心療整形外科

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2008年 10月 23日

急性痛と慢性痛

急性痛は治りやすいが慢性痛は比較的治りにくいことが多い。急性痛は消炎鎮痛剤、局所麻酔剤がとても効く。一方、慢性痛はそれだけはどうも太刀打ちできないことが多い。

医師は保険診療で慢性痛に対しては手足を縛られているようなものなのだ。保険診療は急激な医学の概念の変化に対応できていない。

抗うつ薬や抗てんかん薬は慢性痛の治療薬としては認められていない。海外ではとっくの昔からこれらの薬剤は慢性痛に使われていたらしい。

マッサージはとても低い点数に抑えられている。マッサージは医学ではなく慰安だとでも思っているのだろう。

鍼灸の保険適応もややこしい。

リハビリは150日を超えて同一の病名ではできない。

脊椎のあやしげな手術、MRIなどの意味のない検査にどれだけのお金がつぎ込まれていることやら。これによって慢性痛の患者は減るどころか、難民化しているのが現状ではないだろうか。

慢性痛の患者が救われるように厚労省は配慮して保険点数を見直すべきではないか。

しかし、痛みの臨床医が育っていない現状では厚労省も手の打ちようがないのだろう。

腰下肢の痛みを脊椎の病気だと勘違いして脊椎脊髄専門医に厚生労働省医療技術評価総合研究事業を依頼するのはお門違いなんだ。

みんなで勘違いしてるんだから困ったもんだ。

急性痛、慢性痛は単に時間の問題ではない。

急性痛は卵痛(たまご痛)で慢性痛は孵化痛(ふか痛)とでもいおうか。孵化するのに3ヵ月とか6ヵ月とかいわれているが、それはおおよその目安であって、条件が整えば2週間ぐらいで孵化してしまう、つまり慢性痛になってしまうこともあるらしい。

時には、1年たっていても卵のままでいることもある。

だから急性痛、慢性痛という表現は単に時間的な要素だけが強調されていてちょっと誤解される面もある。なにかいい表現がないものか。仮に卵痛、孵化痛とでもしておこう。

医師は治療してみなければ患者の痛みが卵痛なのか孵化痛なのかはわからない。痛みはいつの場合でも治療的診断が決め手となるものだ。
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by junk_2004jp | 2008-10-23 02:50 | 痛みの生理学 | Comments(12)
Commented by YA at 2008-10-23 10:12 x
時代に対応しないのか、出来ないのか…
大体が厚労省からしてやる気なし。

マッサージが慰安?

先生の仰るとおり、慰安ではない。

マッサージ・指圧・按摩は日本で特化した医療技術だ。

あマ指は資格障害者の仕事だと決めつけている節もある。

しかし、それで規制をかけたばかりに門戸が狭くなり、結果鍼灸柔整に押されてしまった。

鍼灸柔整は、我が世の春とばかりに振る舞っている…

また、基本的に柔整を医師だと信じてる患者も多数ある。


根本的にやり直さなければ、この国は医療崩壊してしまう。

いや、一度崩壊させた方が市井も目覚めるのかも知れないが…
Commented by sansetu at 2008-10-23 10:35
可塑前痛、可塑後痛とか。
Commented by つかさ at 2008-10-23 18:17 x
マッサ-ジ.指圧.鍼灸.整体.柔整.理学療法.カイロプラテック.アロマテラピ-.オステオパシ-.など看板も多種多様
素人の患者はどれが良いのか解らずましてや治療師には格段の技量の違いが有る
資格を持っていなくても出来る商売も---持っていなくても上手な人も.訳が解らない。
慢性痛の場合.医者と手技は必要ですが現在は医者も解っていない---どうすれば良いのかな--?
Commented by TK(タク) at 2008-10-23 19:02 x
>sansetuさん

いいかも。(^o^)
そーすると、
Plastic pain とElastic pain

plastic and reconstructive surgeon は形成外科医だそうです。
Commented by sansetu at 2008-10-23 20:17
plasticを辞書で引いて、意外と奥の深い言葉であることを初めて知りました。てっきりプラモデルの原料だとばかり・・・。
Commented by sansetu at 2008-10-23 21:12
>Plastic pain とElastic pain
なるほど。英語バージョンの方が意味がしっくりと来ますね。

