カテゴリ:痛みの生理学( 309 )


2005年 09月 05日

痛みにEBM?

痛みにEBM(evidence based medicine)があると思いますか?

痛みの定義は

An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.

つまり、痛みとは、自分の、他人の、experience (体験)なのです。個人的な体験にevidence(証拠、根拠)があると思いますか?

たとえば、「○○教に入信し修行を積んだら、腰痛が治った。」「催眠治療で治った。」など、個人的な体験なのです。evidenceがあろうがなかろうが、治った人にとってはとても大事な体験なのです。

その体験が他人に通用するかどうかはわかりません。万人に効果のある治療はありえないのです。何をもってevidence というのでしょうか?

ドラッグ・チャレンジ・テスト drug challenge test

鎮痛機序が明らかにされている薬物を静注することで、各薬物による痛みの軽減の度合いから、痛みの発生や維持に関与している機構を推定する評価法。
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痛みのメカニズムの観点から、薬理作用に基づいた治療以外は、どのような治療法でも、それで脳が沈静化したのなら、プラセボ効果といってよいかもしれません。その治療法でよくならない人が必ずいるのですから。


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by junk_2004jp | 2005-09-05 00:50 | 痛みの生理学 | Comments(5)
2005年 09月 04日

痛みと痒みは同じ神経繊維

痛みも痒みもともにC繊維です。

http://www.narumi-clinic.jp/clidata1/1010583769/

内因性の起痒物質と起痒補助物質

ポリモ-ダル受容器(原始的な感覚受容器)

神経ペプチド(SubstanceP、CGRPなど)の産生

機能

痛覚受容器(特に病態時)
反射性入力として自律系などの働きを修飾する
内因性鎮痛系(オピオイドなど)の賦活:針鎮痛の入力
神経ペプチドによる局所調節作用
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痛みも痒みもよく似ています。痒みは皮膚の表面ですが、痛みは深部で、また、他へ放散する感じがします。

痒みで神経根ブロックや、硬膜外ブロックをすることはないですね。痒みを手術で治すこともありません。

体のいろんな場所が痒くなりますが、部位によって病名が異なることはないですね。それに引きかえ、痛みは、部位によって、坐骨神経痛や、五十肩のように病名が違います。なぜなのでしょうか。

私は時々、蕁麻疹がいろいろな部位にでます(コリン作動性)。痛みはほとんど縁がありません。蕁麻疹は原因不明の痒みなどと言われることはありませんが、痛みは目にみえないので、いろいろ検査されて、いいかげんな説明をうけたり、原因不明と言われたりしています。

痛みも痒みも悪循環をおこし、慢性化すると治りにくくなります。まずは、慢性化を防ぐことです。


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by junk_2004jp | 2005-09-04 01:03 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2005年 08月 28日

痛みの診断

痛みの診断で、画像診断は「除外診断」です。つまり、骨折はない、悪性腫瘍はない、感染症はない、ということです。除外診断はけっこう不安なものです。「~でないです。」というのは勇気がいりますね。「このレントゲンでは、特に異常は見つかりませんが、経過をみて、痛みが続くようなら、再度検査をしてみましょう。」といっておくのが無難です。椎体の圧迫骨折などは、最初はよく分からないこともあります。

除外診断だけというわけにもいかないでしょう。「積極的診断」として、痛みを再現させる、つまりどのような動作、体位で痛むか、圧痛はあるのか、を調べます。これによってどこが痛みの発信もとかおおよその見当がつきます。

「治療的診断」、圧痛点に局痲剤を注射するとその痛みはどうなるか、消炎鎮痛剤の投与でどうなるか、抗うつ薬や抗不安薬の投与でどうなるかなどを観察して、総合的に判断します。

たとえば、「筋筋膜性疼痛症候群」「うつ状態による筋筋膜痛症候群」というように。

どこまでの診断をすればよいのかは、患者さんの希望に沿ってですが、注射や投薬はもちろん了解を得てでのことです。

トリガー・ポイント注射の奏効機序


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by junk_2004jp | 2005-08-28 15:26 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2005年 08月 27日

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)

