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心療整形外科

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2017年 12月 09日

筋・筋膜性疼痛症候群を患っている人たちはこれまでずっと辛い人生を送ってきた

筋・筋膜性疼痛症候群を患っている人たちはこれまでずっと辛い人生を送ってきた。医者に診せても、そもそも診察する医師の大半が慢性の筋・筋膜痛(chronic myofascial pain=CMP)の「存在を信じていない」のである。問題は、この症状に関して、科学的に信頼できるわかりやすい原因が明らかになっていないこと、診断基準が正式に認定されていないことだった。そのせいで、医師やセラピストのトレーニングが行なわれることもなかった。保険会社や社会保障庁の存在が患者たちの暮らしをさらに辛いものにした。しかし、今これが変わろうとしている。

議論の余地のない事実が明らかになったのである。トリガーポイントによって引き起こされる筋・筋膜性疼痛が本物の病気であることがついに立証された。トリガーポイントの発生原因、その正体、痛みやその他の症状を発生させるプロセスの多くが明らかになった。なぜ索状組織が緊張して筋肉を収縮させるのか、筋肉が堅くなるとなぜ痛みが発生するのかが明らかになった。

筋・筋膜のトリガーポイントは酸欠になった部位である。そうした部位はエネルギーを大幅に必要とするようになる。この部分的なエネルギー危機によって神経反応を起こす生化学物質が放出されると、その生化学物質は周辺の神経を感作する。感作された神経は、中枢神経系に作用することで、筋・筋膜のトリガーポイントの運動神経、知覚神経、自律神経に影響を与え始める。トリガーポイントのある筋肉は、常にエネルギー危機状態にある。

筋・筋膜のトリガーポイントは、電気生理学的には、特有の自発的電気活性によって特定し、立証することができる。組織学的には(細胞の構造が変化するという意味では)、筋硬結、いわば「しこりや腫れ」によって見わけられると言えるのではないだろうか?こうした現象はいずれも、神経伝達物質アセチルコリン(ACh)が運動神経終板(複雑な神経末端形成)から放出されすぎたときに発生するようだ。

現在では、筋・筋膜のトリガーポイントは筋電図によって客観的に確認されている。また、超音波画像診断ではトリガーポイントの局部的なひきつりを、生検では筋硬結や丸くなった大きな筋線維を確認することもできる。以下の論文によれば、「筋・筋膜トリガーポイント特有の神経終板の機能異常には、神経終末と接合後部の筋繊維の双方が関わっている。この関係から、筋・筋膜のトリガーポイントは神経筋疾患であると認められる」(Simons DG. 1999.「トリガーポイントによる筋・筋膜性疼痛の診断基準」J Musculoskeletal Pain 7(1-2):111-120.)。

筋・筋膜のトリガーポイントは必ず緊張した索状組織に見つかり、こうした索状組織は、組織学的には、異常な神経終板に神経伝達物質アセチルコリン(ACh)が過度に放出されて発生する筋硬結と関わっている。トリガーポイントの発症機序には、神経終末の重大な障害と、機能不全に陥った多数の神経終板における収縮のメカニズムが関係しているようだ。ホン博士は、線維筋痛の圧痛点に関する理論もまとめている(Hong, C-Z. 1999.「筋・筋膜のトリガーポイントに関する最新研究――病態生理学的研究」 J Musculoskeletal Pain 7(1-2):121-129.)。





by junk_2004jp | 2017-12-09 02:53 | MPS


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