心療整形外科

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2007年 12月 02日 ( 3 )


2007年 12月 02日

痛みとは②

痛みの学問がまだ十分でなかった過去は過去のこととして、めざましい痛みの科学の進歩に基づいて痛みの医療について考えようではないか。

痛みに悩む人を増やさないために、痛みに悩んでいる人に適切な医療を適切な医療費で提供するために。
いくつか国々では損傷モデルからゆっくりと脱却している。しかし米国では今も腰痛に関する時代遅れの考え方から抜け出せずにいる。先へ進むべき時である。 “70年間、我々は腰の「損傷」の概念と共に生きてきた。これ以上正当化するには欠陥がありすぎる。さらに、これは医原性である。これ以上研究を行う必要はない。その論理構成は、時を経て役に立たなくなってしまった”と、Hadler博士は述べている。(The BackLetter 20)


この割合(椎間板ヘルニアの手術)は現在下がり続けていて、神話がばらまかれて、少数の人の利益になるが多くの人の不利益になるような不名誉な時代は終わった。不利益をうけたある人たちは、手術の結果、明らかにいっそう悪くなった。

[椎間板ヘルニアの手術は70年以上もの間行なわれてきた。もてはやされたこともあったが、疑問が増し続けている。ヘルニアの突出と痛みはそれぞれ独立していて、痛みの発現におけるヘルニアの突出の役割ははっきりしない。

以前この手術を熱烈に支持していたマイアミ大学 は、今ではこの手術をやめて、厳密なリハビリテーションのプログラムを採用している。疼痛学序説 痛みの意味を考える   Patrick Wall著 横田敏勝訳より]

多くの患者と外科医が抱く、大きな椎間板へルニアを切除しなければ破減的な神経学的症状の結果を招くことになるであろうとの懸念は、全くの杞憂である」。Carragee博士は、「手術を受けるか受けないかの選択はつまるところ患者の好みの問題になる」と述べている。(BackLetter22)

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by junk_2004jp | 2007-12-02 19:26 | 痛みの生理学 | Comments(2)
2007年 12月 02日

痛みとは①

究極的ないいかたをすれば痛みは電気なのです。プラス、マイナスなのです。どこかで生じた電気が神経線維を通って脳に到達する。過去の記憶やその場の状況や様々なことを総動員して脳に到達した電気を読み解き認識しているのです。そして反応しているのです。

ではどこで電気が生じているのでしょうか。それは神経線維の先端についているポリモーダル侵害受容器というセンサーの部分です。神経線維の途中で電気が生じることはとても特殊な場合です。正常な神経ではおこりません。ですから、神経線維が圧迫されてあるいは炎症をおこして痛いとかしびれるというとうなことはおこりません。

ヘルニアが神経を圧迫しているので痛いというのは明らかに間違いです。

電気が生じるのにはエネルギーが必要です。点火のエネルギーが外因の場合と内因の場合が考えられます。

打撲などの外因が長く続くことはありませんので引き金が外因であったにせよ臨床上問題になるのは内因性のエネルギーです。

構造がエネルギーをもつことはありませんので、構造が原因で痛いということはありません。

電気は筋肉にspasmを起こします。spasmは痛みを作る働きを助けます。spasmの続いた筋肉は次第に硬く短縮していきます。また痛いので動かさないのでますますそれが強くなります。
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まず痛みありきなのか、先に筋肉のspasmありきなのか、という問題があります。私は答えを持っているわけではありません。学問的な興味はありますが、臨床上ではどちらでもいいようにも思います。

短縮した筋肉は近隣の筋肉にも影響を及ぼします。そしてこわばった筋肉はsasmを起こしやすい状態になるのかもしれません。
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by junk_2004jp | 2007-12-02 17:40 | 痛みの生理学 | Comments(3)
2007年 12月 02日

