5月に行われる第79回日本整形外科学会学術総会の抄録集Ⅰ、Ⅱの目次と腰痛に関係する興味あるところだけをさーっとみたのだが、筋肉に関するものは見あたらなかった。
Myofascial Pain Syndrome や Fibromyalgia に関するものが見あたらなかった。見逃しているかもしれないが・・・。
運動器系の学問なのになぜなのだろうか?
同部長は「疼痛の医学的管理において筋肉系の重要性が軽視されているのは,医師が大学で学ぶ内容に関係があるようだ。基礎解剖学が終わると,疼痛の診断および治療に関する教育に筋肉はほとんど出てこない。つまり,われわれは診断アルゴリズムにおいて全身の70%を無視しているのだ」と述べた。
MPSについて教育を受けていない医学部生は、卒業後もその存在を知ることなく診療を行うため、現実には多数存在しているMPSの患者たちを前にしながら、正しい診断、治療が行えないのである。臨床医がMPSに無関心であることによってもたらされる弊害として重要なことは、TPがもたらす疼痛に対して他の疾患の診断が下されることである。診断が異なると治療も変わってくる。
実際に整形外科医が診ている患者さんの大半がMPSなのだが・・。大病院で見る機能再建、麻痺などに関しては意義のあるものなのだろうが。
筋硬結、索状硬結、トリガーポイントといった言葉さえ知らない若い整形外科医がいても驚くほどではない。
マッサージや指圧は慰安行為で医療ではないという意見もあるが、MPSという概念がなければそういうことなのだろう。MPS患者さんはどこで医療をうければいいのだろうか。いや、医療を受ける必要がないというのか。