心療整形外科

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2017年 12月 26日

20周遅れのランナー

MRIが作られる
病名が作られる(脊柱管狭窄症)
患者が増える
医療費が増える
痛い人が増える

「脊柱管狭窄症の手術をしたがよくならない」今日も新患で2人いた。電話での相談が一人いた。再診の人はたくさんいる。

私が医師になったころは脊柱管狭窄症という病名はなかった。いつのまにか登場し、あっという間に広がった。

当然のことながら患者さんは増え、医療費はアップし、それで痛い人が減るのなら喜ばしいことなのだが、返って増えているのではないだろうか。

30年ほど前に痛みの生理学は爆発的発展をみた。

それ以前は「神経根が(ヘルニアや脊柱管狭窄、椎間孔狭窄などで)圧迫を受けると、その神経の支配領域に沿って痛みや痺れが生じる」というものだった。

つまり痛みの生理学は存在しないで、全くの暗闇だったのだ。

痛みの生理学の発展によって、「痛みが生じるメカニズム、痛みの悪循環、痛みの広がり、痛みの慢性化」について詳しく分かってきた。当然、神経根圧迫説は否定されたわけだ。

1986年に痛みの定義「感覚性、情動性の体験であり、組織損傷を伴うものと組織損傷を伴わないものがある。」

これらを受けて、従来の整形外科的治療の成績が悪いことに対する反省が行われた。

20年ほど前、イギリスやオーストラリアでは腰痛など筋骨格系の痛みに対して、従来の「いわゆる整形外科的な損傷モデル」から「生物・心理・社会的疼痛モデル」へと移行した。

英国の調査では20年前から「MRIが腰痛治療の改善に寄与していない」と言われている。

我国では現在でも、イギリスやオーストラリアが20年前に捨ててしまったの理論で診断治療が行われている。

もう20年も経っているのだから、知らなかったでは済まない。

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by junk_2004jp | 2017-12-26 17:53 | Comments(0)


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