2006年 04月 07日

神経内科医さんとの議論で分かったこと疑問に思うこと


ヘルニアガイドライン

一般に、腰椎椎間板ヘルニアの手術適応は急性の膀胱直腸障害を呈した場合を除き、進行する神経脱落症状が認められる場合、Lasegue徴侯などの神経緊張徴侯が強陽性で重篤な神経脱落症状を伴う場合、手術以外の保存療法が無効であった場合であるとされている。

上記が真実なら、神経脱落に陥ってしまった症例の筋生検の写真の供覧があってもいいのではないか。私はヘルニアで末梢神経が損傷するとは思えない。(馬尾症候群、頚髄症はのぞく)
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ということに対して、神経内科医さん

ヘルニアで神経根を損傷することがあるので、ラセーグテストで生じる痛みは神経刺激症状ととらえるべきで、痛みは異所性発火によるものである。しかし、主訴となる痛みは「筋痛のことも多いだろう」

筋生検をすれば神経脱落症状を呈していなくても「神経原性の筋の変化」はしばしばみられる。ヘルニアで神経が損傷しても神経脱落症状を呈するには至らないので手術は必要ない。
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今回わかったこと
神経脱落症状(麻痺)がはっきりしなくても筋生検をすれば「神経原性の筋の変化」はみられることがある。

●これが真実だとしても私の言ったこと「神経脱落に陥ってしまった症例の筋生検の写真の供覧があってもいいのではないか。」に間違いがあるわけではない。
●ヘルニアで神経損傷がおきるとすれば、神経脱落まで進まないという保証はあるのか。医師の責任は?
●なぜ多くは保存的に治るのだろうか。ヘルニアを除去しなくてもキズが修復するのだろうか?
●主訴となる痛みは「筋痛のことも多いだろう」・・・ヘルニア、神経損傷との因果関係はどうなのだろうか。
●「異所性発火自体は そんなに珍しい状態ではないと考えられます。」とおっしゃっているが、横田勝敏先生の本には「自由終末と脊髄を継ぐ部分からインパルスが発生することはめったにない」となっている。いったいどう考えたらいいのだろうか。
●ヘルニアのためと言われている痛みに長期間悩む人がいる。神経損傷がそんなに長く続いているのに脱落症状までに至らないのか。
●認知行動療法で治る人が少なからずいるのだがどう考えたらいいのか。
●痛みに対して「脊椎の損傷モデル」は失敗だったという最近の文献はどうなのか。ヘルニアになれば神経損傷をおこし異所性発火の痛みがおきることがあるというのなら。
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by junk_2004jp | 2006-04-07 20:01 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(20)
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-07 20:22 x
「自由終末と脊髄を継ぐ部分からインパルスが発生することはめったにない」となっているのは、単に 正常な構造からは 異所性発火は滅多にない と言う意味だと解釈します。全く矛盾はないと思います。
 筋生検の写真の供覧があってもいいのですが、単なる 慢性神経原性変化ですから 供覧したいとも思わないのではないですか。自分が供覧してもよいですが、手術適応のないケースですよ。
 神経線維の脱落は起きうると思います。でも 医師の受診前に 既に起きてしまった結果に 医師の責任があるんでしょうか。
 「ヘルニアを除去しなくてもキズが修復する」のだと思います。
たとえば、運動神経は 神経線維の脱落がおきても 神経再支配で 代償されています。
自然治癒力というのは そうした機転も含まれています。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-07 20:22 x
「ヘルニアのためと言われている痛みに長期間悩む人がいる」ということこそ、先生の説によりますと、筋痛・筋膜痛の可能性もあるのでは?と思います。構造的に 痛みが生じやすくなっているとかで。
 痛みについては 難しいですね。認知行動療法で治る人が少なからずいるのは 幸いなことで、認知行動療法さまさまです。
痛みに限らず、症状に非常に敏感な人は 本当に拘るというか 常にその症状が問題で 生活や人生自体がその症状のみになってしまう場合がありますね。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-07 20:26 x
このガイドラインの文章では あくまでも 神経脱落症状 とあって 痛みとは どこにも書かれていませんね。 念のための確認ですが、
痛みで 手術するのは 誰も勧めているわけではありませんね。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-07 20:33
>神経線維の脱落は起きうると思います。でも 医師の受診前に 既に起きてしまった結果に 医師の責任があるんでしょうか。

