心療整形外科

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2008年 04月 02日

いろんな説があるがとりあえずキープというのは?

この主張に興味を持つ人が最近増えているみたいです。しかし、今までヘルニアらしいとされてきたその症状の原因を、ここで改めて特定の一つに決めつけてしまうのでは、今までヘルニアとしていたと同様に、間違いを犯す危険があります。


これは島田カイロプラクティックの島田先生の私のサイトに対するご意見です。私のサイトと相互リンクのお申し出がありましたので相互リンクし、私の意見を述べさせていただきます。

ヘルニアに関して、「診断に際しては、考えられうる可能性はとりあえず切り捨てずに残しておくほうがよろしいかと、私は思っています。」という意見は尤もかもしれないが、見方を変えれば自分を安全地帯においておくということではないかな。

もうその時期は過ぎてしまった。いろんな説があるために患者さんは迷い苦しい状況におかれているのではないか。

諸説は間違っていて、真実は「ヘルニアによるものではない」ということを鮮明にすべきではないか。これは勇気のいることだが、生理学的にも臨床経過からもあきらかではないのか。

ヘルニアと言われている病態(馬尾症候群と頚部脊髄症は除く)は疼痛性疾患なのか麻痺性疾患なのか?

もしヘルニアと言われている病態は絞扼性神経障害だと仮定すると、代替医療の出番はなくなる。訴訟の山となる。そうではないか。保存的治療といっているうちに不可逆的な変性に陥ってしまう。外科医の一人舞台だ。絞扼されているのだから、物理的に開放してやらなくてはならない。

神経が絞扼されると痛みやしびれはでない。知覚鈍麻~脱失が生じる。これも「しびれ」という日本語で表現することがあるので話がややこしいのだ。運動麻痺が生じる。いわゆる坐骨神経麻痺だ。そんな患者さんみたことがあるか。

Carragee博士は、「手術を受けるか受けないかの選択はつまるところ患者の好みの問題になる」と述べている。「SPORT研究の多くの患者は手術を受けなくても明らかに改善した。 これらの知見から患者の好み以外には手術を強く支持する明確な理由はないと考えられる」。

絞扼性神経障害ではこのようなことはありえない。こういうのを絞扼性神経障害とはいわない。

[疼痛学序説 痛みの意味を考える   Patrick Wall著 横田敏勝訳]

Patrick Wallはゲート・コントロールセオリーで著名な生理学者

この割合(椎間板ヘルニアの手術)は現在下がり続けていて、神話がばらまかれて、少数の人の利益になるが多くの人の不利益になるような不名誉な時代は終わった。不利益をうけたある人たちは、手術の結果、明らかにいっそう悪くなった。

椎間板ヘルニアの手術は70年以上もの間行なわれてきた。もてはやされたこともあったが、疑問が増し続けている。ヘルニアの突出と痛みはそれぞれ独立していて、痛みの発現におけるヘルニアの突出の役割ははっきりしない。

以前この手術を熱烈に支持していたマイアミ大学 は、今ではこの手術をやめて、厳密なリハビリテーションのプログラムを採用している。


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椎間板ヘルニア難治例など症状が長期化する例では、圧迫や牽引など、化学的要因以外の因子がより関与していると考えられる。

髄核からでるTNF-αが後根神経節に作用して「機械的圧迫と髄核に由来する科学的因子により炎症が神経根に発生する。この変化は,免疫抑制薬や抗炎症薬の投与で防止できる。この炎症は,DRGの浮腫を惹起してDRG内圧を上昇させ、コンパートメント症候群の状況を引き起こすと考えられる。」


それでは痛みを発しているヘルニアは全部「脱出型」ということか。神経根と接触が必要なんだから。

この説は異所性発火ということなのだが、下肢や臀部にある圧痛点をどう説明するのか。また、私のような治療やその他の保存的治療で治ってしまうのをどう説明するのか。

また異所性発火だとするとおこるかもしれないといわれている神経脱落症状との関係はどういうことなのか。

痛みの生理学ではそのような見解があるのか。

神経線維は通常、その末端にある受容器から信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こしたりするようなことはありません。熊澤孝朗 著 「痛みを知る」

