心療整形外科

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2017年 12月 01日 ( 1 )


2017年 12月 01日

痛みの訴訟に関する弁護士さんへ

痛みは被害者・加害者関係があることがあり、創傷が治っても痛みが続いたりその範囲が広がったりする。また痛みは画像や数値で表せない。そのため保険会社や弁護士からの問い合わせが多い。


痛みの診断と治療の現状

カルテ記載の病名は、痛みが定義されて痛みの生理学の爆発的発展をみる1980年中頃より前から、経験的、伝統的につけられていたものを依然として踏襲しているにすぎない。

これは大学病院などの教育的立場にある医療機関でさえそうなのだ。

同一疾患でも医師によりいろいろな病名になる。またその病名が生理学的に正しいとは限らない。

だからカルテに記載された病名だけで実際の病態を判断することはできない。
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痛みの定義(国際疼痛学会1986年)

An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.

不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。(熊澤孝朗氏訳)


① 組織損傷を伴う痛み:急性痛=侵害受容性疼痛=炎症性疼痛


② 組織損傷を伴っていない痛み:慢性痛=神経障害性疼痛=非炎症性疼痛=中枢性痛覚過敏(中枢性感作)=CRPStype1=生物・心理・社会的疼痛症候群


医師はその痛みは①なのか②なのかを診断すればよい。図のようにオーバーラップしていることがある。

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戸田克広氏より

世界的理論と日本的理論の違いは「心因性疼痛」の有無だが、心因性疼痛という言葉は使わないほうがいい。

痛みを伴う疾患で特異的病理を示すものとして「悪性腫瘍、感染症、リウマチ・リウマチ類似疾患、痛風・偽痛風」がある。まず、これらでないことを診断する(除外診断)。

リウマチは急性痛(炎症性疼痛)が続いている、止まらない。

組織損傷は3ヶ月もあれば治癒するので(治癒とは元どおりになるという意味ではない。断端が閉鎖。)3ヶ月以上続く痛みを慢性痛=神経障害性疼痛といっている。

これは痛みそのものが治療の対象となる。

⑴ 痛みはどうして起きるのか
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痛みの治療と組織損傷の治療は別の問題でそれぞれに対して治療すべきだが組織損傷は放置しても問題がないことが少なくない

⑵ 痛みはどうして慢性化し、広がるのか

痛みの悪循環
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不安、恐怖、怒りは痛みを強くする。


中枢性痛覚過敏(中枢性感作)

時間的・空間的加算(temporal and spacial summation of postsynaptic potential)
長期増強(long-term potentiation)
下行性疼痛抑制系の機能低下

不安障害、抑うつ状態、発達障害(二次的不安抑うつ)、アダルトチルドレンなどがあると痛みの閾値が低く当初より慢性痛のような経過をとることがある。
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さらには全身にまでも広がるというのも、可能性としては十分ありえることになります。

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痛みは燃えさかる前に抑えるべき

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*線維筋痛症に至った誘引は交通事故が6例、なんらかのストレスが10例、手術後3例、腰痛からが2例であった。10例は局所の筋筋膜性疼痛から発展して生じていた。

*関連疾患、原因疾患は、手術、事故後のRSD(CRPStype1)が4例、メンタル面が3例、脊椎関節炎が2例、脳脊髄液減少症が1例、C型肝炎が1例であった。

*線維筋痛症の身体的背景には、手術の既往(46.0%)、整形外科的疾患(33.3%)、交通事故の既往(23.8%)などを認めた。心理・社会的背景には、うつ状態(50.8%)、家庭の悩み(41.3%)などを認めた。

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by junk_2004jp | 2017-12-01 13:49 | 慢性痛 | Comments(0)