心療整形外科

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2017年 12月 29日

MRIの普及と医師の思考停止

私は今年70歳になった。医者人生も第4コーナーを回ったあたりだ。

「近頃の若い医者は・・」と小言を言える歳になったわけだ。

MRIがそろそろ日本に登場は35年ほど前、私35歳頃。

痛みの生理学のビッグバンは30年ほど前、この頃、「痛みの定義」ができた。私40歳。

その影響で痛みの臨床が英国、オーストラリアで大きく変化したのは20年ほど前で、私50歳。従来の整形外科的損傷モデルより生物・心理・社会的モデルへと移行した。

それが日本でも報じられるようになり、私はホームページを作る。54歳。

上記の時系列を参考にしてください。

日本では依然として、古い時代の医学(神経圧迫や老化が痛みの原因)のままで、MRIがすごい勢いで普及した。MRIは損傷を探すのに用いられたわけだ。

そのことが医師の劣化に拍車をかけたように思う。

今のままでは、医師以外の治療家とますます差が開いてしまうと思われる。医師が負けるという意味だ。

医師はMRIを見て、治療家(理学療法士、鍼灸師、柔道整復師、マッサージ師など)は触診をする。触診のほうがいいに決まっている。

MRIは骨折、悪性腫瘍の部位や麻痺の部位を特定するのには極めて有効だが、痛みには有効どころか悪影響を及ぼしかねない。

MRIに異常がないと、なにも治療ができない。

MRIに異常があるとそれが痛みの原因のように説明する。

患者は専門医が詳しく検査した結果だからそれを信用するが、それは痛みの持続を保証することになる。

症例

30歳代、マラソン趣味、2ヶ月前、ランニングで右膝痛。MRIで半月板損傷を指摘されるが湿布と飲み薬で様子見。当院受診、内側・外側広筋にある圧痛点をブロックする。すぐに痛みがとれる。

症例

40歳代、左肩が痛く運動制限。MRIで腱板損傷ありでなるべく安静に。半年後、当院受診。肩の可動域ほぼ0。圧痛点ブロックで大幅に痛み、可動域改善した。

いつのまにか骨折」があるように「いつのまにか腱板損傷」「いつのまにか半月板損傷」「いつのまにかヘルニア」がある。

骨棘形成などで脊柱管狭窄になるが、これが痛みやしびれの原因にはならない。

このような変化は健常人でもごく普通に見られることを言うべきなのだが。

構造の治療と痛みの治療は別問題なのだ。

痛みを早く治療すること。

構造は治療しなくてもよいことがほとんどなのだ。

MRIはみえなくてもいいものまで見えてしまう。

医師はそれが気になってどうにも止まらないわけだ。

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by junk_2004jp | 2017-12-29 18:51 | Comments(1)
Commented by しろやなぎわたこ at 2017-12-31 15:41 x
加茂先生
今年も1年間、長時間のご治療とたくさんのブログ発信ありがとうございました。
全国TV番組でも取り上げていただいて、これでやっと先生のご意見も正論として認められるだろうなんて思いましたが、甘かったです。先生のことをあんなに上手にまとめて取り上げてくださった番組でさえ、色々大人の事情はあるのでしょうが、正反対の理論をまた堂々と発信。
私も相変わらず微力ながら伝え続けていますが、やはり、伝わらない方もいらっしゃいます。
しかし、先生のことをお教えした方の中には、本当に先生の治療を受けに行かれて、感謝の言葉を頂いたことがあるのも確かです。
どうぞこれからもお元気でご活躍くださいませ。
私もそろそろお伺いしたいところです。
良いお年を。


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