2015年 02月 12日

メール質問

A先生のブログに「腰ヘルニアの神経障害を長く放置すると、治る可能性のある症状が後遺症として残り、悩み続けることになる」と書いてありました。

私も痛みが何年も続いていますし、背中や首まで痛みが広がっていて、ふらついたり冷感がしたりするので、手術が必要レベルなのでは・・・と不安になっています。

最近友人のご主人が@でヘルニアの手術をしました。「こんなにすっきりするならもっと早く手術すれば良かった」と言っていたのを聞き、ますます心配になってきました。先生のご意見をお聞かせください。


そのようなことはございませんので安心してください。

腰ヘルニアを放置したためにどのような症状が後遺症として残るというのでしょうか。私は長年医師をしていますが、そのような症例は見たことも聞いたこともありません。それどころか、手術をしたために大変辛いことになっている症例はみたことがあります。

そもそも、神経繊維を圧迫すると痛みやしびれが生じるという生理学は存在しません。

だから地球上で生活できるのです。

神経線維を圧迫したところでなにも起こらないのです。

神経線維を強く締めつけると麻痺がしょうじます。腰ヘルニアで麻痺が生じるのは「馬尾症候群」といって、48時間以内の手術が必要です。極めてまれな疾患です。

http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_528.htm

有名な疼痛生理学者パトリック・ウォールは著書の中でつぎのようにいっています。

椎間板の役割について外科医の混乱は、突出した椎間板を取り除く手術の割合が、国によって大きく異なることに反映されている。10年前に10万人あたり英国では100人、スウェーデンで200人、フィンランドで350人、米国で900人であった。この割合は現在下がり続けていて、神話がばらまかれて、少数の人の利益になるが多くの人の不利益になるような不名誉な時代は終わった。不利益をうけたある人たちは、手術の結果、明らかにいっそう悪くなった。


http://junk2004.exblog.jp/20995589/

次は北米脊椎学会会長も賛同していることです。

スミスのチームは、腰痛患者を対象としたX線やMRI(磁気共鳴映像法)検査も問題視している。 腰痛には無関係な異常を見つけるだけに終わることが多いためだ。

40歳以上の成人の8割には、腰の部分に膨らみなどの変形が見られる。医師は手術したくなるが、これは痛みの原因ではない。こうした「異常」がCTやMRIに現れても、腰痛と結び付けることにはほとんど意味がない。

大半の腰痛は筋肉の緊張などによるものだから、画像では原因は分からない。たとえ手術をしても、その効果は市販薬や連動や体を休めることとほとんど変わらず、手術だけは大きな危険を伴う。

腰痛は6週間もすれば、たいてい消える。だが患者は早く治したがり、医師や放射線技師には患者に早く治したいと思ってほしい金銭的動機がある。「腰痛の発症から6週間以内にMRI検査を行うのは、意味がないばかりか、手術件数と治療とコストを増やすだけだ」と、麻酔科医で北米脊椎学会会長のレイ・べーカーはいう。

プロディの提案に「拍手を送りたい」と言うべーカーは、ほかに脊椎専門医の大きな収入源になっている不要な処置があると考えてぃる。医療研究品質局によれば、07年には少なくとも35万1000 件の脊椎固定術が実施され、費用は総額262億ドルに上った。


http://junk2004.exblog.jp/11975069/

これは手術をしてもしなくても1年後の成績は同じという有名な研究です。


次のグラフは健常者にも多くの人にヘルニアがみられることを示しています。

b0052170_1821259.jpg


MRIによる健常者の年齢別異常検出率
BodenS.D.et al(J Bone Joint Surg Am 1990)

健常者でも多くの人にヘルニアがあります。

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以上のことから、ヘルニアが神経を圧迫して痛みやしびれが起きているのではないということです。

でも手術をしてすっきり治る人もいるのは事実です。

人間にそなわった儀式的効果、プラセボ効果ではないでしょうか。しかし、半年もすればまた痛みが再発するというケースが多いようです。

私の患者さんにも手術を経験したひとがとても多いです。

その先生もブログで書かれていますね。

「腰椎変性疾患は色々な形で再発があります。再発なく一生を終える人は幸運と思ってよいでしょう。少数の幸運な人がいる一方で、多くの人は再発を繰り返すことになります。私の経験では、2度や3度は希でなく、4度、5度、最も多いのでは頸椎2回と腰椎5回の計7回という患者さんがいます。」


私の患者さんでは「手足の痺れと全身疼痛が5年前から発症し、頚部3回、腰部2回もオペをしてしまいました。」

痛みやしびれは「脊椎の変性疾患」(老化)という考えは20世紀に席巻しましたが、21世紀の今はそれは間違いであったという反省がされています。

しかし、その考え方がまだ一般にひろがったわけではないですね。

今は「生物・心理・社会的疼痛症候群」=「筋筋膜性疼痛症候群」という考え方がされています。

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by junk_2004jp | 2015-02-12 18:39 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(1)
Commented by まこと at 2015-02-14 16:09 x
腰椎の手術は怖くない
そんな本 出した医師はあり得ないですよね。
手術するのは、許しても、怖くないなんて。
そんないい方、絶対してはダメですよね。


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