2015年 09月 04日

洋の東西の痛みの生理学者からの警告

整形外科専門医や脊椎脊髄専門医が

「神経線維が圧迫や絞扼されると、あるいは牽引されると痛みやしびれが生じる」

「老化変性した組織から痛みが生じる」

といっているのは恥ずべきことだ。

日本の痛みの生理学の先駆者、熊澤孝朗は「再教育」が必要だといっている。

http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_511.htm

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まず大きな原因に、医学部およびコメディカル教育に痛みの教育が含まれていないことがあげられる。このことから、医療の原点であるとも言える痛みについて、医療者側の理解度が諾外国に比較して遙かに低い。医療者の理解が低ければ、もちろん患者側の理解も低くなり、日本の社会全般の痛みに対する理解が低くなるのは当然のことである。特に、この十数年の間に痛みの概念が変革した(前述)ことは、全ての科に関係のあることであり、現場の医療者は再教育されるべきである。


http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_565.htm

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a.医療者に慢性痛の概念がない

そもそも医師の処置が正しいのかどうかを論ずる前に、多くの医療者のなかに慢性痛や筋肉に関する概念がほとんどないというのは悲しい現実である。痛みは急性痛と慢性痛とでは病変がまったく違うため、治療法もまったく別のものとなる。アセスメントやマネジメントのためには、急性痛と慢性痛の鑑別は絶対的に必要である。

明らかな組織の損傷があるのか、ドラッグチャレンジに反応するのか、これらによって急性痛であることが明らかになれば、その組織の治癒を積極的に進める。それと並行して、痛みの管理も早期より積極的に進めるべきである。

これまでの医療では、痛みは合併症の1つとして、いわば“厄介もの扱い”で横に置かれることのほうが多かった。しかし、痛みが持続すれば、組織が治癒した後も慢性痛が生み出される可能性がある。これまでの痛み軽視の治療によって多くの慢性痛患者が生み出されてきたことは否定できない。

一方、これまで慢性痛については、急性痛と区別することなく、急性痛と同じような治療がなされてきた。「骨に異常がなければ、(なんとなく)リハビリを」始めても、合併症の1つとして痛みに対処している限り、また、原因となる疾患を探し出すことに終始している限り、慢性痛患者は救われない。

「痛み止めと湿布で様子をみましょう」、この不適切な処置を続けることは、ある意味、患者放置、医療放棄と言えよう。この放置期間中にも慢性痛は悪循環路線を進み、どんどんと悪化の一途をたどっていくこととなる。そして、「治らない」と訴える患者に、最後の砦とでも言うべき(何でもかんでも)「心因性疾痛」の診断を下し、「どこも悪くないのだから、大丈夫」と“痛みが実際に存在する”患者に言い放ち、診療は(一方的に)終了する。この患者は二度とその病院には来ないだろう。そして、ドクターショッピングを繰り返していく。これでは、いつまでたっても慢性痛患者は救われず、その数は増えていく一方である。

このような慢性痛患者に、「あなたの痛みは慢性痛という新たな病気です(明確な鑑別診断)が、からだを動かすことでずいぶんと楽になりますよ(ヒントとなる対処・治療)」と、ひとこと言える医療者がいれば、それだけで慢性痛地獄から救われる人は増えるだろう。慢性痛に運動は何よりの薬であることがわかってきている。正しい認識をもっているだけで、慢性痛治療は大きく変わり得るのである。

b.医療者に対する痛みの専門教育が少ない

医療者の慢性痛に対する知識不足や誤解は、痛みの専門教育が圧倒的に少ないことによる。前述のように、急性痛と慢性痛の病態がまったく違うこと、さらに慢性痛は立派な病気である(合併症の1つではない)ことさえ知っていれば、自ずとアセスメントもマネジメントも違うことに気づくはずである。

わが国の医療チームの現状では、互いに信頼をもってそれぞれの専門性に患者をゆだねることは難しいだろう。しかし、慢性痛は急性痛のように損傷部が局在化していないため、慢性痛患者はどの診療科、専門領域にも存在し得る。痛みの専門教育によって、すべての医療者が慢性痛を新たな病気として認識し、その知識を熟知することは必要である。

