心療整形外科

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2016年 05月 24日

病名が不適切にもほどがある

http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_594.htm

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疼痛学序説ー痛みの意味を考えるー Patrick Wall 著 横田敏勝 訳

筋筋膜痛症候群

線維筋肉痛症候群と異なり、筋筋膜痛症候群(myofascial pain syndrome)の痛みは1つの領域に限局している。圧迫が痛みを生じる圧痛点(トリガー点)がある。このときの痛みは、遠隔部に拡がり、患者が訴えていた痛みに似ている。

トリガー点の下に、ピーンと張った筋肉の帯を触れる。この帯にある筋肉を伸展したり、この帯に局所麻酔を注入したり、針を刺したりすると、痛みは緩和する。1930年代、初期の痛みの専門家のある人たちが、筋肉や靱帯の中に少量の高濃度食塩水を注射して、自分たち自身にこの病態に似た状態を再現した。痛みが注射部位から遠隔部に拡がり、丸1日間持続するのを感じた。患者はトリガー点やピーンと張った帯のある筋肉を動かせないかもしれない。あるいは、その筋肉を動かせば痛みが誘発される。筋筋膜痛症候群のトリガー点は、鞭打ち症のような脊椎損傷部位に現れるかもしれない。多数の研究者がトリガー点の領域から採取した生体組織を調べたが、異常は発見されなかった。ピーンと張った帯は収縮している筋肉によって作られるが、この収縮は痙撃するほど強くない。一部の人たちの痛みは、2ヵ月間続き、後遺症を残さずに消失する。対照と比較した研究はなされていないが、回復は局所の圧痛点の治療と、運動によって加速される。痛みが6ヵ月間あるいはそれ以上続くと、予後がだんだん悪くなる。圧痛点の局所治療は一時的緩和を生じるが、圧痛は戻ってくる。

これらの病態では、問題と原因が圧痛点になければならないと,患者たちが確信している。圧痛点にそれを納得させるような異常が見当たらないので、本書でもう馴染みになったサイクルが始まる。

多くの医師たちは、局所性の原因がない局所性の痛みはありえないと思い込んでいる。したがって、局所性の原因を証明できないので病気は存在しないと結論する。これは、赤ん坊から沐浴水を独断的に放ることと同じである。この病態については、検討に値する筋の通った仮説がある。たとえば、脊髄内の少数の運動ニューロンの興奮によって、興奮性が高まった領域にピーンと張った帯が生じる。そして、この領域が感覚を生じるというものである。註1)実際には、原因がないこの痛みは、医師たちがそれを観察したことを認めているのに、英国では正しい病名で診断されていない註2)。

1)訳者は、筋繊維の微小損傷と考えている。  2)わが国では数年前、トリガー点への局所麻酔薬注射の保険適用が認められた。



筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の診断基準 (Simons,1990)

International MYOPAIN Society

●大基準
1局所的な疼痛の訴え
2筋筋膜の圧痛点から関連痛として予測しうる部位での疼痛あるいは違和感
3触れやすい筋肉での索状硬結の触知
4索状硬結に沿った一点での強烈な庄痛点(ジャンプサイン)の存在
5測定可能な部位では、可動域のある程度の制限
●小基準
1圧痛点の圧迫で臨床的疼痛の訴えや違和感が再現する
2 圧痛点付近で索状硬結に垂直に弾くような触診を加えたり、圧痛点に注射針を刺すことで得られる局所的ひきつり反応
3筋肉を引きのばしたり(ストレッチング)、圧痛点への注射により疼痛が軽快する

診断には大基準5項目すべてと、少なくとも1つの小基準を満たすことが必用

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日本でもMPSを知っている医師はほとんどいない。

そのため適切な病名が使われていない。

病名が適切でないため、医師の頭は混乱していて、早期に適切な治療ができず、無駄な検査・手術を繰り返し慢性痛患者であふれている。

保険診療報酬も極めて不適切だ。

病名を適切に変更して、理にかなった診療報酬に改めれば、慢性痛患者は激減し、医療費もかなり下がるものと思われる。

椎間板ヘルニア 、脊柱管狭窄症 、坐骨神経痛 、頸椎症 、椎間板症 、神経根症 、すべり症 、分離症 、肩関節周囲炎、腱板損傷、頸肩腕症候群、胸郭出口症候群、テニス肘、手根管症候群、肋間神経痛、変形性関節症、半月板障害、アキレス腱周囲炎、腱鞘炎、足底腱膜炎、シンスプリント、・・・

これらの病名はすべてMPSだ。

急性痛=損傷の治療+痛みの治療 (ストレスが背景にある場合は痛覚閾値の低下があり当初より慢性痛のような様相を呈す)

慢性痛=痛み認知システムの治療

MPSの診断、治療には心身医学の知識が必要



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by junk_2004jp | 2016-05-24 04:35 | MPS | Comments(0)


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