心療整形外科

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2007年 05月 03日

腰部脊柱管狭窄症

A氏(70才代)は古くからの患者さんで、時々腰や大腿の痛みで来院して注射をしたり物療をいしたりしていました。時々ゴルフにも行っているようです。

昨年の12月以来、来院なかったのですがひょっこりお見えになりました。

腰部脊柱管狭窄症の術後のリハビリをお願いしますという紹介状を持っていらっしゃいました。

「総合病院で診てもらったら、腰部脊柱管狭窄症だと分かって3月に手術をしてもらいました。MRIで見ると、脊柱管が狭くなっていて、後ろへ反るとそれがいっそうせまくなって、神経を圧迫していたんです。」

「今日は朝、坐薬をいれてきましたのでそれほど痛くはありません。左の下腹部から外陰部にかけてしびれが残っています。」

わりとニコニコしながら、お話されるのですが、私の目からは、以前より調子が悪そうに思えるのです。

「下腹部から外陰部にかけてのしびれは、手術の前はありましったっけ?」
「手術のあとからです。ちょうど左半分にあるんです。」

私はA氏に坐薬を処方した記憶はないし、今の状態はあきらかに以前よりは悪く思えるのですが、A氏は脊柱管狭窄症のMRIの所見や、その痛みの起きるメカニズムを私に一生懸命説明されます。

手術をされて、その痛みのメカニズムから解放されたと信じているようです。今の痛みはリハビリによってよくなると信じていらっしゃるようです。

「そうですか、リハビリを続けてやりましょう。きっとよくなりますよ。」

__________________________

脊柱管狭窄症手術の長期成績に関する厳しい調査緒果。これが本当に一般的なのか?
脊柱管狭窄のために除圧手術を受けた患者を7~10年後に追跡調査したところ、1/4の患者が再手術を受け、1/3が重度の腰痛を訴え、半数以上が2ブロック程度の距離も歩けないことが明らかになった。

今回の調査結果から、手術の長期成績は惨憺たるものであるように思われるが、その一方で76%の患者が手術の結果に満足していると回答しており、82%が必要あれば再度手術を受けるつもりであると答えている。症状の重い高齢者にとっては、日々の痛みや機能が少しでも改善されれば歓迎することのようである。

腰部脊柱管狭窄症の手術成績はけっしてよいものではないと思うのだが、その一方患者さんはある程度満足している。

その理由はMRIの画像からくる強烈な印象、原因はそれだったんだという強い思い(医師による洗脳)にあるのではないだろうか。そうでないと上記の調査の結果と満足度の乖離は理解できない。

私は痛みの原因は脊柱管狭窄という構造的な問題ではなくて、筋筋膜性疼痛だと思っている。
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by junk_2004jp | 2007-05-03 07:03 | 慢性痛 | Comments(12)
Commented by 五藤 at 2007-05-03 07:21 x
おはようございます。
先生の「きっとよくなりますよ」は心にしみますね。
「動かぬ証拠」を突きつけられ、「火を見るより明らか」と刷り込まれれば、結果がどうであろうと、患者さんがその理屈を一生懸命正当化してくれます。
これって新興宗教の図式と一緒じゃないですか。
治療費という上納金を納めるところまで一緒です。
あ~あ。
しかし、先生のところへおいでになって、布教活動するのもちょっとおかしいですね(笑)
Commented by keisyan at 2007-05-03 08:12
>その理由はMRIの画像からくる強烈な印象、原因はそれだったんだという強い思い(医師による洗脳)にあるのではないだろうか。そうでないと上記の調査の結果と満足度の乖離は理解できない。

この気持ちよく解ります。大?手術をしたのだから、治っていない、とは思いたくないのです。(2重否定)
Commented by junk_2004jp at 2007-05-03 08:19
医師によるこの手の調査には信用できないものを感じているのです。エビデンスにならないのです。

まず、患者に医師の思いこみのすり込みが行われるからです。それが正しいかどうかは別として。

Commented by junk_2004jp at 2007-05-03 08:24
医師は自分の思いこみを患者に刷り込んでいるのです。勿論、私もそうなのですが。

その思いこみが正しいかどうかの検証をするのに、洗脳された患者のデーターが使われるという「間違った方法」がとられています。
Commented by junk_2004jp at 2007-05-03 08:27
本当にエビデンスのあるデーターがほしければ、だれが医師か分からない方法で、なにも説明しないで治療する(手術する)という方法をとらなくてはなりません。これは不可能なことです。
Commented by 五藤 at 2007-05-03 08:30 x
一部(?)の医師による非科学的な科学論文は、業界の常識であるとともにトップシークレットです。
Commented by junk_2004jp at 2007-05-03 08:32
だから、国別とか時代を考えればいいのだろうと思います。

医療の発展が患者を作るということになってはいないか?
Commented by 五藤 at 2007-05-03 08:41 x
つまり「医原病」の増殖ですか。
Commented by junk_2004jp at 2007-05-03 08:50
そうですね、ただ医師も悪意でやっているわけではなくて、いつのまにかメッセンジャーボーイになってしまったのです。
Commented by 五藤 at 2007-05-03 08:55 x
私も堂々とメッセンジャーの片棒を担いでいます。
おかげさまで大変に楽チンです(反省)。
Commented by TEPCO at 2007-05-03 11:32 x
医者からの説明って、意外と一般の方に受け入れやすい(わかりやすい)から、なかなかそこから抜け出せなくなる。神経が圧迫されているから痛むとか、軟骨が磨り減っているから痛むとか、素人でもなんとなく納得できてしまう。
一方、どうしても先生のような痛みの説明は、ある程度の生理学的知識が必要となり、そこまで一般の方が理解するにはなかなか時間がかかるし、難しい。
Commented by 五藤 at 2007-05-03 11:48 x
TEPCOさんのおっしゃる通り。
でも、同じ神経が圧迫されていても、軟骨が磨り減っていても痛くない時がある(あった)、あるいは痛くない人もいる、どうして? と素直に考えるとそこが加茂ワールドの入り口です。
一歩踏み込むと、優しく迎えて下さいますよ。


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