やっぱり、ヘルニアによって神経脱落はおきうるのですか!!ヘルニアによって麻痺に陥ってしまうことがあるのですね。

もちろん、麻痺と痛みはちがいます。私の診ている患者さんはみなさん痛みで、麻痺ではありません。でその痛みは異所性疼痛と筋筋膜性疼痛が混在しているのですね。

で、一応、麻痺に陥る可能性があると伝えておいたほうがよいでしょうか。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-07 21:04 x
むしろ 麻痺に陥っていなくて 良かったですね と言った方がよいでしょうか?
でも 今日は交通事故にあわずに済んでいて 死ななくて良かったですね、今日も大地震が来なくて良かったね、って挨拶するようなものではないでしょうか。変なたとえで すみませんが、余計な心配しても始まらないのでは。

神経線維の脱落=麻痺に陥る というわけでは 決してない でしょう。
麻痺は 相当多数の神経線維の高度の障害で初めて生じるものでしょう。

痛みに関しては 先生の方がご専門でしょう。
Commented by そうですね 追加です at 2006-04-07 21:06 x
心配するような麻痺は 相当多数の神経線維の高度の非可逆的な障害で初めて生じるものでしょう とでも 言っておくべきでしょうか。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-07 21:13
>神経線維の脱落は起きうると思います。でも 医師の受診前に 既に起きてしまった結果に 医師の責任があるんでしょうか。

これは重大な問題です。ヘルニアによって神経麻痺が起こる可能性があるのなら、やはりどれくらいの割合でおきるかぐらいは伝えるべきです。

早期に発見できれば助かる可能性があるのですから。先生はそのような経験がおありですか。私は幸運にもありません。

http://junk2004.exblog.jp/2311558/

これはブロックの血腫によって麻痺した例です。このようになるとかわいそうですね。

>神経線維の脱落=麻痺に陥る というわけでは 決してない でしょう。

私は神経脱落症状といったらすっかり「神経麻痺」のことだと思って議論していました。これはどうも失礼しました。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-07 21:17
神経内科医さん、議論はこれで終わりにしましょうか。先生のお立場はよーくわかりました。ますますご活躍を期待します。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-07 22:04 x
神経系の圧迫性病変についての対応は 頸椎症性脊髄症にしても 後縦靭帯骨化症にしても 脊椎腫瘍にしても 難しいことばかりだと思います。

もしも筋生検などについてご存じないのなら 怪しげなサイトの文章の引用だけは お控えになった方が良いかと思います。英文であったからと言っても 正しいとは限らないと思います。患者さんも信じてしまいますから。
(あのjournalは 英文であっても PubMedにもどこにも収載されていませんね。)
Commented by junk_2004jp at 2006-04-07 22:35
Devin Starlanyl

http://www5d.biglobe.ne.jp/~Pain/book.html

線維筋痛症友の会がこの著者の本を2冊とくに推薦しています。GoogleでDevin Starlanylを検索すると31700ヒットします。だからといって正しいわけではないとおっしゃることでしょうが、Devin Starlanyl様を信用したいと思います。


Commented by junk_2004jp at 2006-04-07 22:52
先生は「生検では筋硬結や丸くなった大きな筋線維を確認することもできる。」ここのところを何か人工的なものでないかとおっっしゃってからすぐに消しましたね。

「contraction knots and giant rounded muscle fibers. 」

ここのところを訳したのですが。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-07 23:18
Devin Starlanyl はどうも線維筋痛症でとても有名な先生のようですね。

