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心療整形外科

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2017年 08月 02日

慢 性 の 痛 み を 管 理 す る た め の 戦 略



科学文献をくまなく探しても、慢性の痛みそのものを改善する決定的な治療法を見けることはできません。従って、慢性の痛みの治療目標は、痛みを管理して患者の身体的および感情的な機能を回復させ、生活の全体的な質を改善させるようにすることです。痛みには、複数の原因があります。主に身体の傷害に関連付けることができる痛みは、急性の痛みです。持続し慢性化した痛みの場合は、追加的な要因がしばしば関係し、幅広い問題に起因して痛みが生じている可能性があります。つまり慢性的な痛みの治療は、一般に痛みと生活習慣の多面性に対処する幅広い全人的な対応を必要とします。そして医学的処置と社会的支援に加え「積極的な自己管理」が重要な構成要素になります。注目しなければいけないのは、少しずつの変化を見逃さず、反応を評価することです。慢性的な痛みの治療のねらいは、「脳を再訓練する」ことなのです。痛みの減少は、通常 6-12 ヵ月の間にゆっくり起こります、しかし、時に、急速な改善が起こることがあります。以下は、慢性的な痛みのためのいろいろな処置の概要です。慢性的な痛みに対してどんな取り組みを始める場合でも、その前にエビデンスを慎重に評価することが大切です。これには、起こりうると考えられる副作用への考慮を含めなければなりません。

生物学的治療

これには、手術、神経ブロックおよび 薬物治療を含めます。また、薬物のくも膜下持続投与や末梢・脊髄刺激電極などの侵襲的治療などもあります。これらは、全体として、慢性的な痛みへの医学的効果のエビデンスは低いのです。 ただ、特定のケースで、一定の期間効果があるかもしれません。一般的に用いられる薬物には、消炎鎮痛剤、抗うつ剤、抗けいれん薬、およびオピオイドを含みます。また、抑うつや不安に対する薬理学効果も期待できます。

心理治療

認知行動療法は、患者の思考と行動のパターンを改善することを支援します。目標を設定し、それをいかに達成するかに焦点を当て、痛みとその影響(例えば、痛みと筋肉緊張、思考、感情、および行動)について正確に理解することが必要です。ライフスタイルを変え、睡眠パターンを改善して、例えば、ペース配分やリラクゼーションのようないろいろな技術を用いるなど、痛みや他のストレスへの対処方法を習得することを目的とします。

理学療法による治療(受動的および能動的治療法)

この治療は通常、理学療法士、運動生理学士、作業療法士などによって行われます。慢性的な痛みに効果が期待されるのは、積極的な自己管理です。そのためセラピストは、身体活動や運動プログラムを勧めます。この中には、運動治療、筋肉強化および姿勢トレーニングの範囲の進歩的なプログラムを含む場合があります。どんな治療も、動作や機能を改善し、日常生活をこなして人生を楽しむ能力を高めるために積極的に自己管理を推進することを目指しています。

補完代替医療(CAM)治療法

CAM は従来の慢性痛治療に対して補完的に、または代替して行われる医療形態のことです。これらは、次のように定義されます。1. 代替医療システム:現代医学とは別の理論体系を基にした医療システム。例)西欧の文化におけるホメオパシー、ならびにフラワー療法、および、非西欧文化における伝統的な漢方薬。2. 心身への介入 :身体に影響する心能力を強化する技術。例)カウンセリング、瞑想、祈り、音楽療法や芸術治療のような創造的治療法。これらは、一部の心理治療と重なることがあります。3. 生物学ベースの治療法 :自然の中の物質を使用する療法。例)栄養補助剤やビタミン、自然栄養食品、およびダイエット。4. 操作的身体ベース法:例)マッサージ、鍼、アロマテラピー、カイロプラクティック、および整骨療法。5. 自然エネルギー療法 :エネルギー場の利用に基づく。例)太極拳、レイキやタッチ療法。

慢性痛の治療にとってエビデンスは大切で、それは伝統的なアプローチにも CAM 療法にも当てはまります。どんな処置であっても、効果と副作用がありうることを充分理解してから取り組むことが必要です。医師や施術者の経験や資格、知識技術のレベルについてのアドバイスが必要な場合は、業務を統括している専門機関に照会してください。


by junk_2004jp | 2017-08-02 03:35 | 慢性痛


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