心療整形外科

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2005年 10月 24日

慢性痛と運動系~運動器の痛みを探る~ シンポジウムに参加して

昨日、表題のシンポジウムにいってきました。フロアーからの意見も参考にして、私の考えを織り交ぜてまとめてみました。あくまでも私個人の理解を述べたもので、発表者の意図とちがっているかもしれません。

① central original psychosomatic pain
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      脳に器質的な異常なし
      末梢からの痛み信号の入力なし。
      脳から、交感神経や、免疫系への出力なし。
      なのに体のある部分が痛む
      心気症、転換性障害(ヒステリー)
      真の心因性疼痛
     
      つまり、末梢となにも関連をもっていないので、
      末梢からの介入は期待できなく、治療には精神医学の専門家が必要なことが多
      い。


②脳と末梢の間で情報のやり取り(入力、出力)のある痛み
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       ほとんどの痛みはこれ!
       末梢からの介入で痛みの悪循環が止まることが多いのだが、慢性化とともに、
       中枢部での可塑的変化が生じるので、認知行動療法などの、中枢への働きか
       けが必要となる。

       当初は②の痛みであったものが、①の痛みへと変化することもあるのだろう
       か?①の痛みが必ずしも慢性化するとはかぎりません。

       私の臨床経験では、②が慢性化しても①にはならないような気がする。
       そこには、境目があるように感じています。
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慢性痛誕生、慢性痛治療のイメージ

b0052170_5555010.jpg
組織の損傷の有無にかかわらず、生じたイタミッチが、消失することなく、マンセイイタミッチ成長してしまうこともあるのです。

なぜ、そのようなことになるのかは、私の想像ですが、以下のような条件があわさったときかな?
          個人の資質(完全主義、こだわり、つよい不安感など)
          医療の対応のまずさ(痛みの治療に積極的でない、医師ー患者間の信頼
          関係の構築に失敗、歳や形のせいにして治らない宣言をするなど)
          環境(ストレスの多い環境)

マンセイイタミッチに成長してしまったら、認知行動療法、薬物としては抗うつ薬、が効果があることもあります。しかし、個人差が大きいものです。この分野は日本では遅れています。

マンセイイタミッチは治療により、量よりも質が変化するのだと言われています。つまり、痛みがあるけど、仕事ができて、楽しい会話ができて、痛みにとらわれることのない人生が送られるということだそうです。

一般医としては、マンセイイタミッチに成長させないように努力すること、成長してしまったものに対しては、ペインセンターがどこにでもあるというものではない日本では、個人差に応じて真摯に対応する以外にありません。

b0052170_863685.jpg早期よりこのへんのイメージのときがあります(不眠、食欲低下、自律神経症状の合併)。積極的に圧痛点ブロックや、抗うつ薬の投与、認知行動療法でマンセイイタミッチまでいかずに消失することがあります。

このように考えていくとき、たとえば、痛みの発症の引き金が交通事故(むちうち)だったとき、それが、運悪くマンセイイタミッチにまで成長した場合、補償をどうするのだろうか?法曹界の見解は?

個人の資質というのなら、たとえば、高齢者を転倒させて骨折させたとき、「骨粗鬆症があったあなたにも何分かの責任がある。」というのであろうか?交渉で妥協点をみつける以外にないであろう。医師(私)はいつも患者さんの味方です。


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by junk_2004jp | 2005-10-24 06:33 | 痛みの生理学 | Comments(1)
Commented at 2005-10-24 22:23
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