実験動物の正常な脊髄後根を圧迫しても、痛みを伝える侵害受容線維を含めた求心性線維の持続的発射活動は誘発されない。横田敏勝 著 「臨床医のための痛みのメカニズム」


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Nachemson(1969)は、変性した椎間板から放出される酸性物質が、線維輪を通って拡散し、後縦靱帯、硬膜、および硬膜外組織の神経終末を活性化することを明らかにした。また、関節軟骨が変性すると、炎症性物質が放出されて、関節包の神経終末を刺激することも分かった。
後関節面、神経根、椎間板が位置的に隣接していること、またこれらの組織の刺激によって放出される炎症性物質が、神経叢を刺激するという可能性は、これらの構造から原発的に生ずる疼痛を臨床鑑別することが困難な理由の1つと思われる。


いわゆる椎間板症、椎間関節症という概念で変性した組織は悪者だという昔の考え方だ。これだと圧痛点は説明できない。また若いひとでも普通に腰痛はみられる一方、元気な高齢者もいっぱいいる。

ポリモーダル侵害受容器のあるところはどこでも痛みの震源地になる可能性はあるが、発痛物質の放出が絶対条件だ(機械的刺激は臨床上問題にならないだろう)。発痛物質の放出が老化変性と関係があるとは思えない。

過去60年間の筋骨格系の痛みの治療戦略は損傷モデルに基づくものでした。損傷モデルとは、椎間板や関節軟骨の変性、椎間板の突出、分離症、辷り症、脊柱管の狭窄など構造破綻のことです。

しかし、損傷モデルで生理学的に痛みを説明することはできず、また健常者にもしばしばそのような構造上の変化が見られることが分かってきました。

損傷モデルの究極の治療は外科的手術により構造を修復するということですが、その治療成績は必ずしも満足のいくものではありませんし、経済的負担も大きなものになります。

損傷モデルでは弊害があることも分かってきました。それは不安やあきらめの気持ちを与えたり安静保持や動作恐怖を植えつけることになります。これらは痛みの慢性化の要因と考えられるようになりました。

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by junk_2004jp | 2008-04-02 07:23 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(8)
Commented by ひつまぶし at 2008-04-02 19:19 x
あのぉ・・・・ 非常に初歩的な質問で恐縮なのですが・・・
「さまざまな症状」って書いてあるものが多いですけど、
同一箇所で痛みと麻痺って両立するのでしょうか?
Commented by junk_2004jp at 2008-04-02 19:34
痛みはC線維が脱分極、再分極を激しく繰り返すことによって生じます。

麻痺(神経原性)は脱分極しないということです。電気現象が起きないということです。

生理学的には反対の現象です。それが同時に起きるなんて信じられません。ところが、次のようなことが書かれているのです。

http://junk2004.exblog.jp/5807271/

何と申しましょうか・・・・・・・
Commented by bancyou1965 at 2008-04-02 19:48
>髄核からでるTNF-αが後根神経節に作用して「機械的圧迫と髄核に由来する科学的因子により炎症が神経根に発生する。
何故末梢のみに痛みが放散するのか?神経伝達の法則では中枢に信号が送られるはずです。

Commented by junk_2004jp at 2008-04-02 19:55
脊柱管狭窄症は髄核は関係ないわけですね。そうすると今度は馬尾の血流障害を持ち出すわけです。

何としても、根に原因があって筋痛なんてあり得ないとしなければならないのです。
Commented by bancyou1965 at 2008-04-02 20:39
番長の治療所でも、脊柱管狭窄症で手術を勧められていた患者さんが、保存療法で完治と言っていいまで回復した方は結構な数おられます。
治療期間の長短の差はありますが、MPS、TPが原因と理解された方は治っています。治療効果+認知行動療法が、自信と運動と言う良循環を形成して、慢性痛を克服して行くのでしょう。逆に何時までも神経圧迫が原因と思い込んでいる人は、OPEされたりしています。病院によっては、脊柱管狭窄症と言う病名を積極的に付けたりするので困り物ですね。医師で無い番長の言葉は、一度刷り込まれた説明を払拭するには軽すぎます。当然ですが・・・(T_T)努力しながら齢を重ねコツコツ結果を出していくしか無いのですから。
Commented by junk_2004jp at 2008-04-02 21:12
理論的に破綻してるんだよね。

麻痺と痛みの区別もできない。
Commented by ひつまぶし at 2008-04-02 21:38 x
ずいぶん前に、新幹線の東京駅起点の「のぼり」「くだり」のたとえ話で説明してくださったことがありましたね。
わかりやすかったです、私には。

>何と申しましょうか・・・・・・・
おっ、野球解説の小西得郎さんですか?
・・・古すぎて誰も知らんって?? うぇ~ん(≧▽≦)
Commented by junk_2004jp at 2008-04-02 22:38
EBMやNBMを語る前にやるべきことがあるように思います。


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