心療整形外科

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2015年 10月 05日

ビタカイン製薬「トリガーポイント理論」を作成しました。

このたびビタカイン製薬様のご依頼をうけて「トリガーポイント理論」の作成のお手伝いをしました。

筋骨格系の痛みに対して、家庭医、内科医が対処できる。早期治療が大切。

これを契機に痛みの治療に関心を持たれることを期待します。

だれでもどこでもレントゲンなどの検査なしでも簡単に治療を受けられますように。

「はじめに」

筋骨格系の痛みの多くは、筋筋膜性疼痛症候群(myofascial pain syndrome,MPS)です。1983年に Travellと Simonsは「筋筋膜性疼痛と機能障害 :ト リガーポイントマニュアル」という表題の膨大な書物でMPSを体系化しました。

MPSは我が国において認知度が低く、医療でうまく対応できていないせいなのか患者数は2010年で成人の22.5%が慢性痛を持っているとの報告があります。

悪性腫瘍、感染症、リウマチ・痛風、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛などを除外診断 (レ ントゲンや血液 診断)できれば、痛みやしびれはMPSということになります。これらの疾患にMPSが合併していることもあります。

椎間板ヘルニア 、脊柱管狭窄症 、坐骨神経痛 、頸椎症 、椎間板症 、神経根症 、すべり症 、分離症 、肩関節周囲炎、腱板損傷、頸肩腕症候群、胸郭出口症候群、テニス肘、手根管症候群、肋間神経痛、変形性関節症、半月板障害、アキレス腱周囲炎、腱鞘炎、足底腱膜炎、シンスプリント、などと言われている疾患の痛みやしびれはMPSです。

MPSの症状は痛み、しびれのほかに罹患筋によって、力が入らない、耳鳴り、ふらつき、知覚鈍麻など多彩です。

特殊なものに、痛みが全身に広がった線維筋痛症 (罹患者数推定250万人)、 浮腫や強い痛みが続くCRPSがあります。

MPSの原因は重力 (外力)です。

1)一過性の大きな外力 (転倒、むち打ち、打撲、ねん挫など)
2)慢性的な外力(生活習慣、仕事、スポーツ)です。

老化による筋肉の質 、量の低下(サルコペニア)は外力に対応することが困難になります。

MPSは慢性化しやすく、また痛みの部位が広がっていくことがあります。早期にトリガーポイント注射などの治療が必要です。手技は比較的簡単ですので、プライマリ・ケアの医師、専門外の医師が行えます。私は30ゲージ、27ゲージ、19 mm、38 mmの 注射針を使っています。

MPSは 急性痛 と慢性痛に分けられます。急性痛は「組織損傷 +痛 み」、慢性痛は「痛みそのもの」が 治療の対 象です 。 組織損傷 は電子顕微鏡レベルの微小損傷 から完全骨折のような大きな損傷までさまざまです。

組織損傷の治療と痛みの治療は別の問題です 。組織損傷の治療は必要に応じて 行えば いいですが 、 痛みは損傷が治癒 (不全治癒)したと思われる時期を過ぎても残ることがあるので、早期より積極的に痛みの治療を行うべきです 。 慢性痛は中枢性 、末梢性の感作が起 きたもので 神経障害性疼痛とも言われています。

慢性痛は「生物・心理・社会的疼痛症候群Jと いわれ、ストレスや天候など日常生活の中に原因があ ると考えられるため、集学的な対応が必要です。認知行動療法や薬物療法が必要なことがあります。

変形性股関節症の痛みもMPSですが、可動域制限や脚長差はMPSを永続させる要因となっています。

不安、怒り、抑うつ、こだわりなどはMPSを 拡大、永続させることになるでしょう。 また不安やうつは痛みの閾値を低下させます。

本書によりMPSへの理解が深まり、適切な治療が施行されることを期待いたします。

加茂整形外科医院 院長 加茂 淳

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by junk_2004jp | 2015-10-05 14:01 | MPS | Comments(10)
Commented by しろやなぎわたこ at 2015-10-05 18:07 x
加茂先生
このたびはおめでとうございます。
今回の本、医療関係者以外も購入できますか?
もしできれば、受付で販売いただけると嬉しいです。
Commented by junk_2004jp at 2015-10-06 11:30
これは小冊子で発売されません。届きましたらさしあげます。今年中にできると思います。
Commented by 国松 at 2015-10-06 20:27 x
 先生、おめでとうございます。
大きな 第一歩ですね。
販売でも かまわないので、わたしにも わけて もらえないですか?
Commented by junk_2004jp at 2015-10-07 14:17
はい、了解しました。
Commented by しろやなぎわたこ at 2015-10-12 07:02 x
加茂先生、少し質問させてください。
「癌のために神経に触れて痛いから、触れないように手術する」
ということで手術をした知り合いがいます。
もちろん、私は伝え聞いただけで、ちゃんとした説明を聞けばいろいろ違うのでしょうが
このように「神経に触れて痛い」という説明を、私もこれまで散々聞いてきたように思います。
これらは実際はどのように説明されるべきなのでしょうか?
癌の場合は根本的に痛みが違うのでしょうか?
Commented by junk_2004jp at 2015-10-12 12:03
そうです。癌性疼痛のメカニズムはまだよく分からないのでしょう。

私の痛みの説明は最初から悪性腫瘍は除外しています。

良性腫瘍はどれだけ大きくても痛みの原因になりません。癌が必ず痛みを伴うものならそれは早期発見につながり返って有益なんでしょうが、そうでもありませんね。

Commented by MPSの鍼灸師@鹿児島 at 2015-10-15 15:30 x
加茂先生
本当に素晴らしいものが出来たようですね。私も楽しみにしております。

実は上の しろやなぎわたこ さんの質問を見て、私も同じような疑問を持っていました。
昨日「ためしてガッテン」で説明された片頭痛の説明も同様で
血管が太くなり周りの神経を圧迫して激しい痛みが起こると言っておりました。
片頭痛の一般的な説明ではありますが、これももしかすると間違っている可能性があるのではないかと思っています。
先生のコメントを頂戴できれば幸いです。
Commented by junk_2004jp at 2015-10-15 18:55
動脈と神経が並走しているところはいっぱいありますね。ところがほかのところではそういう話は聞きませんね。
また片頭痛といわれている人も鍼やTPBがよく効きます。
私も疑問に思っています。
Commented by MPSの鍼灸師@鹿児島 at 2015-10-17 05:50 x
やはり先生もそう思われていましたか。
鍼によって氷で冷やしたのと同じ、つまり血管を細くして
片頭痛を緩和させるという理屈はどうもピンと来なくて・・・。
(鍼はむしろ血流を良くする、血管を太くしているような・・・)
返信ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。
Commented at 2017-03-25 10:18 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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