C.痛みに対する医療保険制度が未整備である

診療報酬の問題も痛みの診療に大きな制約を与える。理学療法では、痛みに対して行った治療は一般的に「消炎鎮痛等処置」として算定され、診療報酬が非常に低くなる。

身体的以外にも多くの問題をかかえる慢性痛患者のアセスメントやマネジメントを行うためには、各国の学際的痛みセンターが行っているような専門領域ごとに最低1時間は必要である。しかし、わが国においては、非侵襲的な検査や治療(このなかに理学療法も含まれるであろう)では保険点数はほとんど加算されないか、または非常に低い。そのため、どうしても短時間でより数多くの患者を治療するといった対応をせざるを得ない。この問題は、「社会における問題」とも深くかかわることで、わが国の医療環境整備の空洞化を象徴する1つとして、抜本的な改革が望まれる。




英国の痛みの生理学者Patrick Wall

http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_594.htm


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線維筋肉痛症候群と異なり、筋筋膜痛症候群(myofascial pain syndrome)の痛みは1つの領域に限局している。圧迫が痛みを生じる圧痛点(トリガー点)がある。このときの痛みは、遠隔部に拡がり、患者が訴えていた痛みに似ている

トリガー点の下に、ピーンと張った筋肉の帯を触れる。この帯にある筋肉を伸展したり、この帯に局所麻酔を注入したり、針を刺したりすると、痛みは緩和する。1930年代、初期の痛みの専門家のある人たちが、筋肉や靱帯の中に少量の高濃度食塩水を注射して、自分たち自身にこの病態に似た状態を再現した。痛みが注射部位から遠隔部に拡がり、丸1日間持続するのを感じた。患者はトリガー点やピーンと張った帯のある筋肉を動かせないかもしれない。あるいは、その筋肉を動かせば痛みが誘発される。筋筋膜痛症候群のトリガー点は、鞭打ち症のような脊椎損傷部位に現れるかもしれない。多数の研究者がトリガー点の領域から採取した生体組織を調べたが、異常は発見されなかった。ピーンと張った帯は収縮している筋肉によって作られるが、この収縮は痙撃するほど強くない。一部の人たちの痛みは、2ヵ月間続き、後遺症を残さずに消失する。対照と比較した研究はなされていないが、回復は局所の圧痛点の治療と、運動によって加速される。痛みが6ヵ月間あるいはそれ以上続くと、予後がだんだん悪くなる。圧痛点の局所治療は一時的緩和を生じるが、圧痛は戻ってくる

これらの病態では、問題と原因が圧痛点になければならないと,患者たちが確信している。圧痛点にそれを納得させるような異常が見当たらないので、本書でもう馴染みになったサイクルが始まる。

多くの医師たちは、局所性の原因がない局所性の痛みはありえないと思い込んでいる。したがって、局所性の原因を証明できないので病気は存在しないと結論する。これは、赤ん坊から沐浴水を独断的に放ることと同じである。この病態については、検討に値する筋の通った仮説がある。たとえば、脊髄内の少数の運動ニューロンの興奮によって、興奮性が高まった領域にピーンと張った帯が生じる。そして、この領域が感覚を生じるというものである。註1)実際には、原因がないこの痛みは、医師たちがそれを観察したことを認めているのに、英国では正しい病名で診断されていない註2)。


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by junk_2004jp | 2015-09-04 00:01 | 痛みの生理学 | Comments(6)
Commented by 岩本 at 2015-09-04 13:54 x
あなたが引用している日本の医師の文脈は、慢性のメカニズムを説明してるだけで、ヘルニアからの痛みを否定している文脈は一つもありません。
勝手に解釈するのやめてくれませんか?
他の先生もいい迷惑だと思いますよ。
あなたの理論でかいてください。
脊椎疾患をただの柔整や無資格者の整体が治療するのは非常に危険ですよ。
リンク先に怪しい無資格者はいませんか?
Commented by 岩本 at 2015-09-04 17:29 x
金沢脳神経外科のブログみてくださいね。
Commented by junk_2004jp at 2015-09-10 02:04
岩本さん、あなたは私のブログが気になってしかたがないんだね。
見に来なければいいのに。
私はあなたを説得するつもりはありません。

>金沢脳神経外科のブログみてくださいね。

どこですか、いくらでも反論してさしあげます。
Commented by at 2015-09-15 00:23 x
岩本さんは、加茂整形外科の患者だったのですか?
ちなみに、僕は元患者ですが。
Commented by 国松 at 2015-10-01 16:18 x
仁さん、はじめまして。おいらも 加茂整形外科の元患者です。
たぶん、岩本さんは金沢脳神経外科のお医者さんと
ちがうの か な ぁ・・・  m(__)m
Commented by ta at 2015-10-05 21:15 x
いや、腹話術でしょう。


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