2008年 01月 23日

整形外科医もかわりはじめた

第15回日本腰痛学会ランチョンセミナーより

腰痛の解明の鍵は脳にある?

器質的原因が不明な非特異的腰痛の中で、12週以上続く腰痛が慢性腰痛と定義されている。痛み自体が病気となっている治療の難しい病態で、欧米を含め、学会等でもその存在と治療が常に問題となっている 。私も、どのような鎮痛薬も効果を示さず、オピオイドの高用量投与を必要とした症例なども軽験している。慢性腰痛における機序の解明と効果的な治療法の開発のための最近の試みについて、いくつか述べる。


「腰痛の解明の鍵は脳にある?」・・・天文台長さんの「腰痛は脳の勘違いだった」を読まれたのかな(笑)。

ここで問題になるのは、「器質的原因が不明な非特異的腰痛」という言葉の定義なのです。このハードルが整形外科医にとっては克服が困難なのです。

下肢に痛みのあるのが(膝から下に痛みがあるのが)特異的腰痛というというようなことを聞いたことがあります。これはバカげている。

たとえば、頚痛を考えてみなさい。頭痛を伴う頚痛を特異的頚痛という?
五十肩を考えてみなさい。上肢に痛みを伴うものを特異的五十肩という?

お尻は腰の一部なのか下肢の一部なのか、はたまたどちらのも属していないのか?

そんな議論をしているのと同じことです。

「ヘルニア、脊柱管狭窄症、すべり症、分離症、椎間板変性などを器質的原因とみなして、これらがある場合は非特異的腰痛ではない、つまり特異的腰痛とする。」このように発想する整形外科医はいることでしょう。

これらの構造上の特徴は健常者でもしばしばみられるもので、特異的な病理ではありません。到底痛みを説明できるものではないのです。

特異的腰痛というと、特異的な病理の存在する腰痛のことで、「悪性腫瘍」「感染症」「骨折などの明らかな損傷」を伴った腰痛のことと定義すべきです。

変性した椎間板には知覚神経が入り込み「椎間板性腰痛」が起きる、ということは理論上はあるでしょうが、もしそうならば、圧痛点はないでしょうし、筋硬結は触知できないでしょう。

ほとんどの慢性腰痛には筋硬結があり、圧痛点(末梢性痛覚過敏点)があります。つまりほとんどが筋肉が大きく関与しているのです。

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by junk_2004jp | 2008-01-23 17:22 | 慢性痛 | Comments(12)
Commented by TK(タク) at 2008-01-23 20:43 x
激痛を感じてるのだから、脳は激痛の情報処理を最大限に行ってることは容易に考えられます。
それが、たとえ受容器からの信号が無かったとしても、脳で情報処理が行われてる以上、痛みは感じてると思われます。それは、痛みの情報処理のサブルーチンから抜け出せなくなった状態かも。

様々な、生命活動の為の、脳での情報処理ジョブの中で、激痛は最大に、脳と言うCPUのリソースを消費してると思われます。

そんな、脳の激痛情報処理をイメージングしてみたらどうだろうと、私は前々から思ってました。脳磁図検査(MEG)や癌検査でメジャーになったPETなどを用いて。
Commented by TK(タク) at 2008-01-23 20:43 x
>近年、痛みを可視的に測定できないかということで、SPECT、PET、fMRIなどの
>脳イメージングを用いた研究が行われている。

以下の引用はellyさんのサイトから飛んでるリンクです。
http://goodbye-pain.com/study2.html
http://www.so-net.ne.jp/vivre/kokoro/deplec1.html
>最近はPET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィ)によって脳のレセプターの活動
>リアルタイムで観察することもできるようになっています。こうしたテクニックを用
>た研究により、うつ病の脳内メカニズムの解明が進められています。