構造的異常を痛みの原因にしない①

安藤は今月6日の日米対抗で古傷の右肩を負傷した。痛みが取れない状態が続くため、日本で治療に専念した方がいいと判断。モロゾフ・コーチは米国から渡仏し、パリ郊外のリンクで合宿する計画を立てていたが、回避を決めた。帰国後は名古屋市内の病院で治療を受ける予定だ。

 昨年末の全日本選手権で痛めた右肩は軟骨が損傷しており、完治することはない。患部の負担を減らすため肩の筋力を鍛えたが、ジャンプを思い切って跳べない障害が残る。アメリカではコンビネーションスピンで最高レベル4を出しており、ジャンプの調子が戻れば優勝できる高得点は間違いない。NHK杯までに回復できるか、ミキティが正念場を迎える。

これは典型的な筋筋膜性疼痛症候群だ。受傷早期にトリガーポイントブロックなどを行えば回復が早かっただろうと思う。

軟骨障害と痛みを関連させてはいけない。痛みは軟骨障害のためではなくて、筋肉そのものの微小損傷によるものなのだ。筋力を鍛えるのではなくてほぐすことだ。

肩を打撲することにより筋肉に微小損傷が発生した。そのときに同時に軟骨障害が発生したのかどうかは分からない。以前からあったのかもしれない。どちらにしても痛みの原因とはなっていない。生理学上の根拠はなく、また軟骨障害が痛みの原因だとすることによって、「完治することはない」ということになってしまうのだ。

筋肉の微小損傷は早期に適切に手当をしないと長引くことが多いのはもう十分分かっている。痛みの悪循環が起こり、筋肉は次第に硬く短縮してゆく。そしてそれに関連する筋肉にも影響がでてくる。

どの筋肉が罹患しているのか診断して、その筋肉に対する治療をすることが今求められていることだ。画像診断では分からない。触診できる医師に診てもらうことだ。

全く無症状だった70歳代の女性が転倒して膝を打った場合をちょっと想像してほしい。それから痛みが始まることはいくらでもある。軟骨の異常は転倒前よりあった可能性はたかい。「病院で検査を受けたら軟骨障害があるから完治することはないだろう。」といわれた。これはおかしなことだというのは分かるだろう。打撲によって生じた生理学的異常や筋肉の微小損傷をすみやかに改善させることだ。

モーグルの上村愛子さんのことを思い出した。
W杯遠征で左ひざを痛めて帰国したトリノ五輪フリースタイルスキー女子モーグル代表の上村愛子が23日、都内の国立スポーツ科学センターで検査を受け、全治1週間と診断された。「左膝蓋(しつがい)骨骨挫傷」で、ひざの皿の裏側に「針1本分」の傷がある程度で、軽度の炎症。五輪に支障はなく「周囲の方が慌てているようで、すみません」と笑みを交えながら報告した。13日に負傷し、20日の試合を棄権して無理をしなかったため、大事に至らずに済んだ。今後は温熱治療などを施しながら、ひざに衝撃を与えない練習を実施。今月末のティーニュ(フランス)合宿から代表に合流する。五輪がぶっつけ本番になるが「前回大会ならすごい不安になったと思うけど、ほかの選手を見てもいい滑りをすれば勝てる自信がある。だから大丈夫です。強くなったかな」と笑った。メダルへの青写真は、少しも揺らいでいない。


膝蓋骨の裏側というのは関節軟骨だ。軟骨障害があるけど全治1週間ということだ。このように医師の痛みに対する診断はいいかげんなものなのだ。状況に応じて特に根拠はないがとりあえず、というところなのだ。

安藤美姫さんも上村愛子さんもどちらも関節軟骨障害がみつかったのだけれども、一方は完治することはない(医師が言ったかどうかはわからないが)、一方は全治1週間というようにとても大きな差がある。

どちらにしても痛みそのものとの関連性はない。
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by junk_2004jp | 2007-12-02 00:50 | 慢性痛 | Comments(6)