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心療整形外科

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2005年 06月 02日

患者個別のスタディーはRCTよリ上位のエピデンスである

EBMでは、RCTやその系統的レビューが最もエビデンスレベルの高いものとされている。しかしEBMの提唱者は、「患者個別のスタディー」をRCTよりも上位に置づけており、患者の個別性を最重視している。
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「RCTが最上位のエビデンスだとされているが、必ずしもそうではない」と語るのは、札幌山の上病院の中川仁氏。

「私はEBM発症の地である、カナダのマクマスター大学のEBMワークショップに参加したことがある。そこでEBMの捉唱者の一人であるG.ガイアット氏に直接指導を受けた。その際、彼から聞いた言葉の中で印象的だったのは、慢性疾患においては、N-of-1 trial(単一事例試験)が、RCT以上にエビデンスレベルが高いということだった」と振り返る。

実際に試せば話は早い

N-of-1 trialとは、1人の患者に別々の治療法を行い、その結果から治療法の効果を比較するものだ。簡単に言えば、どの治療法がいいかを患者で実際に試してみる方法である。

例えば、ある治療法とプラセボなどの対照を、盲検としてランダム化し、一方の処置の効果が消えてからもう一方の処置を行い、その結果を評価する、という方法だ。

高血圧や高脂血症などの慢性疾患では多様なRCTが行われているが、その結果からはどちらの薬剤(治療法)が、より効果的であるかが判定しにくい場合が少なくない。一方、患者に実際に試したN-of-1 trialの結果は、その患者にとって最上位のエビデンスである。

EBMにおいては、RCTが重視される一方、観察的研究である症例研究やケースシリーズ研究が軽んじられる傾向にあった。

「結局、RCTだ、系統的レビューだといった言葉に振り回されているうちは、EBMの負の面が出ているということ。RCTがいい研究の一つでしかないことに気付かないうちは、そこから抜け出せない」と中川氏。

実際に臨床医が個別にN-of-1 trialを行うには手間がかかる。しかしEBMは、それを重視すること、つまり個々の患者から得られる情報を汲み取ることを、臨床医に強く求めているのである。

日経メディカル2・2005  「特集」EBMが遺したもの    より


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個人差の大きい痛みについて外国製のRCTは参考程度です。

今日の腰痛の患者さんは牽引を希望していらっしゃいました。牽引をすると楽になるということです。それはEvidenceがありませんなんてことはいいません。

牽引をすると楽になるというのはその人にとってのEvidenceなのです。

痛みに関しては mechanism based medicine を基本にして個人差を考慮すべきです。

by junk_2004jp | 2005-06-02 21:00


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