整形外科医は、腰・下肢痛の原因を「脊椎の構造上の破綻」=「損傷モデル」で説明してきました。
「骨(椎間板)が神経にあたって痛いのですよ。」と説明したとすると、痛いことのお墨付きを与えたことになります。
「なるほど、それで痛いのか!」と患者さんは納得するはずです。保存的治療はどんな治療をしたとしても、構造を変えるものではないですから、一時しのぎということになるのです。
保存的治療をいろいろやってもよくならないと、「やっぱり痛いだろ!私が言ったとおり。」ということになってしまいます。
「損傷モデル」で説明したなら、「痛いのはしょうがない、ごまかしながら生きていく」 or 「手術」の二者選択でしかないのです。
「60年間,我々は“腰部損傷”という概念とともに生きてきました。それはあまりにも欠陥が多く,もはや正当化することはできません。その上,医原性なのです。我々にこれ以上の研究は必要なく,この概念はもはや有用性を失っています」
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_386.htm
しかし、今や、この時代遅れの仮説を捨てて、明らかとなった科学的データと合致する新しい解釈へと移行する時であろう。(BackLetter原著の代表編集者であるSam W.Wiesel医学博士および編集者のMark L.Schoene氏)
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_397.htm
もう「損傷モデル」で説明できないということは明らかなのです。「損傷モデル」→「心理・社会的モデル」への変更が求められます。しかし、これは整形外科医の出番ではないということになるというdilemmaなのです。