2008年 01月 06日

早く目から鱗になって

ある方からのメール

早速ですが、20年ほど前より腰痛に苦しみ、様々な療法を試してきました。10年ほど前にMRIを撮り、腰椎椎間板ヘルニアと診断されました。なんとか鍼やマッサージで過ごしてきましが、4年ほど前、右足の激痛で動くことも寝ることも出来なくなり救急搬送。搬送先の先生が切るの大好きで、早々に手術のお話をされましたが、どうしても切りたくないという思いで、PLDD(レーザー手術)をやっている病院を見つけ、その時は完治しました(L4-L5)。

そして今年に入ってから、今度は左足に痺れと痛みがあり、9月ぐらいにペインクリニックに赴き、再びMRI撮影。今度は(L5-S1)のヘルニアといわれましたが、私の記憶している4年前の画像と、全く変わらなかったのです。

この頃からヘルニア>痛みという図式に疑問を感じました。思い起こすと、最初の先生も「おかしいな、この痛みだとL3-L4なのにヘルニアはL4-L5なんだよね」と首をかしげていました。

そんな中、先生のHPにたどり着き、読めば読むほど今までの矛盾が解決するではありませんか。


以前にも紹介した理学療法士の方のブログより

ちょうど2週間ほど前だったか、「Myofaszielle Schmerzsyndrome(筋筋膜性疼痛症候群)」と診断された女性が私のところにやって来た。話を聞けば、別の医師から椎間板ヘルニアと診断され、この痛みから逃れたいのなら手術も視野に入れるようにと告げられたらしい。ところが手術をすることなくどうにかならないものかと別の医師を訪ねたら、「Myofaszielle Schmerzsyndrome」という一般人には聞き慣れない難しい名前を耳にし、何がどうなっているのか分からなくなったそうだ。手術をしなくても大丈夫という希望が持てたことは安心にはつながったものの、MRI画像が見せた悲惨な状態が目に焼きつき、やっぱり椎間板ヘルニアで私には手術が必要なのでは…とあれこれ考えつつリハビリの予約を取ったとのこと。私は全ての話を聞き終えた上で、「ヘルニアだからと言って手術を試みる人の方が割合的にはかなり少ないんですよ。まずはリハビリを一緒に頑張りましょう。」と口にし、彼女の身体状況を把握すべく評価を始めた。

彼女と時間を過ごす中で疑問に思ったことは二つ。まずは画像診断と症状が一致しないということ。つまりは神経の支配領域と彼女の痛みを訴える箇所に違いがあるということだ。更には、右足だけではなく左足も強く痛むことがあり、ひどい時には歩くことさえままならないと言う。実は、こういった症状を示す患者さんに出会うことは今回が初めてというわけではなく、年明けに実習を始めてから何度も疑問に思ってきたことであった。わずか4ヶ月程度の間に、頚椎椎間板ヘルニアと合わせて少なくとも30人のヘルニア患者を担当させてもらっている。その一部の患者は、「L4-L5らしいのよ」、「L5-S1みたいでね」と言いつつ、本に見る痛みの発生箇所と一致しなかったのだ。中にはオペの経験もある患者もけっこういたが、「手術したのに良くならない」と訴える人が多い。一時的に良くなったかに思っても、数ヵ月後に再び激しい痛みに襲われたという人も…。そんな疑問を抱えつつ、リハビリに関しては腰が痛いからと言って、その部位だけに焦点を当てるわけではなく、身体全体をチェックした上で何が必要かを見極めるわけだが、これまで私はその痛みの根本的なところまで突っ込んではこなかった。アライメントであったり、筋肉の状態であったり、筋骨格系における大きな目線でのみ物事を考えてきた。しかし、今回の患者さんに告げた二人目の医師の見方は一体どういうものなのか…、それがやけに気にかかる。椎間板ヘルニアではなく筋筋膜性疼痛症候群と診断した彼の見方とは…。