筋筋膜痛症候群という病気は、まだすべて原因が解明されたわけではありませんが、外傷や筋肉炎などのあとで、慢性の深部の痛みと、そこから関連痛として考えうる痛みが続くものをいいます。シモンズが診断基準(表2)をあげており、私どもも原因不明とされていた慢性痛の中に、数多くこの症候群を認めています。治療は原因筋を同定することから始めます。つまり、丹念に痛みを訴えている部分の筋肉を触診し、硬さや圧痛点の有無を調べるのです。原因筋には必ず索状に硬くなった部分があり、そこが庄痛点となることが多いので、そこへ局所麻酔剤を注入(ブロック)します。

診断が早げれば、治療効果は劇的で、一回の圧痛点ブロツクで痛みが消失することもあります。Jさんの場合、長い間無理を続けていたため慢性の筋肉疲労と広い範囲での筋硬結(筋肉のしこり)があり、圧痛点ブロックの効果は劇的ではありませんでした。しかし同時に心理的にも対人不安が強かったため、温めてマッサージする物理療法とともに、心理療法を加えることによってしだいに痛みは改善していきました。この筋筋膜痛という病態はあまり有名ではありませんが、実際の痛みの臨床場面では多くみられます。特に痛みを扱う医師にとっては、こういう病態があるということをまず知らなければなりません。そうでないと患者さんに対する対応がうまくいかないことになります。
 
脳の痛み 心の痛みー慢性痛からの開放をめざしてー
          
                  北見公一   (三輪書店)


最も身近であって、最も縁遠い「筋痛症候群」 

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外来で診ている痛みはほとんどが筋筋膜性疼痛症候群です。圧痛点をブロックすると痛みがやわらぐということは、筋筋膜性疼痛のひとつの証拠です。それは、生理学的にも薬理学的にも合理的な説明がつきます。

急性の場合は劇的に効きますが、強い不安や抑うつが原因の筋筋膜痛の場合は、それだけでは治癒しないことが普通です。また、補償のからんだケースも難しいことがあります。

転換性障害(ヒステリー;身体表現性障害)は筋筋膜性疼痛かどうかは疑わしいです。

慢性化したものにたいしては、心身医学的立場で、治療が必要です。筋筋膜性疼痛症候群は心理・社会的要素が背景にあります。


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by junk_2004jp | 2005-08-27 13:55 | 痛みの生理学 | Comments(12)
2005年 08月 26日

痛みを数値化 世界初の医療機器開発=岡谷の「オサチ」

岡谷市長地小萩2の「オサチ」(小松勝社長)は、痛みの大きさを数値化して客観的に判断する世界初の医療機器「閾(いき)値・痛覚測定システム(仮称)」を開発し、商品化に向けた量産体制を整えた。2006年3月に厚生労働省の承認を得る予定で、同年4月の発売を目指している。

痛みは主観的な感覚量のため、正しく他人に伝えることが困難で、医療現場でも患者自身の申告に基づいて医師が痛みの大きさを判断し、治療や投薬が行われている。

こうした状況を踏まえて、同社は感じている痛みの大きさと同程度の強度を感じる電気刺激を測定し、痛みを客観的に定量化する計測器を開発した。

パソコンを付属する大型タイプと計測装置を内蔵した小型タイプの2種類を製品化する計画で、どちらも腕に取り付けた電極パットから肩こりなどのリハビリで使う痛みを伴わない弱い低周波を流し、徐々にその量を増やしながら、刺激を感じた段階と、痛みと同程度の刺激を感じた時点を測定。3回繰り返して平均値を算出する。

同社は1998年に同システムを試作。2000年9月に米国、05年7月には日本でそれぞれ特許を取得した。現在、信州大学大学院医学研究科加齢病態制御学の橋爪潔志教授と共同研究を進めており、同大学と国立松本病院、東京大学医学部付属病院で臨床評価が行われている。

橋爪教授は報告書の中で、痛みが定量化できれば予防医学や治療現場の診療支援になるとしている。同社も「薬の投与が適正になるなどの診断の指標になる」と話す。大手医療機器メーカーと進めている市場調査では、糖尿病治療などに用いられる閾値評価のほか、治療効果の判断などの医療現場に市場を確認した。

価格設定は20万円から50万円を予定しており、岡谷市の本社工場で生産する計画だ。


それにしても、自己申告の域のようですね。買うべきなのかな?


