2008年 04月 03日

トリガーポイントブロックとは

医師はとかく神経根部をねらってブロック注射をしたがる傾向があります。私も以前はしばしば硬膜外ブロックや仙骨ブロック(これも硬膜外ブロックの一種)をしたものでした。

仙骨ブロックは効果が一定しない。仙骨ブロック+トリガーポイントブロック(TpB)をしたほうが効くことに気づく。これが筋痛症に興味を持ったきっかけでした。

神経根は解剖学的には中枢よりですが、痛みの神経は中間点なのです。ここがポイントです。錯覚なんですね。中枢側が源のように思うでしょw。

神経根ブロックは「あみだくじ療法」みたいなものです。神経の先端で生じた痛みの電気信号がその神経根を通過するかどうかは「あみだくじ」みたいなものです。わざわざ怖い痛い思いをしてそんなことをする必要はありません。ごくまれに血腫ができて神経麻痺を起こすことがあるそうです。

硬膜外ブロックは、神経の先端で生じた痛みの電気信号を途中で網をはって捕まえるようなものです。「かすみ網療法」とでもいいましょうか。神経根ブロックよりも効率はいいかもしれません。

トリガーポイントブロックは「しらみつぶし療法」でしょう。

患者さんが「トリガーポイントブロックが効かなかった」とか、「医師がこんなの効かないよ」といいながらやってくれたとかという話を聞きます。

他の医師がトリガーポイントブロックにどれだけの知識があるのか分かりませんので、どのようにしているのかも想像するだけです。

なぜTpBが効くのかから「筋痛症」を理解するようになりました。トリガーポイントの第一人者の黒岩共一先生の「臨床家のためのトリガーポイントアプローチ」はとても参考になりました。

黒岩先生のお弟子さんの鍼灸師の方からやりかたや考え方を学びました。Tpは点ではなくてグリグリした塊であり、一度破壊して再生させるんだというようなことなど。

私のTpBは注射針で鍼をしているようなものです。もちろん針の先からは局所麻酔を注入していますが。

続けてやっていると筋肉が柔らかくなってくるのがわかります。注射のあとはよくマッサージをします。

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筋肉の深さや方向を想像して行います。かなりの時間が必要なこともあります。

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多くの医師は筋肉を想像していないのではないかと思っています。下の図のように医師の頭には筋肉がないのです。あるのは神経なんです。これでもいいのですが・・・・これじゃぁないんです。

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保険医は短い時間の間に相当数の患者さんを廉価で診なくてはいけませんので、筋痛症に対してTpBはなくてはならない手技です。

一口にTpBといってもそこには医師の経験、工夫、概念などさまざまなんです。仙骨ブロックなどはレシピ通りにすれば医師の差はないのですが、TpBは大きな差がでると思います。私も未だ工夫、修練中なのですが。

TpBが効かないというのはTpBになっていないということでしょう。

「急性痛」や「慢性痛の急性増悪」はすぐによくなります。

慢性痛は「筋肉の硬化gel化」「脳の可塑的変化」との戦いですから、TpBは戦略カードの一つだと思っています。

「癖になる」という意見もあるでしょうが、じゃあどうすればいいのか。何かをすれば癖になるというのであれば何もしないで我慢をしていればいいのですがそうすると痛いのが癖になる、うまくいかないものです。
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by junk_2004jp | 2008-04-03 19:19 | 痛みの生理学 | Comments(9)
Commented by TK(タク) at 2008-04-03 20:50 x
ドラマ「ER」でよく、カーター先生が、患者のお腹を押して「ここは痛い?」って訪ねて痛いと答えると「腹部に圧痛」って言ってます。

「痛み」と「圧痛」は違うと思うのですが by 素人>全国のお医者さん。

圧痛は、患者は申告するものではなく、医者は探すもの。丹念に患者の圧痛を探して頂けるほどサービス優良だと思います。(^-^)

患者がTpBをお願いして「何処が痛いの?」と聞いて、そこにお注射する医者でしたら、正しい保険診療請求をしてる保険医ではないと思うですが…。

トリガーポイント
(痛み)の引き金の点。

痛みの点ではありません。
トリガーポイントと圧痛点の関係は、私は理解してません。ごめんなさい。

私、間違ってます?

