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心療整形外科

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2015年 07月 19日

圧痛点

今日、メールをいただいた

脊椎管狭窄症の手術をしましたが、術前の5倍の疼痛に苦しんでおります。術後、神経ブロック、鍼灸、整体など全く効果なく、うつ状態です・・・


なにもめずらしくはない。

このようなことがないように、患者さんのためにも、これから脊椎外科をめざす若き医師のためにも。

これから述べることは15年前から何度もHPでいってきた。2007年には私のHPを参考にして患者さんが「腰痛は脳の勘違いだった」という本を出した。

筋骨格系の痛みを診る開業医として知っていなければならない知識だ。

本やネットで勉強したのだから当然、深い知識はない。しかしヘルニアや脊柱管狭窄で痛みがでるといっている医師よりもよほど理論的だ。

ヘルニア・脊柱管狭窄症と言われている痛みには圧痛点は必ずある。

医師は画像をみるのに忙しく触診をしないという苦情をよく聞くので知らない医師がいるかもしれない。

理学療法士、鍼灸師、柔整師、マッサージ師は皆知っている。

腸腰筋は腰の深層筋で、左右の下腹部で圧痛が確かめられる。

圧痛点は痛覚が過敏になった点、痛覚過敏点だ。

ポリモーダル侵害受容器が病的に過敏になったところ。末梢性感作

どのようなメカニズムで痛覚が過敏になるのか。

組織損傷→炎症性メディエーター→35度で活性化(体温で痛み)
     神経成長因子→神経が体表に伸びる、受容体の数が増える

ヘルニアや脊柱管狭窄があるとどういうメカニズムで圧痛点ができるのかを説明しない限り、その圧痛点がヘルニアや脊柱管狭窄のせいだということができない。

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ポリモーダル受容器で生じた電気信号がC線維を通ってせき髄後角に入り脳へと向かう。

ヘルニア・狭窄があろうがなかろうが関係ない。それらのためにそこでブロックされ麻痺になるというのなら分かるが・・・。

硬膜外ブロックや神経根ブロックは末梢から生じてきた電気のながれをせき髄に入る手前でストップしようとしているのだ。

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視床下部、視床、海馬、扁桃体、大脳皮質

痛みが脳に入力されると反応がおこり、また次の痛みが生じる。痛みの悪循環

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そうしているうちに中枢性感作が生じ難治性の痛みになる。

慢性痛=神経障害性疼痛=末梢性中枢性感作=痛覚系そのものの故障

圧痛点=感作されたポリモーダル受容器=脳と直接連絡=脳の出先機関=治療点として有効


ヘルニアにより馬尾神経が絞扼され麻痺が生じた犬。痛み・しびれではなく麻痺。犬は解剖学的な条件でかなりこの麻痺がある。you-tubeで検索してみて。どの犬も痛そうではない。



人間でもヘルニアにより麻痺が生じることがあるが極めてまれで、膀胱直腸障害をともなう。48時間以内の手術が必要とされている。(馬尾症候群)



by junk_2004jp | 2015-07-19 00:20


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