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心療整形外科

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2006年 01月 05日

儀式

みのもんたさんの腰痛

手術という儀式によって痛みが治まるか?一時的に治まってもまた再発はしないか。手術という儀式に追い込んだのは医者なんだなー。

手術という儀式なしで絶好調になった人もいる。手術という儀式をしても何も変わらない人や悪化した人も何人かみてきた。もちろん儀式が成功することもあるだろう。

痛みというのは納得できれば治まる可能性があるものなのだ。
変形性膝関節症への関節鏡下デブリドマンはプラセボ効果しかない

痛みを構造的なことで合理的に説明できないんだよな。合理的に説明できないから儀式としかいいようがないんだな。

このような議論になると、「痛みの原因はやはり十人十色ではないかと思います。慢性疾患をすべて心因性とするなら病院も、ましてや整骨院は不要ですね。」というような意見が必ずでてくる。心因性は誤解を生む言葉なんです。使う人によって意味が違うのです。心因性の痛みというのは、神経因性でも侵害受容性でもないまことに不思議な痛みで、そんなにあるわけではないんだけどとても特徴的で印象深いものです。

痛みの原因というところがややこしいのだな。ややこしいところを科学的に分析してみると、まず、その痛みは生理学的痛みの分類で何になるのか。

ほとんどの痛みは侵害受容性疼痛ですね。つまり侵害受容器が内因性の発痛物質によって刺激を受けているのです。ではなぜ、内因性の発痛物質ができるかを説明すればいいのです。

構造が関係して内因性の発痛物質がでるという生理学がないのです。ましてや神経が押さえられて痛いというようなことはありません。

治療は、内因性の発痛物質による侵害受容器の刺激の悪循環をいかに止めるかにかかってきます。厳密な意味ではすべて儀式といってもいいでしょう。しいていうならば薬物は薬理効果を認めるべきだと思います。

もう一つ、侵害受容器から起きた電流が脳に達して脳細胞が興奮するのですが、それを読み解く脳細胞が別にあるわけです。このあたりが個人差ということになるのでしょうか。養老先生の講義を聴きたいですね。






いま丁度心因性の痛みの患者さんをみてきました。

年末より、右下腿が痛くて歩かれない。車椅子で診察室に入ってくる。下腿には圧痛点なし。チョンチョンと1mlの局所麻酔を下腿の痛い所に注射して電気をあてる、このような儀式のあと、帰りは痛くなく歩いて帰りました。

この患者さんは数年来の患者さんで年に数回いらっしゃいます。私とは信頼関係ができています。

今日のような痛みを訴えたのは初めてですが、痛がり方の様子などから、心因性の痛みが最も疑われました。

その特徴は、すごく痛い、車椅子などドラマチック、圧痛点がよく分からない、患者さんにご理解いただくことが極めて困難、などだと思います。身体表現性障害(転換性障害)なんでしょう。

私との信頼関係(ラポール)ができていますから、すぐ治ったのです。もし信頼関係がなければそうはいきません。心因性の痛みはとても特徴的です。

by junk_2004jp | 2006-01-05 12:31 | 慢性痛


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