2005年 09月 11日

痛みのRCT

痛みの治療のRCT(Randomized Controlled Trials)は治療者による病態の説明の如何に大きく影響されるものと思われる。それは病態を説明しないで治療することはありえないからだ。そして、痛みの病態に関する考え方は医師によって大きく違う。この点は他の疾患(たとえば骨粗鬆症や高血圧症など)のRCTと大きく違うと思うが。

たとえば、山田さんに対するトリガーポイントブロックでも・・・・

A医師「腰椎の分離辷り症です。これはひどいですね。たぶん手術が必要になると思います。うしろに反り返るようなことはしてはいけませんよ。それから重いものを持つときはコルセットを付けたほうがいいでしょう。とりあえず痛み止めの注射をしておきます。1Wに再診してください。」

B医師「レントゲンでは特に心配する病気はないです。痛みはストレスが原因で筋肉が強く緊張した状態が続いているのが原因だと思います。(圧痛点を押さえて)この痛みがあなたが感じている痛みですね。ここに局所麻酔を注射します。これは、血流をよくして痛みの悪循環をストップさせます。一時的な痛み止めということではありません。どうですか、ちょっと動いてみてください。」

「あ~、楽になりました。でもここのところがもう少し・・・・」

「そうですか、それではそこに追加しましょう。これでどうですか・・・・。」

「はい、ずいぶん楽になりました。」

「それでは、自信を持ってよく動かすようにしてください。必ずよくなりますよ。1W後に再診してください。」
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A、Bは極端なケースかもしれませんが、両方ともトリガーポイントブロックをしたことには間違いありません。その効果は見当つきますね。

A医師はやはりトリガーポイントブロックは効かないと思うようになるでしょう。B医師はよく効くと思うようになるでしょう。

AKAの議論も同じことなのです。ただ、生理学や薬理学などで合理的に説明できるかどうかという問題は別ですよ。

腰椎分離辷り症に対してトリガーポイントブロックが効くか?という議論はこのように無意味なのです。同じことがヘルニアについてもいえます。病態のとらえ方、治療の意味の説明が痛みには大きく左右するものです。

完全なRCTを望むなら、患者に診断名や治療の意味を伝えないで行う必要があるのではないかな。不可能でしょう。

また、トリガーPの代わりに鍼、マッサージ、など何でも入れ替えてみても可能なことでしょう。


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by junk_2004jp | 2005-09-11 08:09 | 痛みの生理学 | Comments(0)


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