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心療整形外科

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2008年 01月 25日

腰椎の圧迫骨折

60歳代の女性が1ヶ月ほど前にしりもちをついて腰痛になり某病院を受診した。だいぶよくなってきたところ、2日前にまた転倒して今度は体の動作が極めて困難になった。

「骨がちょっと潰れているといわれました。骨折ではないんですよね?」

医師は自分が理解しているのと同じように患者さんも理解すると思って言葉を使うことが多いものだ。

骨がちょっと潰れている=骨折、なのだが患者さんはポキンと折れるのが骨折だと思っている。

そして患者さんは、ちょっとした潰れが時間の経過とともに大きな潰れに変化していくことなど想像しない。

第一腰椎はぺしゃんこになっていて、第二腰椎はちょっとつぶれているように見えた。第一腰椎は前回の転倒により潰れたのだろう。第二腰椎は今回かもしれない。ちょうどその部分に叩打痛がある。

1ヶ月後にレントゲンをとると、第二腰椎もぺしゃんこになっている可能性がある。

このような場合の治療は三本柱なのだ。

①骨折の治療
②二次的に生じた(骨折の反応として)、あるいは骨折と同時に生じた筋痛症(痛み)の治療
③骨粗鬆症の治療

これを短時間に患者さんが理解できるように説明するのはある程度、経験が必要だ。この3つはそれぞれ関係があるようにも見えるが独立したことなのだ。

①骨折の治療は可能な限り安静、免荷。病弱な夫と二人暮らしの場合はどうすればよいか。ある程度骨が潰れる(楔状変形)のはしかたがないこと。

②痛みは積極的に、可能な限り取ってやること。骨折が治癒しても痛みが続くことがある。トリガーポイントブロックや坐薬、エルシトニン注射。

③骨粗鬆症の治療は長期的な展望に立てば必要だろう。リセドロネイト、アレンドロネイトなどの薬物療法。

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全く同じことが椎間板にもいえるわけだ。

外力が加わったとき、骨粗鬆症の人は椎体が壊れるが、骨がしっかりしている若者は、骨をつぶすエネルギーは椎間板を壊すことになるのだろう。ある人はヘルニアを生じるかもしれない。

①損傷の治療
②二次的に生じた(椎間板損傷の反応として)、あるいは椎間板の損傷と同時に生じた筋痛症(痛み)の治療

この場合は②の痛みの治療だけが必要で、①損傷の治療といっても、適当な安静ぐらいなのだろう。

by junk_2004jp | 2008-01-25 15:26 | 急性痛


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