ただ、以下の記事によれば、痛みのイメージングは中々一筋縄ではいかないようです。
でも、何とか実現されればいいですね。

>ただ,ヒトにおける非侵襲的検査であ
>るPET 検索では脊髄,脳幹,視床,大脳皮質下な
>ど侵害情報上行路の血流の変化が空間識別能の限界
>から検出されず,今後のPET の精度向上に待たね
>ばならない
P534 左段組
http://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/123/7/533/_pdf/-char/ja/
Commented by bancyou1965 at 2008-01-23 21:46
>変性した椎間板には知覚神経が入り込み「椎間板性腰痛」が起きる、ということは理論上はあるでしょうが

こう言う場合は、限局した椎間関節部分(実際は椎体と椎体の間になるのでしょうが)の痛みで、TP注射や鍼など筋肉に介入する治療は無効と言う事ですね?
Commented by junk_2004jp at 2008-01-23 21:57
椎間板性疼痛、椎間関節性疼痛という概念なのですが、これがくせ者です。固定術をするということは、この概念があるからです。

変性した椎間板や椎間関節にはC繊維がみられるのでそこから痛みが発していると思い込むわけです。

疼痛誘発テスト(生食を注射)をして診断するようです。
Commented by タカ at 2008-01-25 05:23 x
はじめまして、タカといいます。
長い間、頚肩腕症候群で苦しんでいます。
現在は、抗けいれん薬・抗うつ薬で治療をしています。未だ改善されていません。
加茂先生に質問なんですが、肋骨近くの斜角筋(かなり体幹に近い部分)にトリガーポイントがあるようなのですが、ここにトリガーポイント注射はできるのでしょうか?
以前、鍼灸師の方にはリスクが高いから鍼は打てないと言われたのですが、どうもここが主原因で症状が出ていると思います。
お返事よろしくお願いします。
Commented by 五藤 at 2008-01-25 05:32 x
脳神経回路:遮断し復元…記憶や学習探る 利根川教授ら
毎日新聞 2008年1月25日 4時00分
http://mainichi.jp/select/science/news/20080125k0000m040163000c.html
> 脳の特定の神経回路を遮断し、元に戻すことができる
こういったことを慢性痛に応用できないものでしょうか・・・
Commented by junk_2004jp at 2008-01-25 08:11
タカさん

できます。腕神経叢の近くですから、麻酔がかかるかもしれませんが、しばらく(2~3時間)で回復します。

気胸にきをつけて。
Commented by junk_2004jp at 2008-01-25 08:18
五藤さん

そうですね。すごい研究ですね。イチローを作ることも可能かも。
Commented by TK(タク) at 2008-01-25 10:20 x
>「腰痛の解明の鍵は脳にある?」・・・天文台長さんの「腰痛は脳の勘違いだった」を読まれたのかな(笑)。

も、そうですけど、医学博士、加茂淳氏のホームページをパクってるよな。…。(笑)
私も、学校の卒論はパクりまくりでした。(^^;

HNは何でしょうね~。
Commented by タカ at 2008-01-26 05:55 x
加茂先生、返答ありがとうございました。
また質問なんですが、トリガーポイント注射ができるという事は鍼もできるということですよね?
現在かかっている医師は、依存性がどうとかでトリガーポイント注射をしてくれないようなので、今度、鍼灸師の先生に何とかお願いしたいと思います。
その医師は、私のような症例では依存心の強い注射は適さないという考えみたいです。
私の場合は、筋筋膜痛の症状がかなり明確に現れているので、トリガーポイント注射は有効だと思ったのですが、残念です。整形外科でも麻酔科の医師でも筋筋膜痛の理解は進んでないと感じました。
Commented by junk_2004jp at 2008-01-26 12:16
局所麻酔に依存性があるとはいわれていないと思います。
医療行為に依存性があるかということですが、どんな医療行為にもいえることで、その方の人生哲学ですね。
Commented by タカ at 2008-01-28 22:56 x
加茂先生、お返事ありがとうございました。
医療行為の依存性の事を言っているのはわかっていましたが、その医師は筋筋膜痛へのトリガーポイント注射の有用性を認識していないのではないかと思いました。
また、質問するかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。


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