心療整形外科

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2008年 10月 09日

整形ではよくならない

昨日、首都圏からいらっしゃった患者さんがおっしゃいました。両膝痛、腰痛の方です。

「整形ではよくならないというのが、最近、皆さんがおっしゃっています。」
「私の場合、かえって悪くなりました。」

痛みを訴えて整形外科を受診すると、レントゲンやMRIを撮って、老化や神経圧迫が痛みの原因だという医師の思い込みを説明されるわけです。根拠のない思い込みなんです。

患者さんはなるほどそれで痛かったのかと、納得するかもしれません。

「筋肉を鍛えてください。」と医師から言われます。

これは老化した椎間板や軟骨はよくならないから、筋肉を強くすることでそれを補おうという発想なのです。

硬くなって痙攣を起こしている筋肉を鍛えてかえって悪化することがあります。

神経が押さえられると痛い、老化したものは痛いという伝統的に間違った概念を整形外科医の多くは捨てきれないのです。

筋肉が痛みの原因になっているとは思えないわけです。

毎年、10月8日には「骨と関節の日」という臨床整形外科医会の主催による全国的なキャンペーンが行われます。これでも分かるように筋肉が抜け落ちているのです。ほとんどの痛みが筋痛症であるにもかかわらずです。「筋肉と骨と関節の日」にすべきなんですね。

整形外科医は筋痛症に対して習っていないのです。私は整形外科専門医、リウマチ専門医ですが、それを維持するのに、それぞれ5年間で50単位の教育講演の受講が必要です。もう数知れないほど受講しましたが、筋肉に関して、痛みのメカニズムに関しての講演は記憶にありません。

先日のNHKスペシャルでは・・・

前半は腰椎すべり症で痛みのため台所仕事などの日常生活が困難で手術により、除圧や固定をすることにより、元気になったという症例。

後半はストレスが腰痛に大きく影響するということ(心因性腰痛)。

すべり症の人でも無症状の人はいっぱいいます。すべり症があのような痛みを起こすなんて考えられません。私からすれば、筋肉の痙攣痛なのです。手術の全身麻酔で筋肉の痙攣痛が治まったのでしょう。治まらない人もいっぱいいますよね。

筋肉の痙攣(広い意味で)が痛みの本態なのです。それが習慣的になっているのが慢性腰痛です。それを心因性という人もいますが、それなら、悪性腫瘍、感染症、骨折以外の腰痛はみな心因性ということです。整形外科医には筋痛症、慢性痛症という概念が抜け落ちていますから、心因性という言葉を使わざるをえないのです。

いまのよう診療を続けるなら、整形外科医は慢性痛症を作っているといわれてもしかたがないように思います。

熊澤先生は慢性痛症という病気の概念を提唱していらっしゃいます。

これは、私なりに解釈しますと、痛みが続くと、痛みの回路のシステムエラーが生じてしまうということです。火災報知器を想像してください。最初は正常に稼働していたのです。ある日火事に反応してなり出した。火事を消火したが、火災報知器のスイッチをきらなかった。火災報知器はシステムエラーが生じ、たばこの火にも反応して鳴るようななってしまった。それが慢性痛症なのです。

また、別のたとえでいうと、急性痛があるとき豹変して慢性痛症になるのです。同じ腰痛でも急性痛と慢性痛では全く異なった痛みのメカニズムなのです。

痛みのメカニズムに従って治療すべきだとおっしゃっています。急性痛に対しては私たちはある程度分かっていて有効な手段を持っています。つまり、消炎鎮痛剤や局所麻酔剤です。しかし一旦痛みが豹変して(おおばけして)慢性痛症となってしまうと、確かな有効手段を持っていません。

この腰痛が急性痛なのか慢性痛症なのかは治療してみて分かることなのです。罹病期間で判断できるものではないとのことです。

急性痛と慢性痛症が混在しているのもよくあることです。

慢性痛症にならないうちに火災報知器のスイッチを切ってしまうことが大切なのですが、なぜ火災報知器が鳴りだしたかの検査ばかりをして、無駄に時間を過ごすのが今の整形外科なのです。悪性腫瘍、感染症、骨折、膠原病など特異的な疾患を除外できればあとはみな同じことなのです。

構造異常(老化)、神経が圧迫を受けているということが原因で、火災報知器がなり出すはずがないのです。

さっさと火災報知器のスイッチを切って慢性痛症にならないようにすべきなのです。

一旦慢性痛症になったものに対しては決定的に有効な治療法はありませんが、抗うつ薬、抗てんかん薬、認知行動療法、鍼、トリガーポイントブロック、マッサージなど全力を挙げて治療すべきと考えます。
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by junk_2004jp | 2008-10-09 13:27 | 痛みの生理学 | Comments(4)
Commented by YA at 2008-10-09 16:56 x
先生お疲れ様です。
“骨と関節の日”
ですか…

まさにダシにしかならず、身にならない話ですね(笑

骨と関節だけで患者を長く面白く引っ張りたいのでしょうが、すべらないどころか既にすべってますね(爆笑


シンプルイズベスト。

筋肉は増やせるが、骨と関節は増やせない。

治らないのではなく、治せない技術者は去るべき。

先生、まずは正解に近い医師としての立場から、頑張ってくださいね^^


しかし医師以上に治せない医療類似業の保険請求、いつまで厚労省は放置しとるんでしょうか…
Commented by TT at 2008-10-11 12:55 x
電話でトリガーポイント注射をやってますかと聞くとやってるというので、そのペインクリニックに行ってきました。

小臀筋のトリガーポイントの注射をしてくれというと、坐骨神経ブロックですねと言う。小臀筋のトリガーポイント注射って坐骨神経ブロックっていうんだ、などと思ってしまいました。これは自分の失敗で反省しています。なんか注射したときに場所が違う気がする。痛みも全く引かないので後で問いただすと、小臀筋トリガーポイント注射とは全然違う。医者いわく、痛むのは神経であって筋肉ではないと言う。まあそうでしょうが原因は筋肉なんですけど。そもそもそんなこと言ったらトリガーポイント注射の存在意義がないでしょ。トリガーポイントの意味自体を理解してなさそうなのでそれを指摘すると、トリガーポイントの注射はやるが(いや、あなた知らないでしょ)、方針を決めるのは医者であって患者ではないと言う。私の診断は間違えていない、素人は口出しするな、っていう感じでしたね。ちょっと落ち着けって・・・誤診しなければそれでいいんですけど、素人の私未満の知識ではねえ・・・
Commented by TT at 2008-10-11 12:56 x
時間とお金の無駄でしたが、かなりの医者がトリガーポイントという言葉自体知らないことを身をもって感じることができたのが収穫でした。

これから加茂整形外科のような知識の豊富な病院以外に行く方は、各人がしっかりした知識を持って「何々筋にトリガーポイント注射をうって弛緩させろ」と明確に医者に伝えた方が間違いがありません。トリガーポイント注射を知らないのに知っているふりをする医者も要注意です。筋肉は痛くないと言う場合はお金を払わずさっさと他の病院を探しましょう。決して無知な医者に頭を使わせてはいけません。誤診のもとです。
Commented by もも at 2008-10-12 20:01 x
TTさん~ペインにいかれても 難儀しますね

治療方針はドクターが決める 何時の時代も変わりないのですね !ふぅ~
筋肉通は湿布と痛み止めで賄えると言うのですよね 原因があればオペ ですか? 先生の会員の中のドクター 近くに見えると良いのでしょうけど ~ 全然 解んないですものね


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