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心療整形外科

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2005年 10月 28日

ある裁判より

頸部、左肩・左上腕部に疼痛、しびれを自覚し、近医 MRI検査でC5/6椎間板ヘルニアと診断され、マッサージ療法、牽引療法等を受けたが、十分な効果なし。

39歳女性、保存的治療でも効果が得られなかったC5/6椎間板ヘルニアに対し、前方除圧固定手術を施行した。手術は問題なく終了し、術後のMRIでも明らかな異常は見られなかったが、下肢の筋力が低下して歩行不能となり、患者側は手術ミスを主張して医事紛争へ発展した。


裁判所の判断

2.前方除圧固定術の手術適応に関する判断について
 担当医師は原告の症状の原因として、胸郭出口症候群とC5/6椎間板ヘルニアの双方の可能性を検討しながら、頸椎椎間板ヘルニアの方が主病変であると考えて前方除圧固定術を実施するとした判断は不適切であったとまではいえず、手術が医学的適応を欠くものであったとまで認めることはできない。
また、手術前に原告が訴えていた症状及び日常生活において生じている支障の程度並びに本件手術によって生活環境が改善される見込み等を考慮すれば、手術の社会的適応は十分にあり、担当医師が精神心理的問題の存在及びこれによる影響について特に配慮しなかったとしても、社会的適応の判断において注意義務違反があったとまで認めることはできない。

患者側1億****万円の請求に対し、3**万円の支払い命令


以後は私の感想です。

術後の血腫による脊髄圧迫の麻痺であろうか?残念な結果になってしまったものです。そもそもの訴えが、頚~肩~上腕の痛みとしびれなのです。

このような症例は日常診ているものですが、本当のところ、レントゲンもMRIもいらないです。ストレスによる筋筋膜性疼痛症候群だと思います。それほど難渋するものではありません。
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_142.htm
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_141.htm
痛みとかしびれというとすぐに”神経がどこかで圧迫されているから”と考えるものです。そしてヘルニアだとか、胸郭出口症候群だとかという病名が脳裏に浮かんでくるものなのです。

そうではないのです。神経が圧迫を受けると生じるのは麻痺なのです。ヘルニアや胸郭出口症候群で上肢が麻痺してしまった人を私は見たり聞いたりしたことはありません。

痛みや痺れを訴えた場合、それは筋・筋膜性疼痛で、ストレスによるものなのです。それは、生理学や心身医学によって裏付けされていることなのです。

だから、それはほっておいても治る場合もありますが慢性痛となる場合もあります。ストレスによる筋痛症だと説明しさっさと消火してやればいいのです。



by junk_2004jp | 2005-10-28 00:50 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾


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