これがきっかけとなり、考えをめぐらした結果、おかしな矛盾に遭遇した。そもそも、神経が圧迫されて早期に起こるのは麻痺のはずだと。これは細胞レベルの話になるので調べだしたら大変だと思いつつ、生理学の教科書を引っ張り出して確認する。痛みの発生には神経のDepolarizationとRepolarizationが関与してくるのに、ヘルニアによって圧迫された神経が膜電位の変化を引き起こす?それは人体生理学における矛盾ではないのか?神経細胞における活動電位の発生に関しては口答試験で当てられた分野だったからよく覚えていた。加えて、何人かの医師が何故自律神経を調節するためにとBGMを薦めてきたのかが見えた気がした(ブラジキニンの産生遊離には交感神経の緊張が関与すると言われているでしょう?)。更にはトリガーポイントに対するアプローチと、以前の実習先で習ったちょっとした徒手療法が比較的早い回復を見せたのかも…。

頭の中にたくさんの情報が混乱して、どこかでつながるような、つながらないような…。そんなもどかしい気持ちでとにかく本を開く毎日だったが、インターネットで検索したら素晴らしいサイトに出会うことができた。リンクフリーと書かれていたのでここにも紹介しておきたいと思う。

【加茂整形外科医院】

疑問が一気に解決されてとてもスッキリした気分。やはり、椎間板ヘルニアにおける神経への圧迫が痛みの直接の原因ではないということ。二番目の医師が診断した「Myofaszielle Schmerzsyndrome」の方が十分に納得がいくということ。ここにアクセスすれば臨床で感じた全ての矛盾が単なる勘違いではなかったことに気付く。と同時に、医療関係者たるもの、勉強すべきことは山ほどあると改めて実感。このサイトに出会えた先週末から、生理学の教科書とノートが大活躍です。もっともっと視野を広げていかなければ。決まりきった、不変のマニュアルなんてリハビリの世界にはないですからね。


生理学を学んだ人はヘルニアの矛盾に気づかなければならない。患者さんは残念ながらいろいろ経験したあとに気づく方もいる。これは残念だがしかたのないことだ。

検査をする前に医師に次ぎのように質問したらよい。「ヘルニアがなかったとき、またはヘルニアがあっても痛みの発生場所がデルマトーム(神経支配領域)に一致しないときは痛みの原因は何だとお考えですか?」この質問に答えられない医師はもう診断する能力がないと断定してもよい。

不幸にも一致しているように思われた人がヘルニアが原因と烙印を押されるわけだが、この理論構成はおかしいのだ。ヘルニアがなかったときに想定した原因は、ヘルニアがあったからといって否定できるものではないのだ。

だから、百歩譲っても「ヘルニアがなかったときに想定した原因」はいつも鑑別診断の候補にならなくてはいけないのだ。
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by junk_2004jp | 2008-01-06 20:35 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(2)
Commented by TK(タク) at 2008-01-06 20:59 x
ヘルニアと診断する医師は生理学を学んでないのだろうか?いや生理学を学んでないからヘルニアと診断するのだろうか?

>「ヘルニアがなかったとき、またはヘルニアがあっても痛みの発生場所がデルマトーム(神経支配領域)に一致しないときは痛みの原因は何だとお考えですか?」

「そう言う場合もある」で済まされてしまいそう。(答えになってない)
Commented by アクビ at 2008-01-07 13:06 x
まさしく、前主治医からそのように言われました。
しかも不機嫌そうに(笑)
なんとなく、医者は気付いているということですね。
でも、どうしていいかわからないみたいで、しかもそれを患者に見せまいとして必死みたいでした。
バレバレですって(笑)
不安な自分をさておいて、このお医者さんよっぽどストレス溜まってて大変なのかなあ、と慰めてあげたくなってしまった私です。
そんな、優しい患者を冷たくあしらってどんなご気分?(笑)
私未だに、あのお医者さんプライドばっかり高くて可哀想な人だなあって思って、本気で心配しています(私って変ですね)。


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