2016年 02月 28日
http://www.pain-medres.info/chronic-pain/pdf/senryaku.pdf 科学文献をくまなく探しても、慢性の痛みそのものを改善する決定的な治療法を見けることはできません。従って、慢性の痛みの治療目標は、痛みを管理して患者の身体的および感情的な機能を回復させ、生活の全体的な質を改善させるようにすることです。 だから急性痛の治療がとても大切なのです!!! 私はしばしばメールや電話で相談を受けます。その例を紹介しますが、これは日本中どこでも毎日起きていることだとおもわれます。 医師に正しい知識を教えること、除痛の方法を教えることです。また一般の方にも知識を持ってもらうことです。 症例1 せきをしたとたんに突然右足に電流がはしり、激痛を感じて起立不能になりました。翌日、規模の大きい病院を受診し、症状の出方から椎間板ヘルニアが濃厚と言われ1週間後にMRIをとりました。MRI検査では「ヘルニア突出は軽度だか、神経に当たっているからこれだけの重い症状がでているのだ」と説明を受け、L5という場所にブロック注射をしました。しかし、症状が一向によくならず、ドクターにも不安を感じたため、⚪️大学付属病院の整形外科へ転院しました。先に撮ったMRIを見てもらったところ、確かにヘルニアはあるが僅かだし神経にも当たってない、これはヘルニアが原因ではないと診断されました。その後、様々な精密検査を受けました。エコー、腹部CT、再レントゲン、再MRI、血液検査です。いずれも異常所見がなく、担当医師も頭を抱えてしまいました。試しに入れてみたS1領域のブロック注射?もやや痛みは緩和するものの、10の痛みが6~7になる程度で依然として右足の痛みのため座位も立位もとれず、寝たきり生活が続いております。一か月に及ぶ寝たきり生活に危機感を覚え、自分なりに情報収集をしたところ、筋筋膜性疼痛症候群という病名に行き着きました私の現在の症状に当てはまるところがいくつもあり、この疾患なのかをドクターに診断していただく必要があると思いました。 ここような症例はしばしば診ています。診察にはレントゲンやMRIは必要ありません。 圧痛点を探せばいいのです。 ヘルニアが神経を押さえて痛みが出ることはありません。 急に痛みが出て立てなくなった。 筋肉の急激なスパズムが考えられます。 咳と関係ある筋肉は腰方形筋、腸腰筋、などでしょうか。圧痛点を探せばいいのです。圧痛点は痛覚過敏点です。 圧痛点に局所麻酔を注射すればいいのです。 痛みが0にならなくても、改善して歩行して帰ることができるようになるでしょう。 心理・社会的な要素がからんでいる場合もありますから注意深く再診します。 症例2 私は現在70才代です。通勤時間1時間程掛けた職場で働いています。2年程前、左足ふくらはぎ外側に強い痛みが生じ、近所の整形医に脊柱管狭窄症と診断され、薬を貰っています。現在6~7分継続に歩くと右モモが痛くなり、さらに歩くと両足のヒザ下がしびれます。少し休むと回復致します。最近友人の紹介された整形外科医院に行きMRIを撮りました。その結果、医師に80才前だからと手術をとすすめられました。友人、知人にこの手の手術を行なった者に話を訊くに、期待した結果になっていない様子です。友人の息子の医師より先生の本を紹介され読み、診察を是非にと要望する次第です。 多くの医師はこのような症例を「脊柱管狭窄症」と診断しますが、極めてナンセンスです。当初は腓骨筋か腓腹筋の筋筋膜性疼痛症候群だったのでしょうが広がったようですね。大事な急性期の痛みの治療のチャンスを逃しています。 「神経が圧迫を受けて痛い・しびれる」なんて専門家が言うべきことではありません。それを聞いただけで「こりゃダメだ!」です。 二つの症例のように医師よりも患者さんのほうが先に正しい知識にたどり着いています。医師よなにしてるんだ。 たとえば、「旅行から帰ってから膝が痛い」「旅行から帰ってからお尻から下肢が痛い」このような患者さんがいても「変形性膝関節症で軟骨が減っている」「脊柱管狭窄症です。」このような病名をつけてしまうのです。 「旅行に行かなかったら痛くならなかった」のでしょう。それなのに画像診断名を告げる。 これは医師の教育に問題があるのです。 またそういう診断をしないと保険診療を事業として継続していけないということもあるのです。 この本の題の表現をお借りすれば 「慢性痛の9割は医者がつくる」 「慢性痛の9割は保険診療がつくる」
by junk_2004jp
| 2016-02-28 23:22
| 慢性痛
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