心療整形外科

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2015年 11月 09日

トリガーポイントブロックは青い鳥ではない

一番大事なのは「痛みを知る」ことだ。

痛みのメカニズムをしり、心身医学を勉強して、患者とともに痛みを克服する。そういう強い意志を医師がもつことだ。

患者さんも自分で克服する。

[痛 みの定義] 国際疼痛学会   1986年

An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.

精 神科医 Harold Merskey を座長とするグループ

不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。


痛みは他人の体験であり否定しようがない。

痛みの二面性(感覚と情動)

感覚性・・・・「痛いッ!」・・・早い痛み・・Aδ繊維
情動性・・・・「辛い」「こわばる、凝る」「不安」「抑うつ」・・・遅い痛み、慢性痛・C線維


組織損傷が伴うもの・・・・・急性痛

組織損傷があるように表現されるもの・・・・慢性痛


急性痛は組織損傷があると炎症がおこり痛みの認知システム(火災報知器)が作動します。

つまり、「組織損傷がありますから気をつけなさい」という警報です。

損傷による炎症に反応した痛みです。

急性痛=炎症性疼痛=侵害受容性疼痛=生理的に意味のある痛み

警報装置は炎症が治ると自然に止まると思われていますが、そうとも限らないのです。

組織損傷の治療と痛みの治療は別問題なのです。

警報装置(痛みの認知システム=火災報知器)そのものが不調(過敏)になってしまうことがあるのです。

それが慢性痛(症)です。

慢性痛=過敏になった痛みの認知システム=神経障害性疼痛

タバコに火をつけただけで火災報知器がなり響くようなことになってしまいます。これでは生活ができないですね。

痛みの悪循環が続くと、およそ3ヶ月で慢性痛に変化するといわれています。

3ヶ月以上続いている痛みは慢性痛(症)(症候群)です。

痛みの発生装置であるC神経先端のポリモーダル受容器が過敏になります。

ポリモーダル受容器についている受容体の数がふえたり、神経が表面に伸びたり、温度に敏感になったりします。

この状態を末梢性感作といいます。

また、神経線維のジャンクションであるせき髄後角や背外側前頭前野が敏感になってきます。

これを中枢性感作といいます。(時間的加算、長期増強、下行性疼痛抑制系の機能低下)

この状態を慢性痛といいます。

ほとんどの慢性痛は広がっていきます。(グリア細胞)

この状態の人が成人の5人に一人いると言われています。

慢性痛の成り立ちは生理学の発展によりかなり詳しくわかっています。

私が医師になった40年ほど前とはえらい違いです。

痛みの認知システムの故障なんて抽象的なことを患者さんに説明するのはよほど勉強をした患者さんでないと理解することが困難です。

痛いと筋肉が緊張して次の痛みを作る一要因になりますから筋痛症という表現を使っているのです。

治療は過敏になった火災報知器をいかにリセットするかです。

「ヘルニアや脊柱管狭窄が神経を圧迫して痛い」「軟骨が減って痛い」なんて科学ではありません。

昔からの根拠のない言い伝えです。

私も若いころはそういう勉強をしてきましたが、これはもはや通用しません。

MRIの発展で椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄、軟骨や半月板、椎間板、
腱板のの変性は痛い人も痛くない人も同じような割合(中高年では6〜7割)であります。

過敏になった火災報知器をいかに普通の状態にもどすか、それが問題なのです。

認知行動療法

トリガーポイント注射、鍼



マッサージなど

個人差がとても多い分野です。

どう生きるかは当然のことですが医師が決めることではありません。

患者さんが決めることです。知識がないと決められませんね。

「トリガーポイントブロック」が有名になることはいいのですが、患者さんの中にはどこか魔法のポイントがあってそこにあたればすぐに良くなると思っている人がいる。

医師のなかにも痛みのメカニズムなんてなんの知識もなく、心身医学なんて大嫌いで、テクニックをちょいカジリでも「トリガーポイントやっています」といえるのがこの業界です。

慢性疼痛治療による健康増進


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by junk_2004jp | 2015-11-09 21:01 | 慢性痛 | Comments(0)


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