心療整形外科

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2005年 10月 17日

痛みの種類

心因性の痛みという表現は誤解のもとですから、私は使いません。ほとんどの痛みは内因性の発痛物質(ブラジキニン)が侵害受容器(ポリモーダル受容器)を刺激して閾値を超えると痛みが生じます。侵害受容性疼痛といいます。

内因性の発痛物質を作るのも交感神経の緊張という脳の仕業なのです。だから、心因性の痛みともいえます。

神経因性疼痛とは、神経繊維(神経の先端のアンテナから大脳まで)が障害を受けたときの痛みです。帯状疱疹後の神経痛、幻視痛、怪我や手術によって神経繊維が傷ついたときの痛み(CRPStypeⅡ)、など限られたものです。

侵害受容性疼痛、神経因性疼痛は、痛みのメカニズムに基づいた生理学的な表現なのですが、心因性疼痛は臨床的な表現なのです。だから、同じレベルでは比較、対比できないのです。

痛みとは極言すれば、電気系統の不具合なのです。どこかで電位差が生じ、それが閾値を超えると電流になり、脳に伝えられます。脳はその電気信号を読み解いているのです。痛みの認知といいます。個人差が大きいものです。

痛みを整形外科医が診るということは、電気系統の不具合を大工さんが見ているようなものです。

整形外科医は、「治すべき損傷はないか、感染症はないか、悪性腫瘍はないか」をみればいいのです。つまり除外診断です。変性と損傷は違います。椎間板損傷、半月板損傷、腱板損傷などという表現がありますが、これらはいずれも変性というべきもので、健常者でも普通にみられるものです。このあたりの表現が難しいものです。治療の対象となる損傷とは、「明らかな損傷」とでもいいましょうか、健常者ではあり得ない損傷のことです。たとえば、腱断裂、肉離れ、靱帯断裂、骨折など。
無症候性肩における腱板完全断裂の頻度
無症状膝のMRIにおける異常所見の発生頻度

損傷があれば、損傷の治療と痛みの治療を同時進行すべきです。損傷の大きさと痛みの強さは比例しませんし、損傷が治癒すれば痛みも治癒するといったものではないからです。

治すべき損傷(骨折、靱帯、腱、筋肉の損傷)がなければ、心療内科の先生に紹介すべきです。といっても自分ですればいいことで一人二役です。おまけに注射はお手の物ですからね。この時に、痛くないように工夫すべきです。硬膜外だの神経根だのという考えをおこさないことです。痛みは神経の先端でおきているのです。わざわざ通り道かもしれない深い所を狙う意味がないと思います。

痛みに関しては、エビデンスではなくて、mechanizm based medicine だと思います。

なにげに生じた痛みが、慢性化してしまう可能性はいつもあります。慢性化とは、脳の可塑的変化なのでしょう。いったん慢性化するととても厄介なものです。

痛みに介入すべきでないという意見もありますが、それは個人の自由です。医療現場で実際に慢性化した患者さんをみていますと、初期まで時間を巻き戻してうまく介入すれば、何とかなっただろうにと思います。


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by junk_2004jp | 2005-10-17 23:59 | 痛みの生理学 | Comments(0)


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