2015年 07月 22日

NHKを見て2

http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/a01.html

全体的にいいことを言っている。

ヘルニアがあっても心配しなくてもいいとか、よく動くこととか。

気になるところは3つめのビデオ。

「変形した椎間板が神経を圧迫して激しい痛みを引き起こします。」

このような生理学はない。

神経に針をさせば、神経細胞膜に穴が開いて分局していた電位が脱分局して一過性の激痛が走る。

神経根ブロックがそうだ。

神経を圧迫しても脱分局は起こらない。

だから、健常者でも多くの確率でヘルニアがみつかる。

このような生理学に反したことをいうべきでない。

「9割は手術しなくても治る」それはヘルニアが消えてなくなるからだ、ということだが、「1割は消えてなくならないから手術が必要だ。」といっているようにみてとれる。

最初の段階で間違っているのだから、その後の説明は当然理論的ではない。

「ほとんどのヘルニアは消える」のなら、若いときはヘルニアが多いが高齢になるとヘルニアは少ないということにならなければいけない。統計をみるとそうではないが。

どれだけの期間待つのか?その間の治療はどうするのか。

早期から認知行動療法が重要と言われているが、「変形した椎間板が神経を圧迫して激しい痛みを引き起こします。」という生理学的裏付けのない情報を与えて、いずれ消えるだろうからよく動けというのか。

慢性痛を予防するには早期から痛みを止めることが重要だと言われているが、その時期を逸することはないのか。

脊柱管狭窄は骨なので溶けることはないがこの場合はどうなのか。

有名な痛みの生理学者Patric Wallの「疼痛学序説」には

神話がばらまかれて、少数の人の利益になるが多くの人の不利益になるような不名誉な時代は終わった。不利益をうけたある人たちは、手術の結果、明らかにいっそう悪くなった。

ヘルニアの突出と痛みはそれぞれ独立していて、痛みの発現におけるヘルニアの突出の役割ははっきりしない。

以前この手術を熱烈に支持していたマイアミ大学は、今ではこの手術をやめて、厳密なリハビリテーションのプログラムを採用している。


有名な痛みの生理学者、熊澤孝朗先生の著書「痛みを知る」を読むべきだ。

神経線維は通常、その末端にある受容器からの信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こしたりするようなことはありません。

痛みとその治療についての考え方が変わってきていることについて、医者はもちろん患者さんの側も含めた社会全体に理解が広まるよう、社会的な取り組みが必要となってきています。


脊椎外科医は痛みの生理学を初歩から勉強してほしい。

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by junk_2004jp | 2015-07-22 19:05 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(0)


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