心療整形外科

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2005年 07月 26日

痛みの分類

痛みの分類
はじめに述べたように,痛みには不可欠なものと不要なものとがある。そこで痛みを分類すると,1)侵害性疼痛ー生体に何らかの侵襲が加わったことを知らせ,防御機構を発現させるのに重要な役割を持つ。これが本来痛みが持つ役割と考えられる。2)癌性疼痛ーこの痛みは侵害性疼痛に加えることもあるが,ここでは以下に述べる理由により別に分類した。この痛みの発生は,侵害受容器への刺激に加えて,癌による神経圧迫や浸潤,臓器の機能障害や治療に伴うもの,その他多くの原因によって発生する。そして,前述したように,癌性疼痛の40~70%が次に述べる神経因性疼痛に移行しているとの報告が多い。癌患者の中には,モルヒネを含むあらゆる治療にも十分な鎮痛が得られない例が報告されており,その痛みの発生基盤には何らかの神経損傷が関与しているものと思われる。3)神経因性疼痛ーこれは,末梢および中枢神経の損傷を基盤とし,受傷からある時間をおいて発生してくる激しい痛みである。これには,軽微な痛み刺激でも激しい痛みとして感じる痛覚過敏(hyperalgesia),不快な異常感覚を伴う自発痛(dysesthesia),本来痛みを発生しない軽い触刺激でも痛みを引き起こすアロディニア(allodynia)や切断した四肢に痛みを訴える幻肢痛(phantom limb pain)などの異常痛がある。4)心因性疼痛ー心理的要因によって引き起こされる痛みで,仮面うつ病や神経症などでみられる。


痛みは①侵害受容性疼痛②神経因性疼痛③心因性疼痛に分類される。(④癌性疼痛を別にしている研究者もいる。)

①侵害受容性疼痛は最も一般的な疼痛で、外力や内因性の発痛物質が侵害受容器を刺激して痛みがおきる。
②神経因性疼痛は神経回路の可塑的変化が基盤にある痛み。可塑的な変化は,感覚回路網の代償機構であると考えることも出来る。もしそうであるなら、神経因性疼痛は過剰な、または不十分な代償の結果起こっているのかもしれない。

①②ともに、生理学(痛みのメカニズム)に基づいた分類ですが、③心因性疼痛だけは、臨床上の分類になっていて、①や②と同じレベルではありません。

③心因性疼痛を生理学的に表現すると、①でも②でもない痛みということになるのでしょうか?つまり、神経回路は正常で侵害受容器が関与していない痛み。幻の痛み、遠隔透視のような痛みとでも申しましょうか。

心因性疼痛ー心理的要因によって引き起こされる痛みで,仮面うつ病や神経症などでみられる。

この説明は疑問です。うつや神経症の痛みもその多くは侵害受容性の痛みです。心因性疼痛だけが、生理学的な分類になっていないのが気になります。

では、ヘルニアが神経根を圧迫して、あるいは神経根炎を起こしているために起きた痛みといわれている痛みはどこに分類できるのでしょうか?症状や経過からは明らかに①侵害受容性疼痛なのですが、定義では神経線維の途中に障害がおきたための痛みということで②の神経因性疼痛ということになりますが・・。

皆様はどう思われますか?


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by junk_2004jp | 2005-07-26 11:29 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(6)
Commented by sansetu at 2005-07-27 11:54
神経因性疼痛・・・くせものですね。本当に他の痛みと明確に判別できるものなのでしょうか?大いに疑問です。実際には一つの痛みには複数の責任領域が関わっていると私は考えています。
そしてその中には操作可能な、他者や自己の力で「救える領域」も必ずや含まれていると思っています。その可能性を想像力豊かに追求することが、特に現場では大切ではないかと自分では思っています。
五つ荷物を抱えている人に対しては、たとえ一つでも確実に持って上げることができれば、全部の解決はなくとも、せめて、元気や勇気の足しにはなるんだ・・・と思っていたいです。
Commented by elly_mylove at 2005-07-27 13:13
神経因性疼痛・・・。
私もこれかな?脳が記憶をしているんです。。。といわれた痛みはこれでしょうか。抗うつ薬が私の場合ヒットするので心因性といわれるのですが、ハッピーなときでも痛いときは痛いし、自律神経失調症状も同時に出てきてそんなに単純ではないので。。

それにしても、みんなそんなに簡単には治らないので、今私も付き合っているという状況ながら、スポーツも出来ているし、早いうちにいい先生にめぐり合ってややこしい手術をしなかったこと。薬に順当に反応することをとてもラッキーだったと思っています。
Commented by junk_2004jp at 2005-07-27 14:51
今の段階では、慢性疼痛を神経因性疼痛には入れていないようです。
帯状疱疹後神経痛、幻肢痛、CRPStypeⅡ、など限られたものだと思います。
Commented by keisyan at 2005-07-27 16:36
CRPStypeⅠはどこに分類されるのだろう?神経因性疼痛とはハッキリいえないのかな?やっぱし 「よーわからん痛み」 なんか?ブログ書き直しが必要かな?
Commented by keisyan at 2005-07-27 17:36
sansetuさんへ
>五つ荷物を抱えている人に対しては、たとえ一つでも確実に持って上げることができれば、全部の解決はなくとも、せめて、元気や勇気の足しにはなるんだ・・・と思っていたいです。
うんうん(^^♪
Commented by 三節 at 2005-07-27 18:10 x
先生、分かりました。
ケイシャン、サンキュー。


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