2016年 04月 29日

慢性痛の話

最近、「慢性痛」というキーワードがようやく医療現場で頻繁にでてくるようになった。

これも製薬業界主導なのだ。

リリカ、トラムセット、トラマール、ワントラム、ノルスパンテープ、サインバルタなどの慢性疼痛用の薬剤が次々に保険適応されたためだ。

脊柱管狭窄症のときもそうだった。プロスタグランジンE(パルクス、リプルなど)の発売とともにだった。

旗振り役の学者先生の講演、パンフレットで我々開業医に浸透するという図式だ。

今回の「慢性痛」という概念の浸透はいいことだと思う。

慢性痛という概念を理解するには、「痛み系は独立した存在」で、その機能障害と考える必要がある。

こういう考え方は患者さんは慣れていない。@が悪いから痛いのだと今まで言われ続けてきたのだから。

私は「過敏になった火災報知器」というという説明をしている。痛み系そのものが治療の対象だ。

リウマチは炎症が続く病態なので慢性痛に入れるより「急性痛がコントロールしにくい」病態と考える。

「痛み系は独立した存在」

この概念と脊柱管狭窄症、ヘルニアで痛い、軟骨が減って痛いということは矛盾する。

「早く手術で解決しないと慢性痛になってしまいますよ」というべきなんだろう。

痛みが何かに従属して起きているというわけだから・・・。

圧迫骨折に従属して痛みが起きた場合も、いつも言っているように「骨折の治療」と「痛みの治療」は別々のこととして考えるべきなのだ。痛みの治療を優先すべき。

足首の捻挫もそうだ。靭帯損傷に対してはギプス固定が確実だと思うかもしれないが(最近ではゆるい固定のほうが靭帯修復にもいいと言われている)、痛みに対しては最悪の手当てとなる。CRPSタイプ1発症につながることがある。

脊柱管狭窄症を言っていた医師が慢性痛を説くってのは、改宗しないとできない芸当だ。

慢性痛というのは、ポリモーダル受容器から背外側前頭前野までの痛み系の不具合のことなのだ。

末梢性、中枢性の痛覚過敏症(感作)。

条件反射的、気候に影響、ストレスに影響。

「筋膜リリース」というキャッチフレーズはヘルニアや脊柱管狭窄症よりははるかにいいが、やはり痛みが従属したものという発想なので難がある。

患者さんにとっては分かりやすいイメージだろう。

しかし中枢性感作の結果でもあるわけだし。

治らない場合、再発を繰り返す場合はどう説明するのか。

とにかく慢性痛にならないように急性痛のうちに鎮痛すべきなのだ。

慢性痛になった場合は、患者さんの立場にたって、最善の方法を。



[PR]

by junk_2004jp | 2016-04-29 11:29 | 慢性痛 | Comments(0)


<< NHK「チョイス@病気になった...      またもや脊椎専門医の誤診の話 >>