2015年 12月 17日

神経可塑性障害としての「本態性疼痛」

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痛みの慢性化

基礎医学的視点 加藤総夫著

生理的疼痛の生物学的有益性に対し、このような痛みは、過度で、生物学的意義が薄い。これを、その発生メカニズムに基づいて「本態性疼痛」(筆者造語)と呼ぶことを提案したい。

組織損傷や侵害受容などの一時的な原因の存在しない、または同定できない痛みは急性であろうと慢性化していようと、時間経過によらずこのような「本態性疼痛」と呼んでよいだろう。

痛く苦しいことだけがその特徴である本態性疼痛の本質的背景は、痛みのさまざまな側面の制御にかかわる中枢神経系機構の可塑的変化であり、このような可塑的変化がしばしば時間に依存して成立するにすぎない。

したがって、本態性疼痛は、「神経可塑性障害」(筆者造語)の一つと捉えることができる。

「慢性痛(chronic pain)という言葉には「時間(cronos)」の要素が入っているが、本質的問題は発生機構であって時間経過ではないので、この語は適切ではない。

多くの臨床および非臨床研究の研究の結果やその解釈の不一致は、このような生理的疼痛と本態性疼痛の機構の混同や、慢性痛と本態性疼痛の機構の解釈の混乱に起因しているよいってよいだろう。

痛みの一時的な原因が末梢にありながら、その増悪や維持に中枢性機構が関与。

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不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。

組織損傷を伴うもの=生理的疼痛(筆者造語)
そのような損傷があるように表現されるもの=本態性疼痛(筆者造語)≒神経可塑性障害

「頚部背部腰部の本態性疼痛」「腰部および下肢の本態性疼痛」「膝部の本態性疼痛」「全身の本態性疼痛(線維筋痛症)」このような病名に統一したらいい。



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by junk_2004jp | 2015-12-17 03:24 | 慢性痛 | Comments(0)


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