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心療整形外科

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2015年 12月 15日

整形外科教室は統計学教室になってしまった。

最新の「日本整形外科学会雑誌」の「JOS掲載原著論文要旨」で興味を引いたもの2題

⭕️症候性腰椎椎間孔部狭窄症の診断ツールの開発

画像上認められる腰椎椎間孔部狭窄は無症候性が多いため診断に難渋する。

JOAスコアの自覚症状と他覚所見の各項目、疼痛誘発手技(ケンプ、パトリック、ボンネット)の臥位時、座位時、・・・・

多変量解析、カットオフ値、感度、特異度・・・

カットオフ値を5点以上に設定した場合、画像上で認められる椎間孔部狭窄は有症状化している可能性が高い。


⭕️腰部脊柱管狭窄診断のための自記式問診表(SSHQ)の診断精度

感度、特異度、陰性的中率、カットオフ値。
新しいカットオフ値を用いたSSHQversion1.1はSSHQversion1.0に比して感度と陰性的中率が高い。したがってプライマリ・ケアでは脊柱管狭窄のスクリーニングにはversion1.1が有用。



ざっとこのような内容。統計学の知識がないとチンプンカンプン。

なぜ症状のないものと症状のあるものがあるのか。

その病理学的所見に差があるのか。

痛みやしびれの起こるメカニズムはどうなっているのか。

疼痛誘発手技の生理学的意義は。

どのようにしたら痛みやしびれがよくなるのか。

手術をしてよくならない場合は統計の誤差の範囲とみるのか。

つまり、医師でなくても、問診表をみることによってスクリーニングできる。診断ツールによって有症状化しているものを選別できる、というわけだ。

なぜそうなのか、痛みのメカニズムはどうなっているのだろうかといった根本的なことは考える必要はないのか。それが学問ではないのか。

こんなことで診断され手術されてはたまったものではない。

一家に一つ、「狭窄症発見アプリ!」(200円)なんてねw。




by junk_2004jp | 2015-12-15 02:25


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