2008年 05月 18日

相変わらず支離滅裂な腰痛番組:神話の語り部

神経がヘルニアや脊柱管狭窄によって押さえられると下肢に痛みが生じるという説明でしたね。

そのような生理学的事実はありません!!

ですから、ヘルニアがあっても無症状の人はいっぱいいます。ヘルニアを取っても治らない人もいます。MPSの研究会のメンバーの医師にもヘルニアがある人は私の知ってる限り2人います。私もあるかもしれませんが無症状です。

脊柱管狭窄があっても無症状の人もいっぱいいます。手術をしても治らない人もいます。

腱反射低下、拇指背屈力低下は神経が傷んでいるからだといっていましたね。つまり麻痺が生じているということでしょうか?

麻痺が生じている神経に対してなぜ局所麻酔を打つのでしょうか??

そもそも麻痺と痛みは生理学的に逆の現象なのです。神経が圧迫を受けるとどのような現象が起きるというのでしょうか???

下肢伸展テスト(SLR)は神経が圧迫されていると(+)でヘルニアを診断するのに有意義だということでしたね。

神経が圧迫を受けても痛みが生じるはずがありません。

腰のヘルニアによって下肢が麻痺を起こした人を見たり聞いたりしたことがありますか??私はないですよ。

痛みの本態は筋痛症(MPS)なのです。ヘルニアはその結果なのかもしれません。痛みをかばうような格好をとっている、あるいは大腰筋などの短縮の結果なのかもしれません。あるいは一過性の大きな外力によってヘルニアと筋損傷の両方が同時に生じたのかもしれません。

圧迫骨折の痛みもMPSなのです。一過性の大きな外力によって圧迫骨折とMPSが同時に生じた。ヘルニアもこれと同じことと考えてもいいです。圧迫骨折の形を治してもMPSが治ることはないでしょう。圧迫骨折の跡が残っていても腰痛のない人はいっぱいいます。

痛みの本態は筋肉のspasmなのです。生理学的に考えても、臨床経過、疫学的調査からもそう考えるのが最も合理的でスジが通っているのです。

痛みの有名な生理学者Patrick Wallは言っています。「神話は終わった」

手術で治る人がいるのは、「手術によってspasmが取れた」ということですね。麻酔の効果なのかもしれませんし、儀式的効果なのかもしれません。

向こう様も医師、私も医師、これぞセカンド・オピニョンです。どちらも患者さんのためにと信じるところを述べているのです。あちらもあり、こちらもありではありません。どちらを信じて治療するかは患者さんがその賢明な頭脳で判断すればいいでしょう。

ヘルニアが問題となるのは頚では脊髄麻痺症状、腰では馬尾症候群、脊柱管狭窄症では馬尾型つまり「痛みではなく麻痺」なのです。これは手術が必要です。しかし、それを診断しなくてはいけないのです。私の経験では極めて少ないです。
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by junk_2004jp | 2008-05-18 08:05 | ヘルニア脊柱管狭窄症の矛盾 | Comments(8)
Commented by syaruruk at 2008-05-18 09:52
セカンド・オピニンで、同じことを言われたから、安心して手術を受ける人が、おおいですね。同じ立場や考え方が多いから、安心。
でも、2件回って、逆の立場だったら、3件目で決まっちゃいます。
せめて、3件目の先生が、正しく痛みについての知識がありますように。
Commented by アクビ at 2008-05-18 10:42 x
加茂先生、そろそろマスコミに登場する必要に迫られてるということかもしれませんよ。
病院の宣伝のようになってしまうと患者さんが殺到して大変なことになってしまうのが心配ですが・・・。
世間では、ヘルニア持ちだとそのせいで痛い、という認識が圧倒的に一般的ですね。
「筋痛症」「慢性痛」とは何かをもっと幅広く知ってもらうべき時がきてる気がします。
「ヘルニアで痛い本当の理由」を患者が理解していても、適切な治療家を見つけるのに苦労するのが現状です。
問題の根は大変深いですね。
Commented by junk_2004jp at 2008-05-18 10:57
私一人では心もとないですが、MPS研究会はすでに23人になりました。少なくとも23人の医師は疑問を持っていて否定的なのです。

理論武装を強化しなくては。
Commented by TK(タク) at 2008-05-18 12:26 x
加茂先生が患者さんを治療することはとても大切なことですが、
加茂先生が加茂先生の考えを広めるこ事も大切です。

マスメディアは強力な武器ですが、インターネットも強力な武器です。
「加茂整形外科医院」で健作すれば、一発で真実ワールドに入場できるのです。

今、23人の侍がいます。
その侍たちが、他の侍達に武士道を伝えれば、また、その武士が他の武士に伝授すれば、先生の意思と治療法は全国に広まると思います。

そして、その武士たちが、われら平民を守ってくださるのです。
http://jp.youtube.com/watch?v=zNqQXC8Tv8U
Commented by Nakajijma at 2008-05-19 07:03 x
情報提供です

Medical Tribune の5月15日号に
「非特異的腰痛に解剖学的新知見~従来の神経支配の定説が覆される」というタイトルの記事がありました。

ドイツ連邦教育研究省からの発表ですが、加茂理論に近いように思います。
Commented by junk_2004jp at 2008-05-19 12:28
情報ありがとうございます。
Commented by BN at 2008-05-21 12:19 x
5/24(土)20:00からの「ここが聞きたい 名医にQ」で、腰痛に関する質問をNHKが募集していたので、「神経を圧迫して痛みが出る生理学的根拠はないということに、どうお考えですか?」と質問をしておきました。熊澤孝朗先生の『痛みを知る』のリンク付きで。
たぶん、無視されるでしょうが...(;´Д`)y─┛
Commented by junk_2004jp at 2008-05-21 13:56
この間違った学説によってどれだけの人が苦しめられていることでしょうか。

無駄な検査を繰り返し、無駄な治療をして、よくなるどころか悪化する。


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