今年も、4月1日からまた診療報酬が改定、、、じゃなくて見直しになりました。汗。
Commented by ひつまぶし at 2008-04-03 20:51 x
2年前に、先生のところで五十肩の痛む場所にプスプス注射を打っていただきました。
すぐ、その場で、腕も肩もぐるんぐるん軽々と自由自在に回ることが確認できて、超うれしかったです。(^^)
トリガーポイントブロックの良いところは、痛みが消えた・軽減したことをその場で自分で確認できることです。
何が、どこが不具合で痛みや動きの制限が起きているのか、自分の体でよくわかります。
おかげで最近は疲れたときに痛みは多少出るものの、全体に気分よくゴキゲンで過ごせております★
「痛みのからくりを熟知する家庭医を増やす特定財源」の創設を強く希望するひつまぶしでございます。
Commented by アクビ at 2008-04-04 09:36 x
昨年12月に加茂先生にTPB注射していただきましたが、2日間の治療後自宅に帰って寝て起きたとき、背中が羽が生えたようにとても軽くなっていて驚いたことを今でも忘れられません。
私の場合、腰から首まで圧痛点だらけ、でガッチガチなので、残念ながらその後はまたもとの体にもどってしまいましたが、自分の体ってあのくらい軽く、楽になるものなのだ、というのが理解でき、それが励みになっています。
現主治医は慢性痛と線維筋通症に理解があり、ただしTPBについては懐疑的です。
ただし、「脳の可塑的変化との戦い」を徹底的にやってくれるつもりのようなので、それで効果が出て、また加茂先生のTPBしたらすごく効果が出るのかなあ、などと期待しております。
抗うつ剤と徹底してリラックスした生活、だけでこのガチガチがどこまで良くなるのか、興味深いところであります。
Commented by syaruruk at 2008-04-04 09:42
確かに、十分に注射してもらったら、羽根が生えたみたいに軽くなりますね。今のペインでは、「もうちょっとかなあ」で、ストップすることが多いので、羽根は、生えません。まあ、でもTPしてもらえるだけでも、ありがたいのですが。
でも、ペインと、心療内科とどちらも主治医ではない感じなので、今ひとつ頼りないです。
自分がしっかりしなくちゃ、なんですけど、自分も頼りなくて。

Commented by syaruruk at 2008-04-04 09:43
ひつまぶしさまの、
>「痛みのからくりを熟知する家庭医を増やす特定財源」の創設を強く希望
に、強く、同意します。。。
Commented by junk_2004jp at 2008-04-04 12:04
硬膜外ブロックは静脈注射と同じで手技的なうまい下手はあるでしょうが、腔にいれてしまえばいいのですから、医師による差はあまりないでしょう。
Commented by ぴよ at 2008-04-04 13:01 x
>下の図のように医師の頭には筋肉がないのです。あるのは神経なんです。

↑そう思います。コリに注射した後、念のためと言って、この図の神経に沿ってTB注射します。
自分は麻酔を注入するほうが、痛だるい疲れた感じが残らなくて体に負担ないです。
Commented by ひつまぶし at 2008-04-04 13:14 x
>「医師がこんなの効かないよ」といいながらやってくれたとかいう話を聞きます。

「うちのラーメンはマズイよ」と言いながらラーメンつくってるおやじさん。
「うちの塾じゃあ成績が上がらないよ」と言いながら教えてる塾の先生
・・・・のような感じでしょうか。
実に残念でもったいない話です。
「うちのTpB注射で痛みがよくなった人がいっぱいいるよ」と言いながら治療してくれるようになってほしいです★

シャルルさん★ ご退院おめでとう。
シャルルさんは今でも十二分に頼もしく思えます。
でも頼りないシャルルさんも、とても魅力的です(^^)
Commented by syaruruk at 2008-04-04 15:19
ひつまぶしさま☆ありがとうございます。。。^^;
『よく効くよー』って、注射してもらいたいですね。上手な先生に。


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