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by junk_2004jp | 2005-08-26 01:55 | 痛みの生理学 | Comments(2)
2005年 08月 25日

神経ブロック ・ 教育TV

昨日、教育TVで、神経ブロックについて有名なペインクリニックの教授が解説していました。
内容は従来のごとく、椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄症では、神経が圧迫されて、あるいは癒着で痛みが起きるという内容でした。

これは生理学的には証明できません。なぜ、このような間違いが繰り返して言われるのか不思議です。

痛みは突き詰めれば、電気現象です。”どこで、何がエネルギーになって起電され、どのようなルートを通って伝えられ、その電気情報がどこでどのように解読されるか”ということです。

電気系統の異常なのです。それを大工さん的な頭脳(整形外科医)でみるのではうまくいかなかったのです。ペインクリニック医も整形外科医と同じ発想なのはがっかりです。

ペインクリニックで治るということは、電気生理学的な現象だからなのです。構造的なことが原因なら、ペインクリニックで治ることはないのでしょうが・・・。それをなぜ強調しないのか?I.T.(Information Technology)的な頭脳(発想)が必要なのです。

局所麻酔は情報伝達の遮断に最大の武器になります。


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by junk_2004jp | 2005-08-25 10:57 | 痛みの生理学 | Comments(2)
2005年 08月 14日

痛みは電気生理学、分子生物学

痛覚とNa+チャネル

神経信号伝達メカニズム(軸索における)

上は検索で見つけました。下のは高校生向けみたいですが、難しいですね!

痛みは電気信号なのです。それが 脳に届いてはじめて「痛み」と認知される。

ということは、どこで起電され、どちらの方向に流れるかを説明できなくてはいけません。

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この図は電流の方向は記入されていません。この図を持って病院いき、先生に起電の場所、電流の方向を書き込んでもらってください。



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by junk_2004jp | 2005-08-14 08:50 | 痛みの生理学 | Comments(2)
2005年 07月 31日

痛みの生理学②

愛知医科大学痛み学講座の「言葉のアラカルト」を参考にして勉強してみたいと思います。

発芽(sprouting):損傷を受けた神経線維の断端は、修復機転として伸長する。発芽部の膜には正常時とは異なるイオンチャネルや受容体が発現し、異所性興奮を示す。

ニューロパシー性疼痛(neuropathic pain):神経の損傷(炎症や切断など)後に生ずる痛み。慢性痛の一種で痛みの中枢経路に可塑的な変化をきたして生ずる痛み。
(神経因性疼痛のことです)

異所性放電:感覚受容器の興奮を介せずに神経切断端などで発生するスパイク放電。

http://junk2004.exblog.jp/1938930

この「言葉のアラカルト」には「根性痛」や「神経根炎」はありませんね。


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by junk_2004jp | 2005-07-31 00:33 | 痛みの生理学 | Comments(0)
2005年 07月 30日

痛みの生理学①

痛みの生理学について臨床医はほとんど知らないか、忘れてしまっていることが多いものです。医学部6年間のはじめの方にちょっと習うだけですから。

そこで、ここでは愛知医科大学痛み学講座の「言葉のアラカルト」を参考にして勉強してみたいと思います。

神経性炎症:逆行性刺激や軸索反射により、神経ペプチドが神経線維末端から遊離され、その周囲の血管にはたらき、血管拡張、血管漏出などの炎症様反応を呈する。

神経ペプチド:神経細胞内で合成されるペプチド(アミノ酸の連鎖化合物)で、最下等動物である腔腸類の神経系にも存在する。サブスタンスP、CGRPなどはポリモーダル受容器ニューロンにも存在し、このニューロンが興奮すると脊髄の中の終末部から遊離され、痛みを脳に伝えるのに働く。また末梢組織にある終末部から遊離されて周囲の細胞に働き、炎症やその他の反応を引き起こす。

ポリモーダル受容器(polymodal receptor):機械的、化学的および熱刺激のいずれにも反応し、その活動は炎症メディエータによって著しく強まる。感覚受容器であるが、その興奮に伴って末端からペプチドを放出し、効果器としての働きも示す原始的で未分化なニューロン。二次痛を伝える。

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たとえば、打撲とか捻挫のごく初期に局所麻酔を患部に注射すると、その後に起きるかもしれない腫れや痛みを予防することができます。プロ野球やサッカーの選手はもっと積極的にこの方法を採用すればよいのにと思います。

wind up:繰り返し刺激により脊髄ニューロンの反応性が次第に増大する現象。WDRニューロンで特徴的にみられ、多シナプス回路の促通現象である。持続的な痛み入力による脊髄痛覚系の興奮性の増大をもたらす機序をなす。

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by junk_2004jp | 2005-07-30 13:04 | 痛みの生理学 | Comments(2)