心療整形外科

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2018年 01月 03日

同情するが・・・

不必要な検査をして患者に恐怖を植えつけているのではないか。

我国では痛みに関してひと昔前の医学が行われている。

痛みの生理学が爆発的な発展をして、痛みが定義されたのが30年前。

それによって痛みの臨床が変化し始めたのは、イギリス、オーストラリアで20年前。基礎医学と臨床医学にタイムラグあり。

つまり、50歳以上の医師は痛みに関して間違った教育を受けた。

30歳代、40歳代の医師も先輩医師から教育を受けているのでなかなか脱却できない。

しかしこれは医師にとっても患者にとっても不幸なことで重要なことなのだ。

間違った説は「神経が圧迫されると痛みが起きる。」「老化した椎間板や軟骨などは痛みの原因になる。」

痛みやしびれを「神経症状」と書いていれば、それだけで「この人は分かっていない。」といえる。

「神経症状」とは神経麻痺症状のことで痛みとは真逆の現象だ。

痛みが続くと神経麻痺になることはない。

痛みが続くと線維筋痛症になることがある。

痛みは時と場合によって強さが変化するが、神経麻痺は変化しない。

間違ったことを習って、手術を勉強した人には同情を禁じ得ない。

生涯をかけてやってきたことを否定されるのだから、自らはなかなかできないことだ。

Rosomoff博士はそれをやった勇気ある人だ。2001年の文献から。

同博士は1970年代には同センターで数多くの腰部手術を手がけ、だれもが同博士の手術によって、患者の腰痛は劇的に解消きれると信じていた。
しかし、患者に集中的な術前リハビリ・プログラムを始めたところ、2週間後には手術が必要なくなったのである。同博士は「腰痛患者への手術は一時的に凍結し、リハビリを行うよう患者を指導すべきだ。どのような患者にも、6か月間のリハビリが終了するまで手術を行ってはならない。患者の99%は手術対象からはずれるはずだ」と主張した。
同博士はfailed back surgery syndromeについて「腰が勝手に悪くなるのではない。医師が悪くするのだ」とし、「同症候群の原因は最初の患者評価が不十分なためで、多くの症例では痛みの根源は脊椎や周囲の神経ではなく、むしろ筋肉や靱帯などの支持組織にある」と述べた。
「疼痛学序説 痛みの意味を考える」  Patrick Wall 著 横田敏勝訳 2001年

椎間板の役割について外科医の混乱は、突出した椎間板を取り除く手術の割合が、国によって大きく異なることに反映されている。10年前に10万人あたり英国では100人、スウェーデンで200人、フィンランドで350人、米国で900人であった。
この割合は現在下がり続けていて、神話がばらまかれて、少数の人の利益になるが多くの人の不利益になるような不名誉な時代は終わった
不利益をうけたある人たちは、手術の結果、明らかにいっそう悪くなった。
***
除痛のために行なう最も大きい末梢手術は、椎間板ヘルニアの除去術である。一部の外科医たちは、椎骨の動きを制限するための骨移植を同時に行なっている。椎間板ヘルニアの手術は70年以上もの間行なわれてきた。もてはやされたこともあったが、疑問が増し続けている。
ヘルニアの突出と痛みはそれぞれ独立していて、痛みの発現におけるヘルニアの突出の役割ははっきりしない。

椎間板ヘルニア溶解術のプラシーボ対称試験のため、全身麻酔下に特に害のない液を注入したところ、その後の回復率が非常に高かった。
ヘルニアが運動神経を切断して運動麻痺を生じることが証明されたように思われていたが、痛みがあると中枢性の効果によって筋肉が消耗するので、今では疑わしい。
以前この手術を熱烈に支持していたマイアミ大学は、今ではこの手術をやめて、厳密なリハビリテーションのプログラムを採用している。またもや、手術が有効なのか、暗示によるものか、それとも痛みの明らかな発生源部位組織の何か非特異的な撹乱によるものか、全くはっきりしない。



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by junk_2004jp | 2018-01-03 04:09 | Comments(0)


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