「可塑性=塑性」→ある限界以上の力を加えると元に戻らなくなる性質。
工学系ではこのような意味なのですが、痛みのジャンルに於いては、もう少し「希望(条件により復元する)」の意味も含めたいですね。でもまあ、言わんとすることは通じますね。

それに対する「弾性」→加えている力を取り除くと元に戻る性質。
これはいい感じですね。加えられている力(たとえばストレス)を取り除くことで痛みが取れるという構造に当てはまりますね。

というわけで、可塑前痛、可塑後痛は、言わんとすることは、まあ伝わって来ますが、日本語としてはかなり変です。
ということで改作します。

形成前痛(弾性痛)、形成後痛(塑性痛)、というのはいかがでしょうか。
これだと構造の特徴が一言で分かり、日本語としても問題ないと思うのですが。
Commented by TK(タク) at 2008-10-23 23:37 x
話題変わって、、、

可塑性をぐぐったら、凄すぎです。宝の山。
健作候補に、シナプス可塑性、脳の可塑性、神経可塑性。

Please 健作>ALL
Commented by sansetu at 2008-10-26 09:52
タクさん、特に美味しいの、おせ~て、おせ~て。→教えて君(ネットの嫌われ者)
Commented by TK(タク) at 2008-10-26 20:09 x
シナプス可塑性

シナプス部位における電気的な伝達効率が長期的に変化する現象を指す.シナプス前ニューロン(または入力線維)に一定の強さでテスト刺激を与えておくと,その後の繰り返し刺激などで,後シナプス電位が変化する場合がある.この後シナプス電位が大きく長期的に続くのが長期増強(long-term potentiation;LTP)であり,小さくなって持続するのが長期抑圧(long-term depression;LTD)である.LTPには,early-phase LTP(E-LTP)と時間のオーダーまで続く1ate-phase LTP(L-LTP)があり,L-LTPにはタンパク質合成,遺伝子発現が伴うことが報告されている.

http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%83V%83i%83v%83X%89%C2%91Y%90%AB
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刺激って、電気的な刺激でしょ。絞扼か?
Commented by sansetu at 2008-10-26 22:26
>L-LTPにはタンパク質合成,遺伝子発現が伴うことが報告されている.

タクさん、ありがとうございます。
かなり難しい話ですが、上の部分はドキッとさせられます。
Commented by アクビ at 2008-10-27 11:21 x
レベルの高い議論に私のようなものがお邪魔させていただくことをお許し下さい。

ついさっき、放送大学の「疾病の回復を促進する薬」の、「神経に作用する薬 第1回」が放送されていました。

その中で、「シナプスの可塑性」の話がちょこっと出てきました。
それによると、「記憶や学習の分子メカニズムのひとつと考えられる」との説明でした。

あくまでも想像ですが、慢性痛に関して言えば、大脳辺縁系の可塑性とともに、例えば、痛みの程度に関わらず、痛みが出ると不安になる、特定の動作をすると痛くなる、という認識が定着(=シナプスの可塑性)してしまうと、程度の同じ痛みの人達のなかでも、痛みの感じ方や行動の制限、生活の質、などへの影響は脳内において差が生じるということかな、と思ってみました。

慢性痛に認知行動療法が有効、というのはそういうことか、と勝手に納得しています。
しかし可塑化したシナプスに再学習を促す、つまり可塑化したシナプスが変容するまでにはどの程度時間が掛かるのでしょう?

記憶や学習と同様、繰り返し根気よく取り組んで、痛みと不安の関連付けを徐々に解いていくことが必要なんでしょうね。
Commented by sansetu at 2008-10-27 22:23
アクビ様、>記憶や学習と同様、繰り返し根気よく取り組んで、痛みと不安の関連付けを徐々に解いていくことが必要なんでしょうね。

同感です。ここに集うみんながフロンティアになりましょう。


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