心療整形外科

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2007年 12月 02日

構造的異常を痛みの原因にしない①

安藤は今月6日の日米対抗で古傷の右肩を負傷した。痛みが取れない状態が続くため、日本で治療に専念した方がいいと判断。モロゾフ・コーチは米国から渡仏し、パリ郊外のリンクで合宿する計画を立てていたが、回避を決めた。帰国後は名古屋市内の病院で治療を受ける予定だ。

 昨年末の全日本選手権で痛めた右肩は軟骨が損傷しており、完治することはない。患部の負担を減らすため肩の筋力を鍛えたが、ジャンプを思い切って跳べない障害が残る。アメリカではコンビネーションスピンで最高レベル4を出しており、ジャンプの調子が戻れば優勝できる高得点は間違いない。NHK杯までに回復できるか、ミキティが正念場を迎える。

これは典型的な筋筋膜性疼痛症候群だ。受傷早期にトリガーポイントブロックなどを行えば回復が早かっただろうと思う。

軟骨障害と痛みを関連させてはいけない。痛みは軟骨障害のためではなくて、筋肉そのものの微小損傷によるものなのだ。筋力を鍛えるのではなくてほぐすことだ。

肩を打撲することにより筋肉に微小損傷が発生した。そのときに同時に軟骨障害が発生したのかどうかは分からない。以前からあったのかもしれない。どちらにしても痛みの原因とはなっていない。生理学上の根拠はなく、また軟骨障害が痛みの原因だとすることによって、「完治することはない」ということになってしまうのだ。

筋肉の微小損傷は早期に適切に手当をしないと長引くことが多いのはもう十分分かっている。痛みの悪循環が起こり、筋肉は次第に硬く短縮してゆく。そしてそれに関連する筋肉にも影響がでてくる。

どの筋肉が罹患しているのか診断して、その筋肉に対する治療をすることが今求められていることだ。画像診断では分からない。触診できる医師に診てもらうことだ。

全く無症状だった70歳代の女性が転倒して膝を打った場合をちょっと想像してほしい。それから痛みが始まることはいくらでもある。軟骨の異常は転倒前よりあった可能性はたかい。「病院で検査を受けたら軟骨障害があるから完治することはないだろう。」といわれた。これはおかしなことだというのは分かるだろう。打撲によって生じた生理学的異常や筋肉の微小損傷をすみやかに改善させることだ。

モーグルの上村愛子さんのことを思い出した。
W杯遠征で左ひざを痛めて帰国したトリノ五輪フリースタイルスキー女子モーグル代表の上村愛子が23日、都内の国立スポーツ科学センターで検査を受け、全治1週間と診断された。「左膝蓋(しつがい)骨骨挫傷」で、ひざの皿の裏側に「針1本分」の傷がある程度で、軽度の炎症。五輪に支障はなく「周囲の方が慌てているようで、すみません」と笑みを交えながら報告した。13日に負傷し、20日の試合を棄権して無理をしなかったため、大事に至らずに済んだ。今後は温熱治療などを施しながら、ひざに衝撃を与えない練習を実施。今月末のティーニュ(フランス)合宿から代表に合流する。五輪がぶっつけ本番になるが「前回大会ならすごい不安になったと思うけど、ほかの選手を見てもいい滑りをすれば勝てる自信がある。だから大丈夫です。強くなったかな」と笑った。メダルへの青写真は、少しも揺らいでいない。


膝蓋骨の裏側というのは関節軟骨だ。軟骨障害があるけど全治1週間ということだ。このように医師の痛みに対する診断はいいかげんなものなのだ。状況に応じて特に根拠はないがとりあえず、というところなのだ。

安藤美姫さんも上村愛子さんもどちらも関節軟骨障害がみつかったのだけれども、一方は完治することはない(医師が言ったかどうかはわからないが)、一方は全治1週間というようにとても大きな差がある。

どちらにしても痛みそのものとの関連性はない。
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by junk_2004jp | 2007-12-02 00:50 | 慢性痛 | Comments(6)
Commented by ひつまぶし(名古屋市民) at 2007-12-02 10:55 x
>帰国後は名古屋市内の病院で治療を受ける予定だ。

|電柱|・ω・`)ノ
小松市内の某病院で治療を受けたほうがいいように思うが・・・・・
Commented by sansetu at 2007-12-02 16:40
http://www.medicalview.co.jp/catalog/ISBN4-7583-1022-X.html
jun先生、常連の皆さん、↑のページの「序文」を読んでみてください。整形外科の大学教授の中にも、まともな人がいることを知り、少しほっとしております。
Commented by keisyan at 2007-12-02 17:03
sansetuさん、読みました。
ここ↓でも、とてもうなづけることを書いていらっしゃいますね。
http://www.tmd.ac.jp/grad/orj/message/index.html
Commented by sansetu at 2007-12-02 21:25
ケイしゃんも検索上手だなあ。読みました。
ちなみに宗田先生の膝本の廉価版は、
http://www.makino-g.jp/bookdetail/isbn/4-8376-1165-6/
これです。専門書だと8000円代ですが、一般にはこの1000円の本で十分だと思います。それにしても医局にいながら「教科書」に反する「事実」を主張することは、大変な勇気のいることだと感心しております。
市民の立場としては、ぜひjun先生と交流を持っていただきたいな、と素朴に思ってしまいます。
Commented by TK(タク) at 2007-12-02 23:40 x
ケイしゃん凄いです。
実は健作の女王だったのですね。

万年、健作係長にはできない業です。
Commented by アクビ at 2007-12-03 12:55 x
加茂先生、詳細な解説をありがとうございます。
ミキティには本当に良くなって欲しいです。
あれだけの才能と精神力があるのに、間違った治療で全てを無駄にするなんてもったいなさすぎます。
スケート連盟に手紙を出そうかな・・・。


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