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心療整形外科

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2006年 11月 05日

ヘルニアの呪い

掲示板より、Aさん(25歳、男性)

10月30日

はじめまして。思い切って書き込みさせていただきます。私はスポーツが大好き「だった」25歳の男です。

今年の4月から腰痛に悩まされていて、放っておけば治るだろうと大して気にしていなかったのですが、悪くなったり良くなったりの繰り返しが3ヶ月以上も続いたため、さすがに気になったので整形外科を受診しました。

レントゲン検診では特に以上が見つからず、念のためにMRIを撮ってみたところ、腰椎の5番と仙骨の間に中程度のヘルニアが発見されました。

どうやったら治るのか尋ねたところ「これは一生治らない。今、症状が軽いのは運が良いから。これ以上悪化させないためにも安静にしておくように。安静にしておけば神経の炎症も治まって、症状は多少軽くなるかもしれない。」のような事を言われました。

その当時の痛みであれば仕事には支障はありませんでしたが、体を動かすのが大好きだったので、運動するなというこの宣告にはとてもショックを受けました。でも、インターネットで調べていると、数ヶ月間安静にしておけば気にならない程度まで治ったという話もよく見かけたため、希望を持ちつつ安静にしていました。

ところが、症状は悪化の一途をたどり、それから1ヵ月も経たない内に、痛み止めを飲んでも歩くのに苦労する程になってしまいました。それからは週に何度も違う整形外科に通う毎日の始まりです。硬膜外ブロック、ステロイド注射、牽引、電気、ストレッチ等、色々試してみましたが、どれも効果を感じることが出来ず、手術するにしても腰痛のみで下肢症状が全く無かったため、良くなる保障は無いと言われ、もう、どうなってしまうのだろうか?と、焦りばかりが増して行き、夜も眠れなくなり、痛みのために仕事も休むようになってしまいました。

精神の図太さには自信があったのですが、色々考え出すと止まらなくなり、ある朝に不安のループを抜けなくなって過呼吸で倒れてしまい、驚いて心療内科に駆け込み、そこで痛みのストレスによる軽いパニック障害だと診断されてしまいました・・・

そこでトフラニールとデパスという抗うつ薬を処方され、もう何でもいいやと飲んでみたところ、1週間で気分も軽くなり症状も半減するという劇的な効果がありました。それ以後は過呼吸も出なくなりましたが、残りの半分の腰痛がそれから1ヶ月経っても取れません。先生は「ヘルニアの痛みからくるストレスなので、原因を絶たなければ完治は難しいだろう。手術の経験も多い、腕の良い整形外科医を知っているので紹介するよ」などと言っているのですが、整形外科を受診するのが怖くて躊躇しています。。

このままの治療(抗うつ薬と痛み止めの薬)だけで良くなるのでしょうか?

11月4日

ちえこさん、皆さん、背中まで押してもらってありがとうございます。自分よりも遠い場所から、自分よりも酷い症状の人が行けるのに、私が行けない理由が無いですね(>_<)自分自身行きたいと思っていたのに、「でも遠いから無理!」と決めつけていました。ちゃんと調べてみると、神戸から特急の電車で4、5時間です。日帰りも可能ですし、これなら何とか行けそうです。

ずっと行き方を調べていると、頭の中がすっかり行く気モードに(笑)。さっき電話で確認しましたが、4日土曜日は診察されてるんですね。この日に日帰りで行きます。早朝出発、夜遅く帰宅予定の強行軍ですが、休日に挟まれてるので大丈夫でしょう。気が変わらない内に、行くか迷っていた病院をキャンセルしました。

久々に猪突猛進で行き当たりばったりな性格が戻ってきました。最近はすっかり弱気です。本当に、性格、生き方まで変えてしまう恐ろしい怪我ですね。



Aさんを診察しました。
ヘルニアの呪い_b0052170_1341380.jpg


図のようなところにだけ痛みがあります。どうも深部筋のような感じです。前屈がうまくできません。30分ほどの立位がつらい。

心療内科医は「ヘルニアの痛み」がストレスのもとだと思っています。無理もないことでしょう。

全国どこでもこんな診療をしているのでしょうか。25歳の男性が腰痛を訴えて来院したときにレントゲンを撮り、異常が無いときは念のためにMRIをとるのでしょうか。

それでたまたまヘルニアが見つかったら「これは一生治らない。今、症状が軽いのは運が良いから。これ以上悪化させないためにも安静にしておくように。安静にしておけば神経の炎症も治まって、症状は多少軽くなるかもしれない。」「手術するにしても腰痛のみで下肢症状が全く無かったため、良くなる保障は無い」

いったいどうすればいいというのでしょうか。Aさんは落ち込んで、動作恐怖になってしまっています。Aさんの受診した病院はヘルニア治療で有名な病院らしいのです。

ヘルニアの有無といまの症状は無関係です。このような診療が繰り返されれば、「ヘルニア列島」になってしまいますよ。

http://www.geocities.jp/vvdp_qbvv/

公的キャンペーン

○腰痛に屈するな..。: Back Pain: Don't Take It Lying Down...

○"Working Backs Scotland":腰痛の考え方を変えて、その影響を軽減"

いくつか国々では損傷モデルからゆっくりと脱却している。しかし米国では今も腰痛に関する時代遅れの考え方から抜け出せずにいる。先へ進むべき時である。
“70年間、我々は腰の「損傷」の概念と共に生きてきた。これ以上正当化するには欠陥がありすぎる。さらに、これは医原性である。これ以上研究を行う必要はない。その論理構成は、時を経て役に立たなくなってしまった”と、Hadler博士は述べている。

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http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/325/7363/534
Effects of confrontation or avoidance of pain on outcome of episode of low back pain: fear of movement and re-injury can determine how some people recover from back pain while others develop chronic pain and disability

腰痛に対して、立ち向かうのか、避けるのか、その効果は:動くことを怖がらず、再びケガをするのではないかなどと心配しなければ、慢性腰痛にならないで腰痛から立ち直ることができます。
ヘルニアの呪い_b0052170_7283293.jpg


by junk_2004jp | 2006-11-05 01:53 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾


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