それで、神経内科医様は気鋭の神経専門医で、筋生検にも詳しいときている。contraction knots and giant rounded muscle fibers. これをみた時、やはり何か人工的なものの感じがするのですか。

「あ~あれのことか」とは思わないのでしょうか。私が訳したのですが、contraction knots これはすぐに「筋硬結」のことだと思いました。giant rounded muscle fibersこれはどのようなことかはわかりません。私は筋生検に詳しくありません。やはりへんですか。

Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-08 17:12 x
まだ議論を終えることが出来ないようなので。。

筋生検するときに どこであろうと 切れば、一般に筋組織は収縮します。knots=結び目? 結節?はできません。
この表現は今までに見たことがなく、何を意味しているのか 全くわかりません。
結節なら 腫瘤型のサルコイドーシスとか 肉腫のような腫瘍とかを指しているのでしょうか? でも 経験的には 肉眼的には分からないと思います。
筋生検所見の記載で今までにgiant rounded muscle fibersという語句自体を見たことがありません。筋病理の業界では非常に変な表現です。
慢性の変化に伴う、ふつうの大小不同での肥大筋線維の断面は たいてい円形化傾向があります。角張った断面のものは見たことがありません。
もしも過収縮筋線維のことでしたら 生検で切るときに生じる人工産物です。

だいたい 線維筋痛症のような病態で 筋生検をするのでしょうか。USAでもそうした医療は行われているのか 非常に疑問です。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-08 17:19 x
削除した理由は
もしかしたら 引用の仕方が中途半端なので、変なのかもしれない と思って 削除したのですが、かんたんな検索では 
全貌を知ることが出来ません。

先生が 一部の文章を引用する際に どうも 意味合いや解釈がずれてきている部分が少なくないように思いますので、まず上記のように考えました。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-08 20:13
>だいたい 線維筋痛症のような病態で 筋生検をするのでしょうか。USAでもそうした医療は行われているのか 非常に疑問です。

筋硬結の研究のため行ったのでしょう。訳がまずかったというか、文のくぎりがまずかったのかもしれません。

「生検では筋硬結や丸くなった大きな筋線維を確認することもできる。」
「There is also ultrasound imaging of local twitch responses of trigger points, and biopsies of myofascial trigger points that show contraction knots and giant rounded muscle fibers. 」

「筋硬結や丸くなった大きな筋線維を筋生検で確認することもできる。」このようにすべきだったのでしょう。それで筋生検の所見は記載されていない。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-08 20:17
筋硬結の研究が少ないのです。日本では医師以外の学会で活発なようです。だから、侵襲的な研究ができないということがあるのかもしれません。

http://www.kenkobunka.jp/kenbun/kb29/tsujii29.html

Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-09 12:23 x
筋硬結という病態に対して 筋生検のような侵襲的な検査を受けたいと思う患者さんがいると思われますか?
それこそ 腰の痛みに対して 椎間板の手術をするようなものではないでしょうか。どうも先生の言動は矛盾しているようにしか思えません。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-09 18:26
私にいってもらっても(^^;)

たぶん、研究のために了解をえて行ったのでしょう。何かの手術のときにということもあるだろうね。
Commented by 神経内科医です。 at 2006-04-10 00:12 x
本当ですか? どこまで詳しく論文に書かれているのでしょうか?
きちんと書かれていない記載の受け売りは駄目ですよ。
Commented by junk_2004jp at 2006-04-10 03:03
そうですね。神経内科医様のおっしゃるとおりです。ご忠告ありがとうございます。
wwwではいろんな情報が飛び交っています。なにが正しいかの判断は大切ですね。

神経内科医様が教えて下さった数々の情報が正しいのか間違っているのかはロムしている方々が判断するでしょう。

長々とおつきあいありがとうございました。ご活躍を期待します。


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