2006年 04月 06日

ラセーグテストは神経学的検査か?2

腰椎椎間板ヘルニアにおける神経根性下肢痛の本質
以上の点を総合すると、椎間板ヘルニアによる根性下肢痛は本質的には「筋痛」であり

腰痛診断・治療の焦点を筋肉に   MRIなしでも早期職場復帰可能に
すなわち遠隔部位に放散する疼痛が頻繁に起こる患者に必ず見つかる筋肉内の圧痛点である。この疼痛はしばしば神経根痛と誤診され,その結果,不必要な外科手術,神経ブロックやMRIの施行を招いている。
 

トリガーポイントが教えてくれる疼痛疾患診断の盲点ー混迷している疼痛疾患診断の現状について考える
彼らが受けている診断名は、腱鞘炎、関節炎、変形性関節症、肩関節周囲炎、頚椎および腰権椎間板ヘルニアによる神経根症、脊柱管狭窄症など多岐にわたっているが、それらの患者のほとんどはMPSである。
 
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椎間板ヘルニアガイドライン第5章予後
一般に、腰椎椎間板ヘルニアの手術適応は急性の膀胱直腸障害を呈した場合を除き、進行する神経脱落症状が認められる場合、Lasegue徴侯などの神経緊張徴侯が強陽性で重篤な神経脱落症状を伴う場合、手術以外の保存療法が無効であった場合であるとされている。

坐骨神経痛に対する床上安静の有効性の欠如

臥床安静、理学療法それとも通常の活動?
臥床安静は、ほとんどの疾患の医学において、治療法としてはおおむね見捨てられている。多くの点で、治療としての臥床安静は、過ぎ去った時代の遺物である。臥床安静は、腰痛および坐骨神経痛の治療法としては徐々にすたれていくだろうと予測する人もいることだろう。
 


椎間板ヘルニアは手術なしで治る  大朏博善  (週刊文春より)

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この写真は椎間板ヘルニアと診断をうけた方の治療の様子です。ラセーグテストをしているのではありません。下肢を挙げると痛むのを無理に挙げて治療しているところです。短縮した筋肉のストレッチです。施術後はよくなりました。このような痛みが異所性発火だとは思えないのです。

またガイドラインに記載してあるように神経脱落症状をほんとうに呈するものなのか大いに疑問に思っています。
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by junk_2004jp | 2006-04-06 18:44 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(16)
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-06 19:00 x
個人的な意見を述べます。

比較的に若い患者さんで 急性の腰痛を訴えて、椎間板ヘルニアも認められる患者さんは、ほとんど神経内科には受診されません。少ない経験では、おそらく手術をしても また痛くなり、手術をする根拠は乏しいのではないかと想像します。そのような患者さんでは たとえ筋に神経原性変化は生じても おそらくは一時的で 軽微であるのだろうと思います。

下腿筋に慢性神経原性変化を生じていて、腰椎椎間板ヘルニアがあり、椎間孔で余裕が全くなくなっている画像所見を呈する 高齢者の患者さんは少なくありません。しかし その 多くの場合には 腰痛は主訴にもなっていず、詳しくお尋ねしても 腰痛は全くない という患者さんも少なくありません。
慢性的な変化ですから、今更 手術したところで良くなるわけはなく、手術した分だけ構造の不安定性も生じる危険もあり、椎間板の手術の適応もないと思います。神経内科では誰も そうした患者さんを整形外科の先生に紹介していないと思います。

Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-06 19:08 x
正常では 小さな筋にも 数百本(以上?)の有髄線維が支配している とされています。運動単位が数百はあるわけです。
すべての運動単位を同時に動員することは できません。
少なくとも数割以上の運動単位低下がなければ、筋力低下は生じないと考えられています。

神経脱落症状が生じるのは 神経線維の脱落は相当に生じた結果です。ちょっとくらいの障害では 生じなくても不思議でも何でもありません。

少なくとも 椎間板ヘルニアの手術適応は お偉い先生の方でも もう少し検討してもらいたいものですね。 
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-06 19:13 x
先のコメントは 
椎間板ヘルニアでも 筋の慢性神経原性変化、軽度の神経原性筋萎縮を生じた と考えられる患者さんは いくらでもいるのだけれども
いつヘルニアが生じたのかわからないくらいの 長期経過の患者さんが少なくなく、
神経脱落症状の有無は 手術適応の有無には 決して結びつかないであろう という意味です。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-06 19:16
痛みと麻痺は別のことですね。

ラセーグの痛みを神経刺激症状で、神経は傷ついてはいるが未だ脱落症状を呈する状態ではない。という見解でしたね。

私はそうは思いません。もしそうならば治療はどうするのでしょうか?またガイドラインに書いてあるように脱落症状を呈することが実際にあるのでしょうか?
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-06 19:27 x
脱落症状については 上記のような患者さんですから 適度な運動やストレッチの指導のみで、 本質的には 経過観察にとどまる ことがふつうではないでしょうか。

