生物・心理・社会的疼痛症候群」といわれ、全人的対応が必要となってくることがあります。トリガーポイント注射のほかに認知行動療法や薬物療法が必要なことがあります。

変形性股関節症の痛みもMPSですが、可動域制限や脚長差はMPSを永続させる要因となっています。

不安、怒り、抑うつ、こだわりなどはMPSを拡大、永続させることになるでしょう。また不安やうつは痛みの閾値を低下させます。


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by junk_2004jp | 2014-09-23 10:43 | MPS | Comments(0)


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