ラセーグ徴候自体については 以前にも述べましたように (すぐに思い出せるのは 数人ですけど) 一時的に生じた患者しかいないように思います。 経験的には 持続しないと思っていますので、これも 経過観察しかしていません。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-06 19:33 x
あと 誤解があるようなので 付記しますが、
「神経は傷ついてはいるが未だ脱落症状を呈する状態ではない」と言うわけではありません。
ある神経束ないし神経線維(群)の状態は 刺激症状を呈することがあり、ある神経束ないし神経線維(群)は脱落症状を呈するまでの完全な軸索変性を起こす という状態はありうるでしょう。
刺激症状と脱落症状は 相反するものでも何でもありません。共存することはあるであろうと思います。座骨神経にしても 腰椎神経根にしても 相当な有髄線維の本数があります。とても一つの電顕用のブロックに包埋できません。(ハツカネズミなら本数が多くても細いので 観察可能ですけどね。)
Commented by junk_2004jp at 2006-04-06 19:40
そうですか。ま、いろんな考え方があるもんですね。^^
Commented by 神経内科医です at 2006-04-06 19:41 x
あと 椎間板ヘルニアのガイドラインは ウェブで公開されていますか?
頸椎症にしても その他の 整形外科的な病態にしても 公開されていなければ 公開して欲しいものです。書籍だと 少なくとも数年で改訂されていくべきものなので 専門外の者だと毎度購入するのも 経費もかかるし、かさばるし、ということで、
ガイドラインはウェブでも公開されるべきものだと思います。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-06 19:43 x
末梢神経の顕微鏡的な形態、組織学的構造は 一度は考えてみてください。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-06 19:50
公開されていないでしょ。私のHPに少し書いてあります。顕微鏡の話は結構です。
椎間板ヘルニアと言われている人の痛みは筋痛ではなくて異所性発火という結論でよろしいですか。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-06 20:02 x
これもずいぶん誤解されているように思います。
ラセーグ徴候のような所見は 異所性発火が誘発されるのだと思いますが、
主訴となる痛みは 筋痛のことも多いだろうと思います。
ただ、腰痛には、椎間板自体の痛みとかもないですか?
たしか椎間板の神経分布に関しての研究論文を見たことがあるのですが。叩打痛で 局所にすごく響くのは 筋痛とは思えません。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-06 20:03 x
顕微鏡の話ですが、
筋生検や筋電図の話を持ち出すなら 
神経筋の生理と形態的な基盤に基づいた議論が必要です。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-06 20:12
>ラセーグ徴候のような所見は 異所性発火が誘発されるのだと思いますが

つまり二本立てですか。では写真のような治療は異所性発火を誘発しているわけで、治療にはならずかえってマイナスというお考えですね。

椎間板性腰痛というのも耳にたこほど聞いています。とても現実的とはおもえないものです。

圧痛点があるということは、末梢性の痛覚過敏になっているところです。

・・・椎体の叩打痛は圧迫骨折のことがありますね。棘突起過敏症なんかもそうですね。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-06 20:16
どうも筋生検の話をだしたことで先生のご専門なので気にさわったようですね。私は筋生検の標本など20年ほど前よりみたことがありません。見る必要もかんじません。

ただ、ヘルニアによる神経脱落症状があると主張するのなら、筋生検ぐらいを供覧したらどうかという意見をだしたのです。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-07 18:17 x
神経脱落症状は生じている患者さんは います し
別に 椎間板ヘルニアによると考えられる神経原性変化が 偶発的にみつかった筋生検所見の写真を出すことも可能なのですが、別に何の変哲もない神経原性変化ですよ。
ただし、そのこと自体が 手術適応である ということには 結びつかないと思います。
脱落症状が生じている患者さんが どのように生じているのかは そんなに検討できていないのではないでしょうか。そのこと自体では そんなに困っていないで、もっと他の問題で困っている患者さんの方が多いのです。

腰痛もなく 生じていることがあります。
慢性的な変化で生じうるから 神経再支配もあり、それほどの症状でもないことが多いと思います。 

ですから 先生の議論の仕方は あまり適切ではない と思います。
先生の治療手技と考え方を 多くの先生に納得させるためには もう少し別の観点から 議論し、主張した方が 良いと思います。
形態的や生理学的な知見を基にした議論するなら もう少し考えるべきでしょうし、そうでないと おそらく反感を買ったりするだけではないでしょうか。もったいないと思います。

Commented by junk_2004jp at 2006-04-07 18:26
わかりました。

軽度の末梢神経麻痺があっても生活にはこまらないということですね。痛みには関係ないことですね。

で、やはりラセーグは異所性発火なのですか?


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